街全体が美食天国――そう思わせる“銘酒「リンク8」の里”富山市岩瀬地区へのグルメ旅
●富山の旬に、これでもかというほどまみれる。そんな幸せなひとときを
この日、旬を豪勢に味わうために向かったのは、「御料理 ふじ居」。ここは、ミシュラン2つ星の名店。富山の恵みを味わえる懐石コースと「リンク8」とのペアリングを楽しめます。
筆者がお邪魔した早春は、ホタルイカのシーズン。沖漬け、茹でたて釜揚げポン酢あえ、炭火焼でさっと焼きとしっかり焼きの食べ比べ、なばなの土鍋飯と一緒にいただくなど、バリエーション豊かに旬の味を満喫。これを目当てに訪れる人も多いというホタルイカは、GW頃までいただけるそうです。

その他にも、贅沢に3種をいただく「富山湾めじマグロ 塩すだち 山葵醤油」、春が薫る「八尾の絹漉し豆富の木の芽味噌田楽」、皮が香ばしい「富山湾桜鱒、炭火焼き」、甘みたっぷり「富山湾、新港漁港の本ずわい蟹」、ぷりぷりの「蟹出汁のしゃぶしゃぶ」、濃厚な旨みの「蟹身のカニ味噌がけ」、滋味深い「富山の月の輪熊と、氷見のうどんの熊うどん」などで富山の幸まみれに。
それらを「リンク8」といただくのですが、お料理には桝田酒造店の仕込み水を使っているというのですから、合わないわけがないのです。
テイスティングで感じたように、「リンク8」は、食前酒、食中酒、食後酒と通していただいても、全く飽きることがありません。
お酒自体の味はしっかりしていて、つまみなしでも満足できる主役級の存在であるにもかかわらず、料理と合わせるとその引き立て役も喜んでかって出る。
その様子は、野球のWBCで一人何役もこなし、単身でスターの風格を漂わせながらも、優勝に私欲を廃して貢献した大谷翔平のようでもあり、ときにはソロで、ときにはオーケストラで名演を実現させる音楽家のようでもあるのです。
東京の調理学校で学び、金沢、京都で修行したという店主の藤井寛徳さんは、「富山は港と漁場が近いので、魚介がとにかく新鮮なまま届くのが魅力」なのだと、帰郷して店を開いた理由を教えてくれました。
さらには、食材の魅力を活かす才能をのびのびと発揮でき、多彩なチャレンジも受け止めてくれる岩瀬地区の大らかさに惹かれて、ここに出店を決意したそう。
なるほど、大胆さと繊細さを併せ持つお料理、そして食を最大限に楽しむためのプレゼンテーションなど、藤井さんの創造力が存分に活かされていることを感じるひとときでした。
●期待を遙かに超える、知る人ぞ知る美酒と美味の里
まるで美酒に吸い寄せられるように、「御料理 ふじ居」をはじめ、北陸ミシュランに掲載されている星つきレストランが6軒も集まっている岩瀬地区。きっかけは、数年前に町並みが修復され始めたため。景観が美しく整うことで人が集まる。
そんな風に、岩瀬地区の再生をすすめている人こそが、桝田社長。美味しい酒と美味しい料理、それらを彩る美しい器、楽しい時間を豊かにするアート、さらには美食体験を包み込む風情ある町並みまで、地区全体でダイナミックなマリアージュを実現させているのです。
![GAKU ceramics:陶芸家 釋永岳氏のギャラリー。漆のような色と質感が表現された美しい器は、岩瀬地区のレストランで今日も、ジャンルを問わずお料理を引き立てています/[住所] 富山県富山市東岩瀬町146](https://vague.style/wp-content/uploads/2023/04/GAKU1_maki.jpg)
全てのお店を訊ねることはできませんでしたが、日本酒と共にそば懐石が楽しめる「くちいわ」、喫茶スペースで桝田酒造店のお酒や氷見はSAYSFARMのワインを岩瀬拠点の作家たちの器でいただける「つりや東岩瀬」など、今回覗かせていただいたお店すべてが、日本らしい洗練とホスピタリティに溢れる居心地の良い空間がしつらえられていました。
「ぜひ再訪したい」「今度はこちらのお店でも、あちらのお店でもゆっくりしたい」と感じました。筆者は日帰りでかなり後悔したので、旅のプランを立てる際は、ぜひ最低でも1泊は予定してみてください。
日本を旅していると「どこへ行っても、驚きの美味がある」と実感しますが、裏を返せば、この国には探索すべき素敵な場所がまだまだあるということ。富山県の岩瀬地区は、明らかにその筆頭。
街全体が、ハイエンドなクリエーションに包まれていて、町歩きもとにかく楽しい。わざわざ訪れる価値ありのこの街は、期待を遙かに超える、知る人ぞ知る“美食天国”だったのです。
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