マセラティ新型「グラントゥーリズモ」はどう進化? 乗ってわかったエンジンモデルとEVの高性能ぶりとは
エンジン車だけでなくフォルゴーレにもマセラティらしさはある?
トロフェオでモデナの街並みを走り始める。

乗り心地は少し硬めだが、サスペンションの動き自体が素直なうえ、ボディ剛性が高いのでイヤな感じは一切しない。
それどころか、この少し硬めの足回りがマセラティらしい機敏で正確なハンドリングを実現。しかも直進性が素晴らしいから、高速道路を走っていてもリラックスしてステアリングを握っていられる。
同様にしてコントロール性が高いので、イタリアの郊外によくある狭い一般道でのすれ違いでも不自由することはなかった。グランツーリズモの全幅が1957mmもあることを考えれば、これは異例のことといっていい。
MC20がそうだったように、グラントゥーリズモでもネットゥーノ・エンジンは軽快なスロットルレスポンスを発揮。しかも低速域のトルクも十分なので、とても扱い易い。
最高出力550psと聞いて想像される「神経質さ」とは無縁の、とても洗練されたパワーユニットだ。
もうひとつ、このエンジンの魅力といえるのが、V6エンジン特有の、歯切れのいいビート感である。
それも、いつまでも聞いていたくなるような音質と音量でドライバーの心を潤してくれる。決して刺激的なスポーツカーではないのに、どれほど走っても退屈させることなく、しかも疲れることがないのは、このエンジン音に大きな秘密が隠されているような気がする。
ところで、新型グラントゥーリズモは、いまも述べたようにアドレナリンがあとからあとから湧き出してくるような刺激的なクルマではないけれど、ワインディングロードでは、正確なハンドリングと優れたドライバビリティにより安心してスポーツドライビングが楽しめる。おそらくサーキットに持ち込んでもかなりのコーナリング性能を発揮してくれるはずだが、そういうパフォーマンスを決してひけらかすことのない上品さもまた、マセラティらしいキャラクターといえる。
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もう1台のフォルゴーレは、こうしたグラントゥーリズモの基本的なキャラクターをベースとしながら、EVらしい低速域での圧倒的なトルク感や優れた静粛性が魅力的。
冒頭で触れたトルクベクタリングに関しては、自然な仕上がりなので明確な効果を感じることはなかったが、開発を担当したエンジニアによれば、滑りやすい路面やサーキットなどでの限界的なコーナリングでは、その効果が顕著にあらわれるという。
もっとも、フォルゴーレでワインディングロードを走ってなにより印象的だったのが、アクセルペダルのオン/オフで自然な荷重移動を生み出し、これによってコーナリングラインを微調整できる点にあった。
一般的にEVは大量のバッテリーをフロアの低い部分に広く敷き詰めているために重心が低く、それゆえに荷重移動を生み出しにくい傾向が見られた。エンジン車のスポーツドライビングに慣れたドライバーにとって、これはやや不自然に感じられるはずだが、グランツーリズモ・フォルゴーレは意のままに操るのが容易。その意味でも、マセラティらしいスポーツEVであると感じた。
いずれにしても、最新のグラントゥーリズモに試乗して強く感じたのは、従来のマセラティに比べてハードウェアの完成度やクォリティ感が飛躍的に向上するとともに、デザインの純度が高くて極めて美しい点にある。こうした印象はMC20や「グレカーレ」にも共通するもの。電動化という目新しさだけでなく、クルマの本質的な価値が著しく向上しているという面でも、現在のマセラティが変革期にあるのは間違いなさそうだ。
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