世界に5台だけの特別なミニカーがオークションに! 耐久レース王者の原点!? ポルシェ「956」風洞試験用ミニチュアの気になる価格とは?
前作マシンのおよそ3倍のダウンフォースを得た956
“グループC”カテゴリーのレースにおいて大成功を収め、“耐久レースの王者”という称号を得たドイツの名門ポルシェ。その参戦マシンの風洞試験用ミニチュアモデルのコピーが、先日、オークションに出品されていました。

1980年代、モータースポーツ界は新たな時代を迎えていました。エンジン、重量、燃料などのレギュレーションが細かく定められた“グループC”カテゴリーが全盛期を迎えたのです。
それを受けてポルシェは、ル・マンを制した「917」や「935」と同等の成功を収めるべく、よりGT性能に特化したレーシングカーづくりを推進。ポルシェの名エンジニアとして知られるノルベルト・ジンガーを中心に、「956」の開発が密かに進められました。
そのプロトタイプはドイツのヴァイザッハにある開発センターで設計と風洞実験をおこない、エンジニアチームは有名なセンター・オブ・エクセレンスで人目につかないよう作業をおこなったそうです。
「956」は、1981年にル・マンを制した「936」に搭載されていた、水平対向6気筒ツインターボをベースとするエンジンを搭載。その最高出力は620psに達していましたが、その一方で、新しいルールに則った燃費規定のクリアにも成功して見せたのです。
1982年5月16日、ポルシェ「956」はシルバーストーン6時間レースでデビュー。その最初のレースで、“グループC”カテゴリーの総合優勝を果たす快挙を成し遂げたのです。それは、来るべき未来の成功を予感させるに十分な出来事でした。
その予感どおり、「956」は耐久レースの最高峰であるル・マン24時間耐久レースでトップ3を独占。また、この年の世界耐久選手権では、マニュファクチャラーズランキングに置いて総合優勝と3位の座を獲得しています。
翌1983年、「956」は再びマニュファクチャラーズタイトルとドライバーズタイトルを獲得します。さらに、ドイツ・ニュルブルクリンクでおこなわれた1000kmレースの予選でポールポジションを獲得したドイツ人ドライバーのステファン・ベロフは、6分11秒13という驚異的なラップタイムを記録。このタイムは35年間破られることがなかった偉大なる記録といえます。
そんな「956」は、ポルシェ初の“グラウンドエフェクトマシン”として製作されました。水平対向エンジンは横幅が広いためグラウンドエフェクトマシンには不向きとされていましたが、ポルシェはその課題を、エンジンを5度前傾させて搭載することで解決。これにより、グラウンドエフェクトマシンに欠かせないディフューザーのスペースを確保したそうです。
また「956」は、フロントアクスル下部に“ポルシェハンプ”と称される凹みを設けることでベンチュリー効果を生み出し、フロア下の気流をコントロールしていたことでも知られています。
そうした結果、「956」は先代のレースマシンに相当する「917」と比べて、約3倍ものダウンフォースを獲得していたそうです。ちなみに、ワークスマシンと市販マシンとではフロア下のアンダートレー部が異なり、後者は若干ダウンフォースが劣っていたといわれています。
●世界に5台しか存在していない“完全再現品”
そんな「956」と後の改良マシンである「962」の風洞試験用ミニチュアモデルのコピーが、ボナムズのオークションに出品されていました。
ボナムズの出品紹介には、「5台だけが製造された、風洞試験用ミニチュアモデルの完全再現品の1台」と記されています。
全長103cm、全幅40cmというサイズを持つこの風洞試験用ミニチュアモデルは、5737.5ユーロ(約89万円)で落札されました。世界にたった5台しか存在しない完全再現品ですし、最近の高級ミニチュアモデルよりも安いとなれば、ものすごくリーズナブルに感じられます。
ボナムズのような“高級オークション”にも、意外と手ごろなものがあるんですね。ガレージに置いても、リビングルームに飾っても、価格以上のオーラを放ってくれそうです。
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