体温より低い“ぬる湯”で長湯するのが伝統的な入浴法! 食事と温泉も地産地消 湯治場の風情を残す「栃尾又温泉」とは
栃尾又温泉のシンボル「したの湯」。 効能豊かな「放射能泉」を堪能できるパワースポット
栃尾又温泉のメインは、共同浴場である大浴場「霊泉の湯」。「おくの湯」、「うえの湯」、「したの湯」の3か所があり、3軒の宿に宿泊するお客さんが、共同で利用します(男女は時間帯で入れ替え)。

その中でも、栃尾又温泉のシンボル的な共同浴場が「したの湯」。谷底(地下)にあるため、自在館からは、館内直結の長い階段を下っていきます。
大きな窓、板目の壁、岩とタイルが配された浴室には、15人ほどが一気には入れそうな浴槽と、2人サイズの小さな浴槽があります。
30度ちょっとの源泉を、加温・加水・循環・消毒のない「完全かけ流し」で、滔々と湯船に流しています(小さい浴槽は加温)。
湯温は体温よりも低いぬるめのため、1~2時間ほどゆっくり長湯するのが、栃尾又温泉の伝統的な入浴法。入った瞬間はヒヤッと冷たさを感じますが、しばらくつかっていると、湯が肌になじんできて、包まれるような感覚に。そのうち、身体の内側からポカポカ感が湧き上がり、温泉と一体化したような夢心地の境地に浸ることができます。
この日も10人ほどが入っていましたが、皆一言も発さず、黙々とお湯に向き合っています。殺伐としているわけではなく、それぞれが癒やされるために「瞑想」している、静寂のパワースポットのような空間。なんだか、神秘的であたたかい雰囲気でした。
栃尾又温泉の泉質は、単純弱放射能泉。前述のとおり、無色透明でクセのないお湯ですが、放射能の「ラジウム」を微量に含んでいます。
放射能という言葉にマイナスなイメージを持っている人もいると思いますが、温泉の放射能は、原発などのそれと、種類や半減期などの違いがあり、人体への悪影響はほとんどありません。
そのうえ、この泉質は「万能の湯」といわれるほど効能豊かです。「ホルミシス効果」といわれ、細胞に刺激を与え活性化し、体質改善や免疫力アップに良い影響があるとされています。そんな放射能泉の効果を最大限に得るには、加温や循環などはせずに、気体を吸入することがポイントなのだそう。そのため、このような内湯に長くつかることが、その効用を得るには最適です。古くから「湯治場」として栄えてきた所以は、ここにあるのだな、と感じます。
魚沼産コシヒカリ、川魚、野菜をふんだんに使った「素朴なふるさとの味」は絶品!
自在館の食事は、「健康に還る」ことを目指し、野菜、肉、魚のバランスを考え、郷土料理に組み込むなどを心がけた湯治食です。見た目の派手さはありませんが、地元の食材をつかった「素朴なふるさとの味」。魚沼地方のお宿のため、ベースのお米が「魚沼産コシヒカリ」という、食材エリートエリアの食事を楽しむことができます。
この日の夕食は、ニジマスの刺身、イワナの塩焼き、鴨鍋、山芋の挽き肉重ね焼き、ピーマンとしらすの鰹あえ、粕汁などが並びます。山あいの宿らしい、川魚メインの料理に舌鼓。魚は新鮮で、お肉はやわらかく、野菜は甘味と旨味が濃く、素材の味を活かすやさしい味付けが絶品でした。魚沼産コシヒカリのご飯は、ふっくらとして甘く、芳ばしい良い香りがただよい、おかずなしで何杯もおかわりしたくなる美味しさです。
新潟県は酒どころでもあるため、日本酒のラインナップも充実しています。この日は地元・魚沼のお酒「緑川」を別注し、食事とともに堪能。川魚料理との相性も抜群です。デザートの、温泉ゼリーとメロン、オレンジまで、心も身体も喜ぶのがわかる、大満足の夕食でした。
朝食には、自在館名物の「ラジウム納豆」が出ます。これとご飯の相性はもちろん抜群で、私が今まで食べてきた温泉旅館の朝食で、一番印象に残る美味しさでした。
※ ※ ※
栃尾又温泉は、都内から最短で2時間強で行ける、週末の温泉旅行にもぴったりな温泉です。
そこで味わう、温泉旅行の楽しみツートップ「温泉」と「食事」。地元の食材や、名物料理を堪能し、その土地から湧き出した温泉そのものを楽しむ。思い出す(想像する)だけでも、心が幸福感につつまれますよね。温泉も食事も「地産地消」が一番です。
【栃尾又温泉 自在館】
住所:新潟県魚沼市栃尾又温泉
電話:025-795-2211
URL:https://www.jizaikan.jp/
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