新感覚ドライビング!! スカイラインのセダン王政復古
まるでバーチャルゲームのようなフラットな感覚
御殿場ICで東名高速をおりると、国道138号線で箱根方面へと向かった。スカイラインという名がつく限り、カスタマーが求めるものは、操る愉しさ、ファン・トゥ・ドライブであろう。
最初にプロパイロットスイッチを押して、プロパイロット2.0を完全にオフに。一般道でも車間・車速制御が作動するからだ。
スカイライン GT Type SPに搭載されるエンジンは、3.5リッターV型6気筒で、最高出力306馬力/6800rpm、最大トルク350Nm/5000rpmを発揮。モーターは、最高出力68馬力、最大トルク290Nmだ。
これに電子制御の7速ATが組み合わされている。ハイブリッドには4WDと2WDがラインナップされているが、試乗したのは後輪駆動の2WDモデルの方だ。
最初に印象に残ったのは、操縦安定性の高さだ。わだちのある荒れた路面でも、挙動が実にフラットな印象なのだ。また、コーナリングでも鼻先軽く、スッと入っていくイメージ。さらに付け加えると、常にニュートラルをキープしているなんとも不思議な感じ。
車検証上での車両総重量は2135kgなのだが、スッキリとした乗り味とハンドリングは、「オジサマのセダン」などではなく、正真正銘の「スポーツセダン」。
実はこれには理由があった。「ダイレクトアダプティブステアリング」の恩恵によって、荒れた路面のワインディングでも、実に好印象となったのだ。
ダイレクトアダプティブステアリングでは、路面反力や路面不整による力を打ち消すようにステアリングアングルアクチュエーターを作動させて、タイヤを操舵する。これによってタイヤがわだちに取られるようなことがなくなったというわけだ。
さらに400Rに標準、V型6気筒ターボモデルの「GT Type SP」にはメーカーオプションとして、「インテリジェント・ダイナミックサスペンション」も用意されている。
これは、タイヤ回転速度、操舵角、ヨーレート、横Gなどの情報を瞬時に集約させ、およそ100分の1秒の速さで4輪それぞれの減衰力を制御して、クルマの挙動を最適化するものだ。
路面の凹凸の大きさに合わせて減衰力を制御するので、上下動の少ないフラットな乗り心地を実現し、コーナリングの際はロールを抑制する働きがある。今回の試乗では試すことができなかったが、さらにスカイラインに走りの要素を求める人には、インテリジェント・ダイナミックサスペンションを装備したスカイラインがオススメだろう。
車外の景色は見慣れた箱根の風景だが、ドライビングはバーチャルに近い感覚。スカイラインのホットバージョンである400Rは、20代から40代の購買層が約3割とのことだが、若い世代にスカイラインのドライビング感覚が受け入れられるのも、よく分かる気がする。
仙石原から箱根湯本までは、ドライブモードセレクターを「スタンダード」から「スポーツ」モードへと切り替えて走ってみた。エンジンやトランスミッションなどのレスポンスがクイックになり、ステアリングフィールが重厚な手応えに変化するばかりか、アクティブ・サウンド・コントロールによってエンジンサウンドの音質も高まり、気分も高揚する。
走りのステージに合わせて車両を最適化するだけでなく、サウンドでドライバーの気分を盛り上げるという演出も、新しいドライビングプレジャーのひとつの要素となっていくのかもしれない。
スカイラインは、2019年のマイナーチェンジを経て、そのストーリーも含めて新たな世代のプレミアム・スポーツセダンへと進化していた。
最後に、実際にはプロパイロット2.0でハンズオフして高速道路を走行する人は数少ないだろう。ハンズオフできる状態でもステアリングを握っている方が、現段階では安心していられる。
しかし、大井松田と御殿場間のコーナーを、ハンズオフして走行できるだけのハイレベルな運転支援技術が備わっているという事実は、ドライバーにとっては大きなアドバンテージとなる。
いまやセダンは、趣向性の高いクルマとなった。そしてプレミアムなクルマに求められるのは、いざというときのためのバッファだ。
心から信頼できる運転支援技術だからこそ、運転しているドライバーの心に余裕が生まれ、スカイラインをドライブしている時間が、贅沢な時間と体験へと昇華されるのだ。スカイラインは、いままでにない極上のドライビングプレジャーを与えてくれるセダンなのだ。
page
- 1
- 2
VAGUEからのオススメ

タイヤの選び方が変わるーーデザインによる世界観の表現と性能とを両立したブリヂストン REGNO「GR-XIII B Edition」で“大人のドレスアップ”【PR】