特別モデル「F80」とは次元が違う! フェラーリの伝統を継承する「ドーディチ チリンドリ」は“新V12エンジンの恩恵”で快適性も抜群
速さとゆるやかさ、快適性と運動性など相反する要素を高次元で融合
「ドーディチ チリンドリ」の「812スーパーファスト」からの進化点として最も注目されるのは、物理的に20mm短縮されたホイールベースに重ねて、彼らがいうところのバーチャルショートホイールベース=後輪操舵が加えられたことでしょう。

いわずもがな、運動性能の向上をねらったものですが、一方で搭載されるF140HD型ユニットは830馬力のアウトプットがありますから、スタビリティの側が心配になってきます。
が、「458イタリア」辺りからのフェラーリは、eデフ+サイドスリップコントロールに代表されるボディコントロールデバイスの統合制御がとても上手になりました。「ドーディチ チリンドリ」はその最新世代ということもあって、クローズドコースでも不安なくそのパワーを扱うことができます。
もちろん、思慮なく踏めば簡単にクルクル回ることは自明ですが、ヒューマンエラーを可能な限り軽減しつつ、ドライビングプレジャーを際のキワまで引き出す味つけはさすがといえます。
一方で、「812スーパーファスト」を大きくしのぐのは乗り心地のよさでしょう。高速域では操舵と同位相で連動する4輪操舵のおかげもあってサス設定の自由度が高まった、そこを快適性の側にもしっかり振り分けている、そんな印象です。
そしてあろうことか、この快適性に一助しているのが件のV12ユニットです。低中回転域のしなやかな摺動感はさながら高級サルーンの趣きながら、高回転域に向けての無尽蔵にわき立つかのごときパワーと、シンクロするハイトーンなエキゾーストサウンドは、フェラーリ以外の何物でもないことを乗る者に焼きつけてくれます。
速さとゆるやかさ、快適性と運動性といった相反する要素を高次元でまとめ上げる、そんなクルマは世にGTと称されてきました。そしてそのコンセプトが生まれた欧州の地で、GTの最高峰と称されてきたのが実はフェラーリです。
アストン マーティンやマセラティやとGTの名門は数あれど、フェラーリにはレーシングフィールドから降りてきた12気筒ユニットがありまして、それを搭載した「250GT」シリーズが1960年代を相前後して一世を風靡したことで、フェラーリのポジションは決定的なものとなったわけです。
その「250GT」シリーズの中からは、「250GT SWB」や「GTO」といったスーパースポーツの流れも派生します。「ドーディチ チリンドリ」はいってみれば「250GT」シリーズのふたつの文脈を併せ持ったオーセンティックなフェラーリの最高峰といえるでしょう。
価格差だけでみれば「F80」とは次元が違う存在に見えるかもしれませんが、ブランドの伝統の系譜という点においては、「F80」とは一線を画する完膚なきクラシックという見え方もするわけです。
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