“漫画の神様”手塚治虫が愛した『一番飯店』の名物料理・上海焼きそばを味わう【遠くても行きたい町中華#14】
●漫画の神に愛された、親子3代、72年の歴史を誇る中華料理店
JR山手線の発車メロディは『鉄腕アトム』。高田馬場は、手塚プロダクションがあることから鉄腕アトムを始め、火の鳥やリボンの騎士など、さまざまな手塚治虫作品の生誕地とも言われています。
その高田馬場に、手塚治虫が愛した町中華があると聞き、向かったのは駅から徒歩6分ほどの場所にある「一番飯店」。ランチタイムや週末には行列ができる人気店です。

「昭和の終わり頃ですね。手塚プロダクションさんは出前で当店をよくご利用いただいていたのですが、ある日先生から『焼きそばに八宝菜を乗っけてほしい』とリクエストされたんです。先生は1日1食しか食べない方だったので、バランスよく食べていただけるよう、先代が野菜や魚介など、具材を色々と入れて作ったのがきっかけですね」と話すのは、2代目店主の山本義家さん。
お店自体は白金や浅草などにあった時代も含め、創業から72年。親子3代、4代にわたって愛され続けている中華料理の店です。数あるメニューの中から、おすすめの料理3品を教えてもらいました。
●一番飯店の看板メニュー! 巨匠考案の「特製上海焼そば」
まずは一番飯店を語る上で欠かせない、手塚治虫のリクエストによって生まれた特製上海焼きそば。
「当時は先代が腕を奮っていたのですが、手塚先生からこういう要望があった、と伝えると『わかった』と。それでこの特選上海焼きそばをお持ちしたのですが、それからしばらく注文はなかったんですよ。随分経った頃、手塚プロダクションの方から『先生がこの間頼んだアレを食べたいとおっしゃっていますが、わかりますか?」と聞かれて、またお持ちするようになりましたね。
実は先代は出張料理人として、政府の要人などに料理を振る舞っていた経験があり、それこそさまざまな、わがままな要望にも応えていった経験があるんです。
なので、おそらく手塚先生が食べたいものはこういうものではないかと想像して作った結果、先生にお気に召していただいたのかと思います」

焼きそばの具には、シイタケ、キクラゲ、フクロ茸、青梗菜、鶏肉、小海老、イカ、アサリ、大きめのエビなど、八宝菜の八を超えた9種類。
しかも具だくさん! さまざまな具材やあんかけなどから出てくる旨みが幾重にも重なり、深い旨味となっている贅沢な味わいです。
●トマトの酸味と旨みがしっかりしているのに軽やか!「トマトタンメン」
「随分前に、トマト農家の方にもらったトマトが美味しかったので、作ろうと思ったのが最初ですね。ただスライスしたトマトを乗せるだけではつまらない。うちのトマトタンメンは、トマトの量を結構使うんですよ」と店主。
生のトマトを丸ごと中華鍋で火を入れ、潰し、トマトの持つ旨みをギュッと濃縮するところから始まります。
具はキャベツ、キクラゲ、豚肉とトマト。スープは豚骨や鶏ガラから取ったもので、味付けは塩、砂糖、そしてトマトの旨み! 麺は細麺または中太麺が選べます。
「グループで食べに来たお客様は、シメに焼きそばやトマトタンメンを頼んで、分け合う人が多いですね」。居酒屋感覚で単品料理や小皿料理をお酒と楽しんだ後にシメの麺類。それは絶対に頼みたくなる!
イタリアンと中華のいいとこ取りをしたような一杯で、おそらくですが、粉チーズをかけても美味しいのでは? 旨みがしっかりなのに後味は軽やか。若い女性客に人気というのも納得です。
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