時速431キロは当時 世界最速だった! 21年前に開業した“上海リニアモーターカー”はいまどうなっている? 実際に乗ってわかった「使われない理由」とは
「今後積極的に利用することはない」と感じた理由
過去に何度か上海を訪れている筆者ですが、上海トランスラピッドに乗るのは今回がはじめてでした。

結論から言えば、大きくわけて2つの理由から、筆者が今後、上海トランスラピッドを積極的に利用することはなさそうです。
ひとつは、到着駅である龍陽路駅が上海の中心部や人気の観光地からやや離れているという点です。
たとえば、上海のもっとも有名な観光地である外灘(バンド)エリアやビジネスの中心地である陸家嘴(りくかし)エリアへは、龍陽路駅からさらに20〜30分ほど地下鉄に乗る必要があります。また、上海ディズニーランドへのアクセスも微妙です。
もうひとつは、上海トランスラピッド以外の交通手段が充実しているという点です。
筆者の場合、中国での移動は基本的にタクシーを利用します。
中国では移動のコストが日本と比べてかなり割安であり、中心部まで約30kmの道のりをタクシーで移動したとしても150元(約3000円)程度です。
最近では配車アプリによってすぐに呼び出すことができるうえ、アプリ上で事前決済もできるため料金が想像以上に跳ね上がるということもありません。
また、よりコストパフォーマンスを重視するのであれば、地下鉄を利用するという方法もあります。
乗り換えの手間などもありますが、中心部までわずか10元(約200円)程度でアクセスできるのは地下鉄の大きなメリットです。
いずれの移動手段を選んだとしても、中心部までの所要時間は大きく変わりません。
つまり、「多少費用がかかっても楽に移動したい」というユーザーにはタクシー、「できるかぎりコストを抑えたい」というユーザーには地下鉄という選択肢があるなかで、アクセス面でもコスト面でも微妙な上海トランスラピッドを選ぶ必然性がないというのが筆者の率直な感想です。
また、かつては431km/hもの最高速度を誇っていた上海トランスラピッドですが、近年では最高300km/hへと制限されていることから、「世界で最も速い鉄道に乗りたい」と思うユーザーのモチベーションを満たすことも難しくなりつつあります。

強いて言えば、上海最大級の国際展示場である「上海新国際博覧中心」は龍陽路駅が最寄りとなっているため、そこを目的地とする場合には上海トランスラピッドを利用するメリットはありそうです。
ただ、総合的に見るとやはりそのメリットは感じにくく、かつて話題を呼んだ上海トランスラピッドは現在では過去の遺物となりつつあるのが実情のようです。
※ ※ ※
上海トランスラピッドには、龍陽路駅から上海中心部を経て約180km離れた杭州まで延伸するという計画がありました。
実現すれば利便性が大きく向上することは確実ですが、2025年1月現在、具体的な進捗はありません。
一方、中国の各都市を新たな超高速リニアで結ぶという構想があるとされており、そこに上海トランスラピッドのノウハウが生かされる可能性は大いにありそうです。
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