「欧州の人気バイクブランド」が採用! 水平対向にV型…個性派“縦置き2気筒”の美点とは? 代表的モデル3台の気になる実力【エンジンから見えるバイクの個性】
エンジンの回転方向が乗り味に影響する
バイクにはさまざまなタイプのエンジンが搭載されており、それが各モデルの個性を演出しています。そんな中、ひときわ個性が強いのが“縦置き2気筒エンジン”です。

バイクのエンジンは、クランク軸が車体に対して横向きに配置される“横置き”と呼ばれるタイプが一般的です。それに対し、クランク軸が車体に対して縦に配置されたエンジンが“縦置き”と呼ばれるもの。BMWが得意とする“水平対向(ボクサー)”エンジンや、モト・グッツィの“V型2気筒”がこれに該当します。
クランク軸が縦置きされるということは、エンジンの回転方向は車体に対して横向きになります。そのため、タイヤに動力を伝えるべく回転方向を90度変換してやる必要があり、チェーンではなくシャフトドライブを採用しているのが特徴です。
また、車体が停止した状態でエンジンの回転を上げると、回転方向に向けて車体が傾くのも“縦置き”エンジンならではの特徴といえます。
このエンジンの回転方向が、ハンドリングにも影響を与えます。一般的な縦方向に回転しているエンジンだと、タイヤとともに回転による慣性が発生するため、左右へバンクする動きに対して抵抗となります。
それに対して“縦置き”は、エンジンによる回転が抵抗にならないため、バンクさせる動きが軽快になるメリットがあります。
BMWやモト・グッツィのバイクは、車格に対して倒し込みの操作が軽いと感じることがあるのはこれが理由です。
水平対向エンジンの場合、シリンダーが低い位置にあるため、低重心化を実現できるのもメリット。逆に、シリンダーヘッドが横に張り出すことから、バンク角が制限されるのはデメリットです。
縦置きV型2気筒の場合、横置きと比べてエンジンの前後長を短くできるのがメリットといえます。ただし、シリンダーの位置がライダーのヒザに当たりやすくなるため、ライディングポジションが制限されてしまいがちです。
●“縦置き2気筒”エンジンを搭載する注目モデル3選
“水平対向2気筒”エンジンをラインナップする代表的なバイクブランドといえば、なんといってもBMW。同社は1923年に初めて製造した「R32」というモデルにも“水平対向2気筒”エンジンを搭載していました。
その伝統を色濃く受け継いでいるのが、先ごろ発表されて日本限定200台がすでに完売した「R 12 S」。空油冷水平対向エンジンの左右に張り出したシリンダーは、デザイン上においても大きなポイントとなっています。
スタイリングは、1970年代のレースシーンで活躍した「R 90 S」をオマージュしたもの。ベースとなっている「R 12 nineT」というモデルは、クラシカルなスタイルながら軽快で扱いやすいハンドリングが特徴のため、「R 12 S」もその特性を受け継いでいると思われます。
2024年に登場したアドベンチャーバイクのトップモデル「R 1300 GSアドベンチャー」に搭載されるのも“水平対向2気筒”エンジン。こちらは水冷式で最高出力145psを発生するなど動力性能の高さも兼備しています。
モト・グッツィの“縦置きV型2気筒”エンジンも、戦後一貫して製造され続けてきた伝統あるものです。特に、1965年から生産される「V7」シリーズに搭載されている90度Vツインエンジンは、熟成された完成度が魅力です。
最大トルクは73Nmで、3000rpmで約80%のトルクを発生する低回転寄りのエンジン特性が魅力的。さまざまなタイプのモデルが用意されていますが、コンパクトなカウルを装備した「V7 Stone Corsa(ブイセブン ストーン コルサ)」は往時のレースマシンを思い起こさせるルックスが特徴です。
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多様な特徴や乗り味を備える2気筒エンジンの中でも、ひときわ強い個性を放つ“縦置き2気筒”エンジン。ほかにはない走りの味わいを求めるライダーなら、一度体験することをおすすめします。
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