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“未来のくらしを創造する研究所“の正体とは? “次世代”をデザインするパナソニック「FUTURE LIFE FACTORY」の存在理由【Behind the Product #23】

開発現場とは異なる環境だからこそ生まれるユニークな発想

 昨今は、これら新しいアイデアを備えた製品というのは、従前どおりの開発をたどっていてはなかなか生まれ出てこない状況になっています。

見た目は地味だが、きのこの菌糸を建築素材にしようというアイデアは、とても魅力的に感じた
見た目は地味だが、きのこの菌糸を建築素材にしようというアイデアは、とても魅力的に感じた

 そこで、従来のデザイン部署とは少し離れた環境で、若手のメンバーが未来のくらしを思案。その世界で必要となるモノやコトを考えるというのがFLFの役割だと、中田さんは話します。

「目の前にある課題だけを見て製品を開発していては、10年後や20年後にはほかに置いていかれるという危機感みたいなものを抱き、FLFにやって来るというメンバーが多いですね。

 そして、単に製品を生み出すことが唯一のゴールではないという環境下で、プリミティブなデザインや素材に注目した研究などをおこない、世の中の課題を解決していくための組織でありラボというのが、このFLFなのです」

 聞けば聞くほど、パナソニック社内におけるFLFは異色の部署であると感じます。どんなメンバーが配属され、配属された人はどれくらいの期間、ここで研究開発にいそしむのでしょうか?

「配属されてくるメンバーのバックグラウンドは実にさまざまです。プロダクトデザイナーやエンジニア、そして私のようにUIやUX分野を担当していた人間もいます。また、自薦で来る人、他薦で来る人もさまざまです。

 そうした背景の異なる人材が集まっているため、『こんなものをつくりたい』と誰かが発想した際、ほとんどのものをメンバーだけで生み出せて、プロトタイプまでつくれるという強みがFLFにはあります。

 配属期間については明確な決まりはありませんが、およそ2年で他の部署へと異動し、FLFで得た知見を新たな部署で広めていきます」(中田さん)

●FLFはパナソニックだからこそ必要な組織

 FLFはこれまで、少なくとも毎年5つ以上のプロジェクトを展開し、プロトタイプなどを生み出してきました。

 すでにFLFの結成から8年が経過していることもあり、蓄積してきたものは多彩。FLFから商品開発の現場へと戻ったメンバーも少なくありません。

 そのため、ラボに展示されている各種デバイスの中には、プロジェクトを立ち上げたメンバーがすでに異動になっているものも多数ありました。

 その中で筆者が「ぜひ開発を進めて欲しい」と思ったのが、きのこの菌糸を建築素材にするというコンセプト提案です。

「きのこの菌糸は、培養すればどんどん増えていきます。また、乾燥させると石こうのようにカチカチに硬くなるんです。もちろん、不要になったら土に返すこともできるので、これを建築材に利用できれば非常にエコな建材となります」(中田さん)

FLFのチームリーダーを務める中田裕士さん
FLFのチームリーダーを務める中田裕士さん

 菌糸の増殖速度や、増えていったときの形を巧みに制御できれば、建材として利用できる可能性は広がることでしょう。もし製品化された際には、テントや山小屋、仮設の住宅など、さまざまなシーンで使われるのでは? と感じました。

* * *

 FLFが手がけるプロジェクトは多岐にわたりますが、多彩な製品を世に供給しているパナソニックだからこそ、FLFのような組織が必要なのかもしれません。

 今回、FLFのラボに潜入し、未来のくらしを先取りしてみて、そのくらしの中で必要となるであろうコンセプトやアイデアの指針が生み出されていくことに期待したい……そんな風に感じました。

 次はどんなアイデアを見せてくれるのか? FLFの未来が楽しみです。

Gallery 【画像】「えっ!…」これがパナソニックの“謎の開発チーム”「FUTURE LIFE FACTORY」と未知のプロダクツです(15枚)
「カチッ」と日常をオフに。至福の時を刻む、マインドフルネス

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