VAGUE(ヴァーグ)

「カウンタック」を生んだ鬼才がデザイン! 往年の“人気スーパーカー”デ・トマソ「パンテーラ」の最終モデルが予想を超える高額で落札された理由とは

ガンディーニ作ながら販売台数は38台にとどまる

 デ・トマソ「パンテーラ」は、イタリア製のボディにフォード製の大排気量エンジンを搭載した伊米合作のスーパーカー。先ごろ、その最終モデルがオークションに出品され、予想を上回る価格で落札されたことが話題となりました。

先ごろRMサザビーズのオークションに出品された1991年式の「パンテーラ90Si」(C)RMサザビーズ
先ごろRMサザビーズのオークションに出品された1991年式の「パンテーラ90Si」(C)RMサザビーズ

「パンテーラ」は、イタリアの名門カロッツェリア(コーチビルダー)であるギアに在籍していたアメリカ生まれのデザイナー、トム・ティアーダ率いるチームがデザイン。1970年にイタリアのモデナでデビューし、その後、ニューヨークモーターショーで展示されました。

 その生産は1971年に始まり、幾度ものマイナーチェンジを経て1992年まで生産されました。以前、デ・トマソが販売していた「マングスタ」よりはるかに人気があるモデルであることが証明され、特に北米では製造された7260台のうち、5000台以上が販売されることになりました。

 そんな「パンテーラ」ですが、約20年にわたるライフスパンに発売されたものの中に派、希少なモデルも存在します。その際たる例が、いわゆる最終モデルに当たる「パンテーラ90Si」です。

 最終モデルは、ランボルギーニの名車である「ミウラ」、「カウンタック」、「ディアブロ」などを手がけたことでも知られる伝説的デザイナー、マルチェロ・ガンディーニの手による現代的なデザインがおごられました。

 また、デ・トマソはシャシーを軽量化してサスペンションに改良を施すとともに、エンジンには最高出力305馬力をたたき出すフォード「マスタング」と同じ5リッターV8を採用。

 ZF製の5速MTと組み合わされ、最高速度は150マイル/h(約240km/h)以上とうたわれました。ちなみにブレーキに、フェラーリ「F40」と同じブレンボ製キャリパーを採用した4輪ベンチレーテッドドリルドディスクを採用していたことでも知られています。

 まさに鳴り物入りで登場した「パンテーラ90Si」ですが、1990年代初頭の不景気のあおりを受け、生産台数はわずか41台にとどまりました。

 しかも、そのうち2台は衝突試験に利用されたほか、1台はデ・トマソ博物館に展示するために確保されたことから、一般向けに販売されたのはわずか38台。そのうち4台はタルガ仕様に改造されています。

 ちなみに「パンテーラ90Si」の新車は、北米市場では1台も販売されなかったそうです。

●エンジン換装はネガティブポイントにあらず

 そんな貴重な「パンテーラ90Si」が、先ごろアメリカ・マイアミにて開催されたRMサザビーズのオークションに出品されました。

 当該車両(シャシー番号9617)は、ジャッロ(黄色)のボディカラーとネロ(黒)のレザーインテリアという組み合わせで、新車時にはドイツへ納車された個体でした。

 長らくヨーロッパのオーナーに所有されていたようですが、2020年にベルギーから現在の所有者に譲渡され、アメリカへと輸入されています。

 オドメーターの表示は1万8763kmで、年式からすると極めて低走行。内外装ともに使用感はほとんど見られない極上車です。

 ただし、ヨーロッパ“滞在中”、エンジンがキャブレター仕様のフォード“351クリーブランド”V8エンジンに積み替えられていました。アメリカ到着後、信頼性を確保すべく新しいキャブレター、新しいディストリビューター、およびその他の点火コンポーネントへと換装されたということです。

 予想落札価格は15万~20万ドル(約2252万円〜3000万円)と見積もられていましたが、フタを開けてみれば31万3000ドル(約4700万円)での落札となりました。

 フルオリジナル状態が重んじられるクラシックカーのオークションですが、そもそもフォード製の汎用エンジンを搭載していた「パンテーラ」の場合、エンジン換装はさほど重要なポイントではなかったようです。

 それよりも、ガンディーニ作品のひとつであり、38台しか世に送り出されていない希少性なモデルであることから、予想を超える注目を集めたようです。

 デ・トマソ「パンテーラ」は、クラシックスーパーカーの中では維持しやすいモデルとのこと。ちょっと「いいなぁ」と思ったのは筆者だけではないはずです。

Gallery 【画像】「えっ…!」これがガンディーニの手がけたデ・トマソ「パンテーラ」のファイナルモデルです(18枚)
今しか買えない! 少量限定のプレミアムタイヤとは
浅草の職人魂から生まれた「KIWAME TOKYO ASAKUSA」 どんな腕時計?

VAGUEからのオススメ

タイヤの選び方が変わるーーデザインによる世界観の表現と性能とを両立したブリヂストン REGNO「GR-XIII B Edition」で“大人のドレスアップ”【PR】

タイヤの選び方が変わるーーデザインによる世界観の表現と性能とを両立したブリヂストン REGNO「GR-XIII B Edition」で“大人のドレスアップ”【PR】

RECOMMEND