全長5mのワーゲン「ビートル」!? 中身は超豪華なリムジン仕様がオークションに登場 「ロールスワーゲン」と呼ばれた56年前の希少な1台の価値とは
ホイールベースを約1m伸ばし、全長は約5m!
2025年8月に米国カリフォルニア州モントレーで開催されるRMサザビーズのオークションに、1969年式フォルクスワーゲン「ビートル・リムジン」が出品されます。
どんなクルマなのでしょうか。

この1969年型のフォルクスワーゲン(以下、VW)ビートル・リムジンは、米国西海岸でポルシェ/VWの販売代理店を経営するアマチュアレーサー、ジョン・フォン・ノイマン氏が注文したものです。
その異例な豪華さで、VW of アメリカが「3万5000USドル(当時のレートで約1260万円)のビートル」という印刷広告を出したほどです。
なぜノイマンが1960年代後半に2063USドル(当時のレートで約74万3000円)で買えるビートルを3万5000USドルもかけて豪華なストレッチリムジンに改造させたのか、その理由は謎のままです。
ですが、当時の資料によると、その理由は宣伝目的だったと示唆されています。
オーストリアからの移民であるノイマン氏は、西海岸でスポーツカーレースの基盤を築く一方で、スポーツカークラブ of アメリカ(SCCA)でポルシェ「356」と「550スパイダー」で熱心にレース活動を行っていました。
また、ポルシェとVWのアメリカでの成功に大きく貢献しました。
ノイマン氏は1950年代半ばに、西海岸とハワイの公式販売代理店としてパシフィック VW Inc.を設立しました。
VWクラシックパーツの証明書によると、このリムジンは1968年10月に通常のタイプ1(ビートルの正式名称)として製造されました。
当初は黒いボディカラーに赤いレザー調インテリア、1500ccのフラット4エンジンを搭載して、ニューオーリンズに納車されました。
その後カリフォルニアに送られ、チャパラルなどのレースカーを製造し、1968年型のポルシェ 911を4ドアに改造したことで知られるコーチビルダー、トラウトマン・バーンズが、ホイールベースを40インチ(約1m)延長し、全長を16フィート6インチ(約4.95m)まで伸ばしました。
この改造には、可能な限り本物のVW部品を使用しており、特注のリアドアやランニングボードにもそうした部品が用いられています。
また、南カリフォルニアのホットロッド ショップが、ペイントやインテリアの装飾を担当しました。
フロントシートはブラックのビニールですが、パーティションで区切られたリアには英国製のグレーのクロスが貼られたシートが向かい合わせに備わっています。
後ろ向きのシートは折りたたみ式です。
ス チールホイールはリム幅が拡げられ、ポリッシュ加工が施されています。
パワーユニットには48mm径のウエーバー製ダウンドラフト キャブレターが装着された1600ccのフラット4エンジンを搭載し、400ポンド(約270kg)増えた車両重量に対応しています。
室内はマホガニーのトリム、折りたたみ式シートの間にミニバー、運転席とのインターコム、カセットプレイヤー付きのフィリップス オーディオシステム、防音処理、パワーウインドーなどを装備し、そしてドアマンに合図するためのキャリッジランプが屋根に付けられています。
のちに、後部コンパートメントに現代のケンウッド製ヘッドユニットとCDチェンジャーが追加されました。
このクルマは、のちに1977年のVW社のプレスリリースで「ロールスワーゲン」と名付けられています。
このロールスワーゲンは、俳優のジョン・ウェイン氏を1970年のアカデミー賞授賞式に送迎したそうです。
1972年にノイマンはVW of アメリカに販売代理店権を売却し、このロールスワーゲンも一緒に売却しました。
VW of アメリカでは1977年までロールスワーゲンのプロモーションを継続し、1979年1月にオークションに出品しました。
落札者は、奇しくもジョン・ウェイン氏の友人で著名な自動車販売業者のチック・アイバーソンでした。
アイバーソン氏は1996年までロールスワーゲンを所有し、その後、カリフォルニア州ハーバーシティのVW部品サプライヤー創設者である、友人のローレンツォ・ピアソンに売却しました。
それ以来、ピアソンの著名なコレクションの中に収められ、20年以上にわたって適切なメンテナンスが施されてきたことが記録されており、その価値が十分に評価されていることがうかがえます。
世界でもっとも有名なエコノミーカーから世界でもっとも経済的なリムジンになった、「ロールスワーゲン」こと1969年型のVW ビートル リムジン。
オークションでの落札価格は、15万USドル〜20万USドル(1USドル=約148円として、約2220万円〜約2960万円)と予想されています。
VAGUEからのオススメ
海と向き合い、自らを再起動する――プロセーラーが語る、シチズン「プロマスター」で“限界を超える”意味とは【PR】