世界でたった12台しか作られなかった“2シーター・ベントレー”がオークションで落札 走行わずか1131キロの「バカラル」の価値とは
12台生産されたうちの5番目のバカラル
2025年12月にUAE(アラブ首長国連邦)アブダビで開催されたRMサザビーズ主催のオークションに、2021年式ベントレー「バカラル」が出品され、落札されました。
一体どんなクルマなのでしょうか。
ベントレー・バカラルは、2020年3月にその存在が明かされた際、現代のベントレーの中でも屈指の希少性を誇る2ドアモデルとして注目を集めました。
同時に、このクルマはブランドが長らく途絶えていたコーチビルド、すなわち注文製作車の世界へと本格的に回帰する象徴的な1台でもありました。
生産台数はわずか12台に限定され、発表と同時にすべてが完売しています。
企画からデザイン、設計、製造に至るまでの全工程は、顧客一人ひとりの要望を反映する形で進められ、1500年代の馬車製作を起源とするベントレー社内のコーチビルダー「マリナー」によって、丹念な手作業で仕上げられました。
スタイリングはコンセプトカー「EXP100 GT」から着想を得ており、後方へと流れるように絞り込まれたボディラインが、クラシックなバルケッタスタイルを現代的に再解釈しています。屋根を持たない大胆な構成も、このモデルの個性を際立たせる要素です。
構造面では、ドアおよびフェンダーにカーボンファイバーを採用し、リアセクションには軽量なアルミニウムを用いることで、高い剛性と軽量化を両立しています。搭載される6リッターW12エンジンは専用チューニングが施され、最高出力650馬力と豊かなトルクを発揮します。また四輪駆動システムは路面状況に応じて前後トルク配分を最適化し、優れた動力性能を支えています。
インテリアには、包み込むようなコクピットデザインの中に専用意匠が数多く盛り込まれています。ベントレー伝統のブルズアイ形状のエアベントをはじめ、スイッチ類やスピーカーにはバカラル専用のパターンが刻まれ、特別な空間を演出しています。

素材やカラーの選択肢はほぼ無限に用意され、12台すべてが唯一無二の仕様として完成しました。
オークションに出品されたのはこの12台のうちの5号車で、モナコのオーナーによって大切に保管されてきた個体です。ちなみにカタログ制作時点での走行距離はわずか1131kmとなっています。
外装にはメンフィスレッドが選ばれ、22インチホイールやブラック仕上げの各部、サテンニッケルのアクセントが洗練されたコントラストを生み出しています。室内には希少な古木であるヴァヴォナが用いられ、リネンとクリケットボールカラーのレザーが上質な調和を見せています。走行距離は1131kmと極めて少なく、2025年8月には正規ディーラーでのサービスも受けています。
メキシコのユカタン半島に広がる美しい湖「ラグーナ・バカラル」に由来するこの名は、本車の性格を的確に表しています。オープントップ・グランドツアラーの到達点とも言える存在といえます。
この2021年式ベントレー「バカラル」、最終的に87万6825ドル(1USドル=155円換算で、日本円で約1億3597万円)で落札されました。
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