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「パラパラ冷凍」と「オートクローズ」を実現する意外な仕組み!? シャープ最新冷蔵庫が示す、テクノロジーと“生活の距離感”とは

薄型大容量「FiT63」と、勝手に閉まる「オートクローズ」の新提案

 シャープは、プラズマクラスター冷蔵庫の新製品として、奥行き63cmの薄型デザイン「FiT63シリーズ」6機種を2月12日より、新機構「オートクローズどっちもドア」搭載の3機種を1月29日より順次発売する。価格はすべてオープン。

 最上位モデル「FiT63シリーズ」は、システムキッチンの標準的な奥行きに合わせた薄型設計ながら、「SJ-MF61R」(定格内容積607L)をはじめとする大容量を実現した主力ラインだ。

 市場想定価格は、最上位のSJ-MF61Rが44万円前後、国内冷蔵庫として初めて生成AI「COCORO HOME AI」に対応し、テキスト対話での使い方相談などを可能にした点も新しい。

 一方、「SJ-XW46R」など3機種は市場想定価格27万円~22万円前後を見込む。ドアが半開き(約15〜30度)になると自動で閉まる「オートクローズどっちもドア」を新搭載。うっかり閉め忘れるストレスや冷気漏れを物理的に防ぐ、実用性の高いアップデートとなっている。

左が新機構「オートクローズどっちもドア」を搭載した455Lモデル「SJ-XW46R」。右が今回フラッグシップとなる薄型大容量607Lモデル「SJ-MF61R」
左が新機構「オートクローズどっちもドア」を搭載した455Lモデル「SJ-XW46R」。右が今回フラッグシップとなる薄型大容量607Lモデル「SJ-MF61R」

生活の中心にある冷蔵庫を、ただの「保存機器」から“生活最適化装置”へ

 冷蔵庫は、家の中で最も無言の存在である。24時間365日稼働しながら、一度として休むことなく食品を保つ。しかし、かつては単に“冷やす”“保存する”という行為のために存在していた冷蔵庫が、いまや生活全体の構造に関わる“生活最適化装置”へと進化しつつある。

 この変化の背景には、生活様式そのものの変容がある。共働き世帯の増加により料理の時間は短縮され、オンラインスーパーや食材宅配サービスが普及したことで、食品購入から消費までの流れが多様化した。

 今回シャープが発表したラインナップは、まさに生活起点の発想から生まれている。スペック競争の延長ではなく、生活の中にある摩擦をひとつずつ取り除いていくことで、ユーザーの時間や心理的コストを軽減する。

 家電がインフラとして進化するとは、こうした方向性のことを指すのだろう。

最上位機「SJ-MF61R」の庫内。奥行き63cmの薄型設計でありながら、断熱材の配置見直しなどにより607Lという大容量を実現。最上段まで手が届きやすいのも特徴だ。棚やポケットなどにはブラッククリアを使い、高級感がある
最上位機「SJ-MF61R」の庫内。奥行き63cmの薄型設計でありながら、断熱材の配置見直しなどにより607Lという大容量を実現。最上段まで手が届きやすいのも特徴だ。棚やポケットなどにはブラッククリアを使い、高級感がある

冷凍の常識を疑う。「50分の急冷」と「10時間の緩慢」

 冷凍機能の進化は、現代の家庭の食習慣を映す鏡だ。シャープの新シリーズでは、冷凍工程を「時間」と「温度」で細分化し、多様なニーズを吸収する方向へ舵を切った。その象徴が「パラパラ冷凍」と「味しみ冷凍」である。

「パラパラ冷凍」は、約50分という短時間で集中的に冷気を当て、食材の水分を閉じ込めて一気に凍結させる技術だ。 使い方は驚くほどアナログで合理的。冷凍室のトレーにラップを敷き、カットしたネギや油揚げなどを“袋に入れず”直接広げるだけ。

 これにより、従来の「冷凍すると塊になって使いにくい」という不便を見事に解消した。凍った後は袋に入れてもくっつかず、必要な時に必要な分だけパラパラと取り出せる。これは忙しい平日の自炊ハードルを劇的に下げる発明だ。

 対照的に「味しみ冷凍」は、約10時間かけてゆっくりと冷凍するモードだ。あえて時間をかけることで素材の細胞壁を壊し、煮込み料理などの味が染み込みやすい状態を作る。

 下味をつけた肉や野菜を冷凍しておけば、解凍・加熱するだけで、長時間煮込んだような深みのある料理が完成する。

「味しみ冷凍」の効果比較。左が通常の野菜室保存、右が味しみ冷凍を行った大根。あえて時間をかけて凍らせることで味が深くまで染み込み、調理後の仕上がりに差が出る
「味しみ冷凍」の効果比較。左が通常の野菜室保存、右が味しみ冷凍を行った大根。あえて時間をかけて凍らせることで味が深くまで染み込み、調理後の仕上がりに差が出る

 冷凍庫を単なる「保管場所」から、調理のプロセスを担う「仕込み場」へと変える。この発想の転換こそがシャープの真骨頂だ。

 さらに、大容量冷凍室「メガフリーザー」に加え、今回は氷のサイズを選べる「トリプルメガアイス」(FiT63シリーズ)もユニークだ。

 ウイスキー用の大きな氷、ボトル用の中サイズ、日常的な小サイズなど、生活者の嗜好と時間帯に応じた柔軟な飲み方を提案してくれる。これらは単なる機能追加ではなく、冷凍庫を“豊かな食体験を生むツール”として再定義するものだ。

用途に合わせて3種類のサイズが選べる「トリプルメガアイス」。日常使いの標準サイズに加え、ボトルに入りやすい中サイズ、ウイスキーなどに最適な大サイズが作れる
用途に合わせて3種類のサイズが選べる「トリプルメガアイス」。日常使いの標準サイズに加え、ボトルに入りやすい中サイズ、ウイスキーなどに最適な大サイズが作れる

物理構造で解決する。「オートクローズ」と「Wフレキシブル棚」

 シャープの代名詞とも言える「どっちもドア」も、静かなる進化を遂げた。 新搭載の「オートクローズ機構」は、ドアが開いた角度が15~30度になると、傾斜を利用して自動で閉まる仕組みだ。

 興味深いのは、これをモーターなどの電気じかけではなく、ヒンジ周辺に設けた「らせん状の傾斜」という物理構造で実現している点だ。

 調理中で手がふさがっている時に軽く押すだけで閉まる、あるいは子どもが閉め忘れても半ドアにならない。電気を使わないため故障リスクも低く、毎日の生活に潜む“小さな摩擦”を極めてスマートに解消する技術と言える。

 また、庫内の使い勝手においても「Wフレキシブル棚」(SJ-MF61R)という新たな解が示された。下段の棚を左右分割し、それぞれ異なる高さに調整できる構造だ。

 これにより、背の高い鍋と背の低いタッパーを効率よく並べることが可能になった。「あと数センチ入らない」というストレスを、棚の構造自体を変えることで解決している。

「オートクローズどっちもドア」のメカニズム。電気を使わず、ヒンジ部分に設けた「らせん状の傾斜」を利用し、ドアの自重によって自然に閉まる構造を採用した
「オートクローズどっちもドア」のメカニズム。電気を使わず、ヒンジ部分に設けた「らせん状の傾斜」を利用し、ドアの自重によって自然に閉まる構造を採用した

AIが「食材のコンシェルジュ」になる未来

 そして見逃せないのが、生成AI「COCORO HOME AI」の搭載だ。冷蔵庫は家庭内で唯一、常に通電している大型家電である。ここにAIが組み合わさることで、単なる管理ツールを超えた存在になる。

 例えば「この野菜、どう保存すればいい?」とテキスト入力すれば、最適な保存方法をアドバイスし、そのまま冷凍室のモード設定まで行ってくれる。

 ユーザーがマニュアルを調べる必要はなく、AIがエージェントとして機能調整を代行する。これは家電操作の未来形と言えるだろう。

生成AI「COCORO HOME AI」のデモ画面。「三つ葉を保存したい」と相談すると、最適な「パラパラ冷凍」を提案し、そのまま運転モードの設定まで行ってくれる
生成AI「COCORO HOME AI」のデモ画面。「三つ葉を保存したい」と相談すると、最適な「パラパラ冷凍」を提案し、そのまま運転モードの設定まで行ってくれる

 24時間365日稼働し続けるキッチンのハブ的役割の冷蔵庫選びは、もはやパートナー選びに近い。 パラパラ冷凍で時間を生み出し、オートクローズで心の余裕をつくり、AIが家事をサポートする。

 シャープの最新冷蔵庫群は、スペック表の数値以上に、生活の質を底上げする“装置”として、非常に魅力的な選択肢となるはずだ。

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