「会議の内容を忘れても大丈夫」ってどういうこと? ついに“未来の会議”が到来 「Zenchord 1 × Notta」発表会レポート
装着して参加する、新しい発表会のカタチ
結論から言おう。この製品は、我々が長年抱えてきた「会議の記憶」に関する悩みを過去のものにするポテンシャルを秘めている。
「議事録作成に時間をかけたくない」「言った言わないの水掛け論をなくしたい」——そんなビジネスパーソンの切実な願いに対し、この日、一つの明確な回答が提示された。
今回の発表会は、そのスタイルからしてユニークだった。通常、製品発表会といえば一方的に説明を聞くものだが、今回は参加者の手元に事前に「Zenchord 1」が届けられており、それを耳に装着してオンライン会場に入室するという形式がとられたのだ。
Zenchord 1は完全ワイヤレスイヤホンの形状をしているが、耳を塞がず周囲の音も聞こえる「オープンイヤー型」を採用している。装着してみると、オンライン会議の音声はクリアに聞こえつつ、部屋の環境音や家族の声もしっかりと耳に届く。「没入」ではなく「共存」。
ビジネスシーンにおいて、周囲の状況を遮断せずに会議に参加できるこの仕様は、実用性を深く計算したものだと感じる。

“聞こえた音がそのまま文字になる”という衝撃
会が始まると、日本総代理店を務める株式会社Acalieの木村龍成氏が画面に登場し、こう切り出した。
「私の声がリアルタイムに文字起こしされていれば問題ありません」
その言葉と同時に、私のNottaアプリ画面上には木村氏の発言が次々とテキスト化されていく。驚くべきはその精度と速度だ。「Zenchord」「Notta」「リアルタイム文字起こし」といった固有名詞や専門用語も、ほぼ修正不要なレベルで変換されていく。
一般的にAI文字起こしにはタイムラグや誤変換がつきものだが、今回目の前で起きた現象は、実用上のストレスをほとんど感じさせないレベルだった。
自分の耳で聞いている声が、視覚情報(テキスト)として即座に補完される体験は、会議の理解度を一段階引き上げるものだった。

録音を“一つにまとめる”革新的な発想
そもそも、Zenchord 1は何が画期的なのか。それは、これまでバラバラだった「録音手段」を一台に統合した点にある。
我々の日常には3つの「音」がある。
1.オンライン会議(ZoomやTeamsなど)
2.通話(スマートフォンの電話)
3.対面の会話(リアルな会議室や商談)
これまで、これらはPCの録画機能、スマホのメモ、ICレコーダーと、別々のツールで管理されてきた。Zenchord 1はこれを一元化する。オンライン会議と通話はイヤホン経由で直接音源を取得し、対面の会話はイヤホン収納ケースに搭載されたマイクで収音する。
あらゆるシーンの会話が、ひとつのデバイスを経由してシームレスに記録される。情報の断絶を防ぐという意味で、この「ハードウェアによる統合」は極めて合理的だ。

Nottaが“議事録化”までを完結させる
ハードウェアが集めた音を処理するのが、AI文字起こしサービス「Notta」だ。 今回のデモで圧巻だったのは、会議が終わった瞬間の状態である。
リアルタイムで文字化されたログは、AIによって誤字が修正され、要約され、重要なタスクが抽出された状態でクラウドに保存されていた。
通常、会議の後には「議事録作成」という重たい作業が待っている。録音を聞き返し、要点をまとめるあの時間だ。しかしZenchord 1とNottaの組み合わせは、その工程を“会議中”に終わらせてしまう。
木村氏が語った「議事録作成という作業時間をゼロに近づけたい」という言葉は、決して大げさなセールストークではなかった。

海外CEOが語った“音声文化”への敬意
会の後半、Zenchord AIのCEOであるオリバー氏が登場し、開発の裏にある思想を語ってくれた。
「私の父は記者で、多くのインタビューを残してきました。私はその記録を、文字だけでなく“音声のまま”残したかったのです」
単なる業務効率化ツールであれば、正確なテキストさえ残ればいい。しかしオリバー氏は、声のトーン、間の取り方、場の空気といった「非言語情報」の価値を強調する。
文字起こしで内容は把握しつつ、微妙なニュアンスはワンタップで該当箇所の音声を再生して確認する。Zenchord 1は、デジタルな効率性と、アナログな「声の温度」を両立させようとしているのだ。

ビジネスで“本当に使える”レベルに到達している
最後に、スペシャリストとしての視点で冷静な検証も加えておきたい。
今回のデモ環境(静かな部屋でのオンライン会議)での精度は文句なしだったが、ノイズの多いカフェや、複数人が同時に喋るリアル会議での挙動には、まだ検証の余地があるだろう。
話者分離の精度も、実際の運用で試されるポイントだ。 また、長時間装着における快適性は個人差がある部分だが、カナル型(耳栓型)と違い、オープンイヤー型である点は疲労軽減に大きく寄与すると感じた。

しかし、そうした細かい課題を差し引いても、Zenchord 1とNottaが提示したソリューションは、すでに「業務用途として十分に成立するレベル」にある。
「会議の内容を忘れても大丈夫」——その安心感がもたらす精神的な余裕こそが、この製品がビジネスパーソンに与える最大の価値かもしれない。
製品仕様
「Zenchord 1」
製品カテゴリー:AIレコーディング・ウェアラブルデバイス
装着方式:左右独立型 オープンイヤー方式(耳を塞がない設計)
マイク/集音システム:
•イヤホン部:Web会議音声、通話音声のダイレクトキャプチャ
•充電ケース部:対面会議用 環境収音マイク搭載
録音対応ソース:
1.オンライン会議(PC/タブレット等)
2.音声通話(スマートフォン)
3.オフライン対面会議(リアル空間)
接続/連携:PC・スマートフォン(Nottaアプリとのリアルタイム連携)
市場想定価格:2万6980円(税込)
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