830馬力のV12をマニュアル操作で扱う歓び! フェラーリ新型「12チリンドリ・マヌアーレ」試乗でわかった“至極の楽しさ”とは
あまりにも衝撃的だったドライブ感覚
イタリアのバロッコという伝説的なテストコースでフェラーリ「12チリンドリ・マヌアーレ」に試乗してきました。
12チリンドリ・マヌアーレが、もともと12チリンドリに搭載されている8速DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)のメカニズムを活用しながら、シフトレバーとクラッチペダルを操る喜びを再現するモデルであることは既報のとおり。でも、それがどのくらい楽しいものであるかは想像の域を出ませんでした。
ところが、実際に試乗して本当に驚きました。なにしろ、最近誕生した世界中のスーパースポーツカーのほとんどに乗ったことのある私が、試乗後はグッタリしてシートからなかなか降りられなかったくらい、その衝撃は圧倒的だったのです。

でも、正直にいうと、乗り始めた直後は頭がパニックでした。
なにしろ、最新のフェラーリを3ペダルで乗るのは初めてのこと。いやいや、これは私だけでなく、誰にとっても同じはず。なにしろ、フェラーリが作った最後の3ペダル・モデル、つまりMT車は2006年デビューの「599GTBフィオラーノ」だったのです。
それから20年の間にどれだけ技術が進歩したかを考えれば、私が面食らった理由もわかっていただけるでしょう。
そもそも最高回転数9500rpmを誇る自然吸気V12エンジンのレスポンスがめちゃくちゃ鋭い。
まだ乗り始めたばかりのとき、ヒール&トーで軽くブリッピングしたところ、狙った回転数の1.5倍くらいまでタコメーターの針が跳ね上がって一瞬肝を冷やしましたが、その直後にはニヤリと微笑んでしまいました。
そのアクセルペダルに対する敏感な反応は、まるでレーシングエンジンのよう。掛け値なしにカミソリ並みのシャープさで、これを自分が思いどおりに操っていいとわかっただけで背筋がゾクゾクするような感動を覚えたものです。
そんなにレスポンスがよくて高回転型なのに、低回転域でもトルクに余裕があって、アイドリング回転数のままクラッチ操作だけで発進できるくらい扱いやすいエンジンなんて、そうそうあるものじゃありません。
しかも、それを“マニュアル”で操るのですから、私の頭が混乱しかけていたのもわかっていただけるでしょう。

操作方法だって、ちょっと注意が必要です。
12チリンドリ・マヌアーレはマニュアルシフトとオートマチックの両方に対応していて、オートマチック・モードを選ぶにはシフトレバー後方のDボタンを押すだけ。
いっぽう、オートマチックからマニュアルに切り替えるには車速70km/h以下でクラッチペダルを踏み込めばOK。
とても簡単だし、ものすごくよく練られた操作方法であることは間違いないのですが、いくら頭ではそれがわかっても、身体がなかなかいうことを聞いてくれません。
しかも、もしも操作を誤ってオーバーレブさせたら1億円オーバー(ヨーロッパでの価格)とされる12チリンドリ・マヌアーレのエンジンを一発で壊しちゃうことにもなりかねません。
実際には、マヌアーレには厳重な保護機構が搭載されていて、基本的にはオーバーレブは起きないはずなのですが、自然吸気V12エンジンのレスポンスがあまりに鋭いものですから、簡単にミスを犯すのではないかという恐怖心からはなかなか抜け出せませんでした。
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