「グリーンピースがVWを提訴」環境保護に本気で取り組む世界の人たち最新事情
VWを提訴する理由は啓蒙活動にあり
2021年9月、環境活動家と環境保護NGOである「グリーンピース」ドイツ支部の代表がVWを提訴したと国際ニュース通信社「ロイター」が報じた。なんでも「2030年までに内燃式エンジンの生産を中止すること」、「2018年比マイナス65%のCO2排出量を実現すること」を求めて提訴したというのだ。
ロイターでは具体的な訴訟内容に触れていなかったが、日本の法律で考えると「VWによる環境対策の不作為による損害賠償」の類で訴えたのであろう。NGO側としては損害賠償だけが目的ではなく、勝訴判決を得られればベスト。提訴することでメディア露出を得られて啓蒙活動につなげられる、という算段なのだろう。
そもそもVWは2033年−2035年までにヨーロッパにおける内燃式エンジンの販売中止、それからしばらくしてヨーロッパや中国での内燃式エンジン生産を終了させると発表し、電気自動車を推し進める姿勢を明確にしている。ちなみにその発表で「南米やアフリカでの内燃式エンジン撤退はちょっと時間がかかる」と“逃げ”を用意した言い方が個人的には面白いと思っている。
ともあれ、VWは環境保護活動に真摯に取り組むものの「適切な措置の制度設計をする責務は立法府にあり、特定の企業を訴えて民事裁判で争うことは、この大きな責任を伴う仕事を正当化する場所でも方法でもない」とコメントし、これに争う姿勢を示した。

実は、ヨーロッパではこの手の訴訟が頻発している。ドイツの環境保護NGO「Deutsche Umwelthilfe(DUH)」は、前述したフォルクスワーゲンの件と同様の内容で、BMWやダイムラーを提訴している。一連の動きは、2021年5月に出されたオランダでの判決がきっかけだったかもしれない。
というのも、オランダ・ハーグの地方裁判所が欧州石油最大手の英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルに対し、CO2排出量を2030年までに2019年比で45%削減するよう命じたのだ。
判決理由は「人権の中には危険な気候変動からの保護も含まれ、企業は人権を尊重しなくてはならない」という国際的コンセンサスに基づき、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルによる不法行為と裁判所が認定したのだ。
地方裁判所が地球規模的問題に対して、一私企業にこのような判決を下すのは……画期的であり、裁判所が温暖化ガス削減の具体的な数値目標を課すのは……異例だ。もちろん、シェルはこの判決に対して控訴を検討しているという。
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