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アストンマーティン寺嶋正一氏に訊く「セールス好調な理由は“007”と“F1”! これからのカスタマーサービス」とは【単独インタビュー:前編】

新生アストンマーティンが目指す「ウルトララグジュアリーブランド」とは

──2020年5月、アストンマーティンの新CEOに、もとメルセデスAMGのCEOだったトビアス・ムアース氏が就任してから、アストンマーティン内で大きな変革などあったのでしょうか?

「『プロジェクトホライズン』という名称で、アストンマーティン自身の新しい方向性を出してきたのですが、この中のプロダクトポートフォリオの拡大という点が一番の核であると思っています。

 FR、SUV、それからリアミッドエンジンというラインナップを的確化していくというのが、柱になっています。これに関連してウルトララグジュアリーブランドとしての立場を確立していくということも目標として掲げられています。

 これは生産と需給バランスをきちんと整えて、アストンマーティンの価値をきちんと高くキープしていくということもあります。また、当然市場に対してのアプローチにおいても、ウルトララグジュアリーブランドとしてのあり方をこれからはきちんとやっていくということでもあります」

「プロジェクトホライズン」という名のもとに、フラッグシップとして期待されている「ヴァルハラ」
「プロジェクトホライズン」という名のもとに、フラッグシップとして期待されている「ヴァルハラ」

●希少性が高まった結果、ブランド価値が上がった

──100年以上の歴史を持つアストンマーティンは、すでに確固たるブランドだと思うのですが……。

「ウルトララグジュアリーブランドの“ウルトラ”という言葉は、上品さだけではなく尖っている感じもしますよね。社長はAMGから来ていますが、フェラーリからも多くの人材がアストンマーティンに入っています。そのため明らかにミッドエンジン、スポーツカーをもっと強化したいという思いもあります。個人的にはこれまでアストンマーティンは、比較的エレガントでおとなしいスポーツカーだと思われていましたが、もう少し踏み込むのかなと思っています。

 また、ローレンス・ストロールが会長になってからの新体制のもと、非常に慎重に需要と供給のバランスを考えてコントロールした結果、在庫もなくなり希少性が高まりました。その結果、需要が高くなったのです。それに合わせて市場価値も上がっているというのが現状です」

──アストンマーティンのクルマそのものの価値が上がっていることは、カスタマーにとっても非常に嬉しいことだと思います。では、そのカスタマーへの新たなアプローチなどはあるのでしょうか?

「実はこれがもっとも大事なことなのですが、今後はもっと“カスタマージャーニー”を強化していきます。

 これは購入体験、つまり買うときのプロセスこそカスタマーのみなさんがもっとも楽しいところだったりしますよね。たとえばビスポークも含めての車両の仕様決定に至るまでをいかに楽しんでいただけるのか、本当にカスタマーのみなさんが欲しいと思っている仕様に導けるのか、そうした購入体験から大切にしなければいけないと思っています。

 そしてクルマが完成して、カスタマーにお届けして終わるのではなくて、それぞれのクルマの楽しみ方を最大限引き出してあげるようなイベントを提案していく予定です。

 アストンマーティンを購入するという事は、車両を手に入れるだけでなく、目には見えないオーナーだからこそできる体験とオーナーシップも含まれているということです。

 去年は1泊2日の九州ツーリングに加え、東京でもツーリングを開催しました。すごく雰囲気が良くて、アストンマーティンのオーナーになれば、こうしたソサエティにジョインできるということを打ち出していきたいですね。クルマがいいのはもちろんのこと、アストンマーティンを持つことの魅力を広く伝えたいです。

 アストンマーティンはル・マン24時間での優勝経験もあり、現在はF1にも参戦しています。昔からレースと縁が深く、サーキットとの相性もばっちりです。その一方で、上品でエレガントなので、タキシードとドレスといったフォーマルなパーティとの相性もよい。つまりこの両方を楽しめるようなイベントをご提案したいと思っています」

現在アストンマーティンはF1に参戦しているが、ル・マン24時間での優勝経験もあり、レースとは切っても切れない関係にある
現在アストンマーティンはF1に参戦しているが、ル・マン24時間での優勝経験もあり、レースとは切っても切れない関係にある

──まさしく、ジェームズ・ボンドのライフスタイルをリアルで体験できるようなイベントをイメージすればよろしいでしょうか。

「そうです、昔からアストンマーティンは、“タキシードをまとったタフガイ”といわれるじゃないですか。そういう方向性のアクティビティを作りたいですね。ただサーキットを走る、ただツーリングをするではなくて、その後にブラックタイのイベントを同じ日にセッティングするとか。“やはりアストンは違う”ということを打ち出していきたいですね」

【編集後記】
 アストンマーティンのオーナー像は、「上品で群れない、でも大胆」。これは、多くのアストンマーティンオーナーと対話することで得たざっくりとした印象であったのだが、ひょっとしたらこれはダニエル・クレイグが演ずるジェームズ・ボンド像に近しいのかもしれない。

 多くのオーナーが路上で目立つのは避けたいが、いいものを“身につけていたい”という感覚を持っている。それは他人にひけらかすことではなく、自分の内面の充実に重きを置く大人の美意識でもある。

 アストンマーティンは100年以上の歴史を持つブランドであり、その歴史の大半がレースでの活躍とともにあった。そうしたバックボーンをカスタマーが共有することで、さらにアストンマーティンを“身につける”ことの歓びが加味されるはずだ。アストンマーティンの日本での“カスタマージャーニー”に期待大だ。

Gallery 【画像】2021年のアストンマーティンの飛躍を支えた秘密を見る(20枚)
「カチッ」と日常をオフに。至福の時を刻む、マインドフルネス

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