「1000万円以下でフェラーリ泥沼生活」夢を叶える入門跳ね馬「308GTBクワトロヴァルヴォレ」とは
ボディカラーを再塗装して色替えしたフェラーリに価値はあるのか?
今回RMサザビーズ「PARIS」オークションにプティジャン・コレクションから出品されたフェラーリ308GTBクアトロヴァルヴォレは、1984年3月にフェラーリ・マラネッロ本社工場からラインオフした個体とのこと。シャシナンバーを示す17桁のVINコードは「ZFFLA12B000050703」である。
新車として製作された当初は「ネロ(Nero:黒)」のボディに「クレーマ(Crema:クリーム色)」のコノリー社製レザーのインテリアで仕上げられていたこのクワトロヴァルヴォレは、スペイン在住のファーストオーナーのもとにデリバリーされたといわれている。

●コンディションは決して良好とはいえないながらも、大健闘
そののち12年間は通常の走行をおこなっていたと思われるのだが、前世紀末にプティジャン氏のコレクションに加えられて以来、約27年間にわたって静態保存されることになる。
現在、このクワトロヴァルヴォレは「ロッソ・コルサ(Rosso Corsa)」に再塗装されている一方、クレーマ・レザー張りのインテリアはマラネッロからの出荷時のままと推測されている。また、エンジンやトランスミッションのナンバーもファクトリーの製造記録と一致した、いわゆる「マッチングナンバー」である。
オドメーターは公式WEBカタログの作成された段階で5万703kmを表示しており、今後公道で乗るならば、かなり入念な再点検が必須となるだろう。
プティジャン・コレクションのすべてのフェラーリと同様、この308GTBクアトロヴァルヴォレもミュージアムへの展示用として長らく不動状態のまま所蔵されていたことから、フェラーリに相応しいパフォーマンスを取り戻すためには、とくにエンジンや燃料系、潤滑系に電気系などあらゆる部位で大幅なリニューアルを必要としているのは間違いないところなのだ。
現在の国際クラシックカー・マーケットにおいて、フェラーリ308GTB/GTSとその発展モデルたちが「真正クラシック・フェラーリ」入門篇として高い人気を得ている。
加えて同じ308GTBシリーズの中でもFRPボディ時代の通称「ヴェトロレズィーナ」はもっともマーケット相場価格が高く、スチールボディに独ボッシュKジェトロニックを組み合わせた「308GTBi」は比較的安価なことが多い。そして、スチールボディ+キャブレター仕様の「308GTB」と、32バルブヘッドを与えられた最終型「308GTBクワトロヴァルヴォレ」がそれに次ぐ相場価格で取り引きされているようだ。
その相場観を裏づけるように、今回のオークション出品にあたってRMサザビーズ社営業部門とプティジャン・コレクションは、このクアトロヴァルヴォレに4万~6万ユーロ(邦貨換算約540万〜810万円)という、なかなか訴求力の高いエスティメート(推定落札価格)を設定していた。
エスティメートが控えめな金額とされた理由として考えられるのは、クアトロヴァルヴォレの相場価格がもとよりリーズナブルなことに加えて、ほかのプティジャン・コレクション所蔵車と同様、この個体のコンディションに懐疑的な見方がなされていたことが大きいだろう。
前述のとおり、機関部には大幅なリフレッシュが必要。また、ロッソ・コルサに再塗装されたボディパネルは一見きれいそうに映るが、バンパー周辺のゴム類にはよじれや縮みも見受けられる。さらに純正オリジナルと思しきインテリアは、たとえばシートのパイピング周囲に擦り切れがあるほか、全体的な使用感も相当なもの。クリーニングだけではなく張替え、ないしは染め直しが必要になるレベルであるなど、「ミント」とは決して呼べないコンディションなのだ。
ところが、こちらもほかのプティジャン・コレクション所蔵車と同じく「Offered Without Reserve(最低落札価格なし)」で出品されたことが功を奏したのだろうか、競売では予想以上にビッド(入札)が進んで価格が跳ね上がり、結局7万1875ユーロ、日本円に換算すると約970万円というけっこうなハンマープライスで落札されることになった。
クラシック・フェラーリのマーケットは、ひと頃よりもかなり鎮静化したかにも見えていたのだが、今回のプティジャン・コレクション所蔵のフェラーリ308GTBたちは、いずれもかなりの高値で落札されたことは注目に値しよう。
これは日本市場も含む国際マーケットにおけるフェラーリが、再び活況を迎える予兆なのかもしれない。
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