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「サクラ」が話題の日産のEV 新“フラッグシップ”の「アリア」は走りに感動できる意欲作

エンジン車とはまったく異なるパッケージング

 EV時代ならではの変化といえば、EV専用車として開発されたアリアのパッケージングは、エンジン車のそれとはかなり異なる。

初代リーフ誕生から約10年。その間のデザインが想像以上に進化したことを感じられる秀逸なフォルム。短いボンネットと長いキャビンによりパッケージングも秀逸
初代リーフ誕生から約10年。その間のデザインが想像以上に進化したことを感じられる秀逸なフォルム。短いボンネットと長いキャビンによりパッケージングも秀逸

 アリアは、全長が4595mmと、現行の「エクストレイル」に対して95mm長いが、ボンネットが短く、そのぶんキャビンを前後に長くとっているのが特徴。その恩恵は、リアシートのひざ回りスペースで顕著に感じられる。スペース的にかなり余裕があり、座った際の居心地がいい。

 リアシートはフロアに対して着座位置が低めで、足を前へと投げ出して座る。その着座感覚は、ソファに座った際のそれに近いが、これもまた、フロア下に駆動用バッテリーを搭載するEVらしいものといえる。

●加速の鋭さではなく気持ちよさがEVの新たな価値に

 そんなアリアの感動のハイライトは、走り出してすぐに訪れた。アクセル操作に対する出力の立ち上がりがとにかくリニアで、しかも、なめらかに加速するから運転していて気持ちがいい。まるでドライバーの意図が右足とアクセルを通じてパワートレインに直結しているのでは? と思うくらい、思いどおりに加速力をコントロールできるのだ。

 EVのなかには、モーターによる出足の力強さを強調したいあまりに、アクセル操作に対して過剰に反応したり、アクセル操作よりも過剰にパワーを立ち上げて刺激を演出したりするモデルがある。しかしアリアには、そうした過剰演出はなく、ドライバーに寄り添うような自然な加速フィールを実現している。

 それは、グググッと前へ押し出されるのではなく、スーとすべるように進んでいくかのような感覚で、アクセルペダルを踏んだ量と加速の反応とが見事にシンクロ。今後EVは、加速の鋭さだけでなく加速する際の気持ちよさも、価値のひとつになっていくのだろうと実感させられた。

アクセル操作に対する出力の立ち上がりがとにかくリニアで、しかも、なめらかに加速するから運転していて気持ちがいい
アクセル操作に対する出力の立ち上がりがとにかくリニアで、しかも、なめらかに加速するから運転していて気持ちがいい

 そんなアリアには、4タイプのパワートレインが用意されている。その組み合わせは、バッテリーの搭載量(66kWh/91kWh)と駆動方式(2WD/4WD)の組み合わせで決まる。

 今回、試乗できたのは、もっともベーシックな66kWhのバッテリーを搭載する「B6」の前輪駆動で、1充電当たりの走行可能距離は470km、最高出力は218ps、最大トルクは300Nmを発生する。

 先述したように、ステアリングを握っている際の加速フィールはそれほど強力ではないが、一定の時間、加速したあとにスピードメーターを見てみると予想以上にスピードが乗っているし、リアシートに座って加速を味わってみると、結構、力強いことに驚く。過剰な演出がないため気づきにくいのだが、それでもエンジン車と比べれば加速は強力で、必要にして十分以上の走りのパフォーマンスを示してくれる。

* * *

 刺激の過剰演出に走ることなく、徹底的に心地よさを磨いてきたアリア。それは日産自動車が、量産EVのパイオニアとしてトレンドを追いかけるのではなく、EVの本当の価値とはなにかを追い求めた末の、ひとつの回答といえるだろう。

 ちなみにアリアは、91kWhのバッテリーを搭載し、394ps(290kW)の最高出力を誇る仕様「B9」も設定されている。こちらは2022年秋の発売予定だが、今回ドライブしたB6の約1.8倍の出力を誇るハイパワー版はどのような走りを味わわせてくれるのか。いまから興味が尽きない。

●Nissan Ariya B6
日産 アリア B6
・車両価格(消費税込):539万円
・全長:4595mm
・全幅:1850mm
・全高:1665mm
・ホイールベース:2775mm
・車両重量:2100kg
・駆動方式:FWD
・電気モーター:交流同期電動機
・システム定格出力:45kW
・最高出力:218ps(160kW)/5950〜13000rpm
・最大トルク:300Nm/0〜4392rpm
・駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
・総電力量:66kWh
・交流電力量消費率(WLTC):166Wh/km
・1充電走行距離(WLTC):470km
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)マルチリンク式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)235/55R19、(後)235/55R19

Gallery 【画像】美しくて斬新、EVらしい走りも気持ちいい日産「アリア」を写真で見る(20枚)
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