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軽自動車の常識を変えた! 新型軽EVの日産「サクラ」はなぜスポーツカーのような走りを実現できたのか

スポーツカーに匹敵する理想的な前後重量配分

 とはいえ、そんなサクラの動力性能は、正直いって想定内だった。EVの実力が高いことを筆者は知っているからだ。

 しかし一方、そんな筆者にも想定外だったことがある。それはサクラのハンドリングだ。サクラは交差点をひとつ曲がるだけで実感できるほど操縦性に優れ、気持ちよく走れるクルマだったのだ。

EV化によって軽自動車の常識を打ち破る走り味を手に入れた日産「サクラ」
EV化によって軽自動車の常識を打ち破る走り味を手に入れた日産「サクラ」

 まずサクラは、ドライバーがハンドルを切った際、クルマの向きを変えるときの反応がいい。サクラのような軽自動車のハイトワゴンは、反応が鈍いというのが世間の常識だが、サクラはスッと向きが変わる。

 その上、コーナリング中の安定感も素晴らしい。背の高いクルマとは思えないほどどっしりとしていて、走っていてフラつきがない。背の高いワゴンなのに、スポーツカーかと思うくらいコーナリングが気持ちいいなんて、試乗前はまったく想像していなかった。

 駆動用バッテリーの搭載にあわせて車体剛性を強化したこと、重いバッテリーをフロア下に搭載することで低重心化を図れたこと、そして、重量増に合わせてリアサスペンションが強化されたことなど、エンジン車に対するアドバンテージはいくつもある。

 なかでもインパクトのある話が、前後重量配分だ。前輪駆動車の前後重量配分は一般的に、フロント65対リア35ほどで、フロントが重い分、物理特性として向きを変えにくい。しかし、バッテリー搭載によって前後重量配分が最適化されたサクラは、フロント55対リア45ほどとスポーツカーに匹敵する理想的な値となっている。だから曲がりはじめる際の反応がよく、スパッと気持ちよく向きを変えてくれるのだ。

* * *

 サクラのような軽ハイトワゴンは、これまで実用性重視であり、ドライビングプレジャーとは無縁のような存在だった。ところがサクラはEVになったことにより、ドライブしていて楽しい理想的な軽自動車へと変貌を遂げたのだ。EV化に走りの楽しさを引き立てる力があるなんて意外だったし、EVへの期待はさらに高まる。新しい軽EVのサクラには、そんな新しい発見があった。

●Nissan Sakura G
日産 サクラ G
・車両価格(消費税込):294万300円
・全長:3395mm
・全幅:1475mm
・全高:1655mm
・ホイールベース:2495mm
・車両重量:1080kg
・駆動方式:前輪駆動
・電気モーター:交流同期電動機
・定格出力:20kW
・最高出力:47kW(64ps)/2302~10455rpm
・最大トルク:195Nm/0~2302rpm
・駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
・総電力量:20kWh
・交流電力量消費率(WLTC):124Wh/km
・1充電走行距離(WLTC):180km
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)3リンク式
・ブレーキ:(前)ディスク、(後)ドラム
・タイヤ:(前)155/65R14、(後)155/65R14

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