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ホンダの小型セダンにAMGモデルがあった!? ネットで話題「南アフリカ専売のレアモデル」その正体とは

南アのメルセデス工場でホンダ車を生産・販売していた

 その昔、南アフリカにあるメルセデス・ベンツの工場でホンダのAMGモデルが生産されていたと、ネット上で話題となっています。

昨今ネットをにぎわせている“AMG”のエンブレムが輝くホンダのバラードAMG(C)YouTube『Chris VS Cars』
昨今ネットをにぎわせている“AMG”のエンブレムが輝くホンダのバラードAMG(C)YouTube『Chris VS Cars』

 南アフリカという国は、独自のモデルが存在する面白いマーケットです。有名なところでは、昔、BMW「7シリーズ」に「M635CSi」や「M5」ゆずりのエンジンを搭載したモデルがあったり、「M3」になり切れなかった「333i」(アルピナがチューニングしていました)があったりしました。需要はあったのに、アパルトヘイトで経済制裁されていた頃の話なので、輸入がままならなかったという特殊事情があったのです。

 そんな1980年代、南アフリカ市場への進出を目指したホンダは、1982年から「シビック」(3ドア)と「バラード」(日本のシビック4ドア)の現地生産を開始しました。とはいえホンダには当時、自前の工場がありませんでした。そのため現地でのパートナーに選んだのがメルセデス・ベンツ南アフリカ(当時の正式名称はダイムラー・クライスラー・サウスアフリカ)でした。

 なんとメルセデス・ベンツの工場でシビックやバラードを生産していただけでなく、南アフリカのメルセデス・ベンツのディーラー網でホンダ車が販売されていたそうです。南アフリカのメルセデスディーラーが、手ごろな価格のモデルを欲しがっていた、という事情もあったそうです。両社の関係は2000年末まで続きました。

 そして最近、ネットを騒がせているのが、ホンダ車のAMGモデルの存在です。とあるYouTuberが自分の愛車の動画をアップロードしたところバズりました。バラード(シビック4ドア)のトランクに“AMG”のバッジが貼られていたら、誰がどう見ても“ステッカーチューン”だと思ってしまいそうです。でもこのモデル、本物のAMGなのです。

●ホンダ「バラードAMG」の正体とは?

 AMGは今でこそメルセデス・ベンツの子会社ですが、その昔はメルセデス・ベンツのチューニングを得意する独立系チューナーでした。そして、AMGが日本車のチューニングを手がけたといえば、覚えている方も多いことでしょう。よほど三菱自動車との関係が強かったのか、「デボネア」や「ギャラン」のAMGモデルも存在していました。

 しかし、まさかホンダのバラードにAMGモデルが存在していたとは。南アフリカ専売だったので、日本ではあまり知られていませんよね。

 話題のバラードAMGは、アイバッハ製のサスペンションを組み込み、専用のホイールを履き、リアに小さなスポイラーを装着していたそうです。あまりに気になったものでホンダの広報部に確認してみましたが、もう30年近く前の話であり、南アフリカのディーラー網でのカスタマイズだった模様で、詳細な記録や情報は残念ながら確認できませんでした。また、南アフリカの中古車サイトも漁ってみたのですが、バラードAMGを発見することはできませんでした。

 なお、AMGが設定されていたバラードは“EG型”シビックがベースモデルであり、「CR-X」が積んでいた1.6リッターエンジンを積んでデビューさせようとしていました。

 しかし、ダイムラー・クライスラー・サウスアフリカ側がトルク不足に不満を示し、同時期の「インテグラ」から1.8リッターエンジンを拝借することに。このエンジン変更のため、200か所もの変更を要し、AT搭載モデルはさらに100か所の変更を要したといわれています。当時の南アフリカは有鉛ガソリンが主流だったので、VTEC非搭載の1.8リッターエンジンをあえて選んだ、とも。

 ボーダーレスで即座に情報が伝達する現代において、ほとんど情報がないバラードAMG。まるでどこかの離島で新種の生物に出くわしたかのような感覚に陥っています。

Gallery 【画像】謎多き南アフリカ専売のレアモデル「バラードAMG」の情報を画像で見る(4枚)

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