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“アメリカンマッスルカー”ダッジ初代「バイパー」の秘密を暴露 ヘッドライトはBMW製って本当?

BMWが開発したヘッドライトには“存在しないはず”の水平器が

 1989年1月のデトロイトモーターショーにてコンセプトカーが初披露されたダッジの初代「バイパー」。まだSNSなどなく、ティザー広告も現在ほど盛んにおこわれていなかった当時においても、さまざまなメディアでセンセーショナルに取り上げられた名車です。

ダッジ初代「バイパー」(C)YouTube『Four Eyes』
ダッジ初代「バイパー」(C)YouTube『Four Eyes』

 誰も見たことのないサイズ感、アグレッシブなルックス、8リッター(!)のV型10気筒エンジンと、当時のクライスラーのイメージを一新するエレメントの数々。そのコンセプトカーは、クライスラー社内の有志が使われなくなった倉庫に集い、極秘裏に開発を進めたのだそうです。

 そんなバイパーのエンジニアだったロイ・ショバーグさんが、当時を振り返った動画が先ごろ話題となりました。なかでも動画のタイトルにある『ダッジ バイパーとBMW Z1は同じヘッドライト!?』という話は、半分真実の話なのです。

 デザインの修正を繰り返し、金型まで用意したにもかかわらず、当時のBMWは最終的にこのヘッドライトの採用を見送ったといいます。そんなヘッドライトの存在を知ったクライスラーは、バイパーへの採用を決定。デザイン代も金型代も負担することなく“流用”することができたそうです。ショバーグさんは、「その結果、デザインで100万ドル、金型や設備の用意で250万ドルは削減できた」と明かしています。

 ヘッドライトの中をよく見ると、オレンジ色の液体が入った突起物があります。これは生産時にヘッドライトの組みつけ精度を高めるための“水平器”なのだとか。本当は液体を抜く工程を追加できたのですが、生産部門から「1本につき1ドル50セントかかる」といわれたため、コスト削減のため“そのまま”にしたのだそうです。デザイン的アクセントになり、コスト削減にもつながるなんて……一石二鳥を具現したようなものですね。

●カップホルダーなど絶対に装備しない

 そんな初代バイパーのインテリアには、カップホルダーが装備されていません。その理由もたまらなくユニークなものです。

 当時、クライスラーのCEO(最高経営責任者)であったリー・アイアコッカさんは、アメリカの老舗自動車雑誌『Road&Track』誌から皮肉交じりに“カップホルダー・アワード”という賞を授与されています。今となっては信じられない話ですが、1980年代当時、カップホルダーは“ダサい”ミニバン向けの装備として笑われていたのだとか。そのためアイアコッカCEOは、「バイパーには絶対にカップホルダーは装備しない」と頑なに拒んだそうです。

 また、バイパーのキモともいうべき8リッターV型10気筒エンジンの環境対策もなかなかユニークです。

 初代バイパーのメーターパネル内には、シフトアップのタイミングを表示する“スキップシフト”機構の“矢印”が表示されます。これは、停車時から発進する際、1速から4速まで一気にシフトチェンジするよう促すもの。なんと、2速、3速のシフトゲートが閉まるため4速にしかシフトアップできなくなるのです。

 これでなんとか消費の燃料量を抑え、環境省の顔を立てたのだとか。もっとも、1速からすぐに2速に入れるとスキップシフトを回避できるそうですが、いずれにせよものすごい機構です。

 個人的には、バイパーの開発を率いていたボブ・ラッツさんの言葉が大好きです。初代バイパーがデビューした際、「バイパーは4輪ステアリング搭載しているよ。ドライバーのアクセル操作、ともいうけどね」。そんな名言をラッツさんは残しているのです。

Gallery 【画像】ダッジ初代「バイパー」が採用していた“個性的”なディテールと機構を写真で見る(10枚)
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