次世代ル・マンを戦う水素エンジン車から高性能スポーツカー誕生!? トヨタだけじゃない! リジェ×ボッシュのねらいとは?
ガソリンエンジン車と同等のダイナミクス実現を目指す
先ごろ開催されたル・マン24時間耐久レース2023に先立ち、フランスのスポーツカーコンストラクターであるリジェ・オートモーティブが意欲的なモデルをお披露目しました。リジェ「JS2 RH2」と名づけられたそのモデルは、水素エンジンを搭載するスポーツカーです。

リジェはボッシュとの提携により「JS2 R」というレーシングカーを開発。ボッシュはそのハイブリッドシステムに対し、モータージェネレーターユニットやインバーター、車両制御ユニットを供給しています。
「JS2 RH2」のベースモデルはその「JS2 R」で、水素を燃料とする3リッターV6ツインターボエンジンは最高出力571psを発生するといいます。ちなみにリジェは、ボッシュとの提携の目的について、「ガソリンエンジンを搭載する従来のスポーツカーと同等の動力性能を実現する水素エンジン搭載の高性能車をつくること」と明言しています。
1975年のル・マンで2位という好成績を獲得したリジェ「JS2」にちなんで名づけられた「JS2 RH2」は、3つの水素タンクを積んでおり、水素を燃焼するために改造が加えられたV6エンジンを搭載しています。ボッシュは、エンジンや水素貯蔵タンク、安全コンセプトなど車両コンセプト全般を統括。一方のリジェは、車両アーキテクチャー、水素システムの統合、冷却などを担当します。
「レーシングカーと特殊車両のメーカーとして、モータースポーツと高性能車に新たな発展の道を提供すべく、明日の課題に対応するイノベーションを提供しなければならない」と、リジェ・オートモーティブ社長のジャック・ニコレ氏はコメントしています。
●ル・マン24時間もついに“ゼロエミッション”クラスを創設
水素を燃料とするエンジンに先鞭をつけたのは、なんといっても日本のトヨタ自動車です。
水素エンジンを搭載した「カローラ」でスーパー耐久シリーズに参戦。また、2022年のWRC(世界ラリー選手権)では、水素エンジンを搭載した「GRヤリス」を走らせています。
そんななか、ル・マンの主催者であるACO(フランス西部自動車クラブ)はスイスのGreenGT社とジョイントベンチャーを設立。LMP3マシンをベースとした水素燃料電池車「MissionH24」で、エンジンで走るLMP3マシンやGT3マシンと競い合うプロジェクトを進めてきました。
そんなACOは、2017年よりル・マンに“ゼロエミッションクラス”を追加すべくワーキンググループを設立。そして2026年から、水素エンジン車のカテゴリーが創設されることが先ごろアナウンスされたばかりです。
かつては優れた耐久性を証明する舞台だったル・マン24時間耐久レースですが、徐々に効率性(低燃費)が争われる舞台となり、そして2026年からはついに、ゼロエミッション車の性能を競う舞台となるのです。この流れはクルマの進化やトレンドの変遷とリンクしており、非常に興味深いものがあります。
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