世界に先駆けた量産EV 日産初代「リーフ」登場から13年 EVシフト進む欧米中に対しなぜEVは日本で浸透しない? その根深い理由とは
日本には集合住宅が多いのも普及しない第一の理由
EVが日本であまり普及していないのには、他にも理由が考えられます。
そのひとつがインフラです。特に、駐車場への充電設備の問題です。

まず、そもそも論として、EVには駐車場での充電が必須です。もしも、駐車場なしでEVを乗ろうとなると、どこかに出かけて行って急速充電しなくてはなりません。
急速といっても、EVの充電には30分以上がかかります。エンジン車の給油は、ほんの数分で済みますが、EVの急速充電は、その十倍以上の時間がかかるのです。ですから、使っていない、駐車場に停めている間に充電する。それがEVの正しい利用法となります。
戸建てに住んでいて、そこに駐車場が併設されていれば簡単です。10万円ほど費用はかかりますが、ほぼ確実に充電設備を用意することができます。
ところがマンションやアパートなどの集合住宅になると、とたんに難しい話となります。分譲マンションならば、住民すべての承諾が必要になります。賃貸であれば、オーナーが費用を負担して設置しないとなりません。
しかも、電気を引くだけでなく、料金収集をどうするのか? という面倒くさい問題もあります。つまり、ハードルが半端なく高いのです。この高いハードルは、平置きの月極駐車場を借りている人も同様です。
言ってみれば、現状の日本では、戸建ての駐車場付きの人しか、ほぼEVを買うことができません。購入可能な人が少ない。これが日本におけるEV普及を妨げる、大きな理由と言えるのではないでしょうか。
ただし、自宅駐車場の充電設備問題は、住民やオーナーの意識次第という側面もあります。「これからはEVだ!」という考えが浸透すれば、集合住宅や月極駐車場への充電設備も普及するはず。現在は「面倒だ」「お金がかかる」と言って敬遠している住民や不動産オーナーも、「これからはEVだ」という考えが勝れば、充電設備設置に前向きになります。
また、流行というのは恐ろしいモノで、少々の経済合理性は、「流行だから」の一言で、ふっとばされることもあります。
10年ちょっと前、日本ではハイブリッドが大流行したときがありました。補助金と優遇制度も加わり、「これからはハイブリッドだ」と、販売ランキングの1位を「プリウス」が獲得したのです。ところが冷静に考えてみれば、「プリウス」は、普通のエンジン車よりも車両価格が割高で、燃費が少々良くても、その価格差を挽回できるわけではありません。経済合理性ではなく、言ってみれば「流行」でハイブリッドが売れたのです。
※ ※ ※
ある意味、「EVが高い」や「集合住宅に充電設備が難しい」という問題は、日本だけでなく欧州や中国にもあるでしょう。
しかし、それでも欧州や中国ではEVが日本以上に売れています。それはやはり「これからはEVだ」という意識が、課題を克服するパワーになっているのではないでしょうか。
ですから、日本でEVがこれ以上売れるかどうかは、「これからはEVだ!」という気分の行方次第になるはずです。
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