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これってテスラ「モデルX」じゃない!? タイの自動車ショーに見る中国の新興EVメーカーの勢いとは

タイで中国車への関心が高まる背景とは

 世界的な自動車ブランドが並ぶ中、存在感を示したのが中国車です。今回のショーでは、AION、BYD、CHANGAN、GREAT WALL MOTOR(GWM)、MG、NETA、WULINGが出展していました。

 中国車の中でも、EVはニアテスラを狙った作りも多く、BYDのデザインが弱く見えてしまうほど。AIONは、フロントシザードアを採用したスポーティな4ドアクーペ「Hyper GT」や後席用ガルウィングドアを備えた「Hyper HT」などを出展。「DEEPAL(CHANGANのブランド)」や「NETA」もデジタル的なデザインと機能をも備えたEVを展開し、注目を集めていました。

中国の新興EVメーカーNETAのスポーツモデル「NETA GTスピードスター」
中国の新興EVメーカーNETAのスポーツモデル「NETA GTスピードスター」

 GWMやMGはハイブリッドやPHEVなどを含めたエンジン車も展開していますが、EV専用車も拡大中。GWMは、丸みを帯びた個性的なEV「ORA」を展開。さらにMGは待望のスポーツカー「CYBERSTER」を投入予定ですが、こちらもEVです。

英国の自動車ブランドMGは現在、上海汽車グループの傘下となる。写真はMGの新型スポーツカー「CYBERSTER」
英国の自動車ブランドMGは現在、上海汽車グループの傘下となる。写真はMGの新型スポーツカー「CYBERSTER」

 タイで中国車への関心が高まる背景には、まず近年、政府のEV推進策があります。購入者への補助金や税制優遇はもちろんのこと、海外メーカーがタイ国内でのEV生産を行う投資を行うことで、8年間の法人所得税の免除に加え、輸入するEVの関税や税制優遇も受けられるからです。

 このため、中国の自動車メーカーのタイへの工場建設も積極的に行われており、GWMやNETAは工場が操業済。BYDやCHANGAN、NETAも生産工場計画に着手していることを明言しています。

 中国車がタイに清算拠点を設ける、もうひとつの理由は、アジアの輸出拠点のひとつにしたい狙いもあります。日本や欧米の自動車メーカーが育てた自動車生産国としての実績を評価したということでしょう。まして中国の自動車の内需も満たされつつあり、巨大な企業へと成長した中国自動車メーカーが生き残るには、国外への販路を開拓する必要に迫られているのです。

 その勢いは、モーターエキスポでの5万3248台にも上った新車受注にも表れています。

 上位には1位トヨタ、2位ホンダと日本メーカーが並ぶものの、3位にBYDがランクイン。その下も4位AION、5位MG、6位CHANGAN、7位GWMと中国勢が続き、8位いすゞ、9位日産、10位マツダとなっています。

 一方で、タイ全体の新車販売台数では、2023年1月から11月までの実績をみてみると、総数は26万6365台。この内、日本車は18万495台。シェアでいえば78%と圧倒的です。

 欧州車は高級車のみに展開され、タイの輸入車関税が恐ろしく高いことも有り、市場規模は限られています。中国車だけのシェアを抜き出してみると、1万7760台と16.1%にすぎません。ただし、今後の国内生産対応による優遇措置に加え、国内生産された中国車が増える可能性は高く、日本車メーカーもうかうかしていられないのが本音でしょう。

 その一方で、タイのEV環境の整備はこれから。全国の充電施設は、1400か所以上とされ、充電器の総数も4600台以上とされています。これはEV人気と利便性に大きな乖離があるように思えます。

 その背景には、EV購入者が複数台を所有する富裕層が多く、用途に合わせてクルマを使い分けていること。そして、タイの人たちが新しいものへの好奇心が強いことが上がられています。タイ政府としては環境政策と形骸政策の両面で、EVやPHEVなどの環境車に力を入れていくようなので、まずは都市部や高速道路での充電インフラの強化が、加速度的に進むと見られますが、日本同様に、ビジネスとしてのEVインフラへの懸念も抱えており、その動向も注目されます。

※ ※ ※

 4年ぶりに訪れた日本車天国であるタイの景色の中でも、中国車を見かけることが増えてきており、街中の広告宣伝でも中国メーカーの広告が目立ちます。

 日本にとっても自動車産業は根幹であり、大衆車も得意とする日本メーカーは、タイのような日本車天国の地域を多く抱えています。

 日本国内での中国メーカーの存在は、まだ選択肢のひとつにすぎません。

 ただ海外では、大衆車市場を中心とした熾烈な戦いが巻き起ころうとしている現実を見せつけてくれたのが、今年のタイのモーターショーでした。その危機をどう乗り越えるのか、日本車メーカー各社の手腕が問われています。

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