VAGUE(ヴァーグ)

フェラーリからは出なかった“「テスタロッサ」のタルガ”を製作中! 現代的スタイルで話題作を生み出す気鋭のデザイナーの実力とは

ファラーリ自身はつくらなかった「テスタロッサ」のタルガ仕様

 オランダ人の自動車デザイナー、ニールス・ファン・ローイ氏が、現在、1987年式のフェラーリ「テスタロッサ」をタルガ仕様にすべく作業を進めています。なんでも、アンゴラに駐在中のイギリス人顧客からのオーダーだそうです。

現在、ニールス・ファン・ローイ氏が手がけているフェラーリ「テスタロッサ」のタルガ化仕様(C)Niels van Roij Design
現在、ニールス・ファン・ローイ氏が手がけているフェラーリ「テスタロッサ」のタルガ化仕様(C)Niels van Roij Design

 多数の著名自動車デザイナーを輩出してきた、イギリスのロイヤルカレッジ・オブ・アート出身である若きローイ氏は、弱冠23歳で自らのデザイン事務所である「ニールス・ファン・ローイ」を設立。ボルボのデザイン研究や次世代ロンドンタクシーの開発などに携わってきました。

 近年、同事務所では、テスラ「モデルS」やロールス・ロイス「レイス」のシューティングブレーク、ランドローバー「ディフェンダー90」のオープンカー、「レンジローバー」のクーペ、フィアット「パンダ」に本革内装をおごったフルレストア、フェラーリ「550マラネロ」の“ブレッドバン”(過去に存在した「250GTO」のパン配送車のオマージュ)など、とにかく話題性ある作品を続々と生み出しています。

 それら作品を生み出す過程も、一風変わっています。ニールス・ファン・ローイ事務所はコーチビルダーではなく、あくまで顧客の要望に沿った車両をデザインするのみ。それを元に、従来からあるボディショップやコーチビルダーに発注し、同事務所は作業の監修をおこなうというスタイルを採っているのです。“餅は餅屋”に任せることで、初期投資や維持費を抑え、リスクヘッジするというのが現代風のスタイルなのでしょう。

●ルーフをエンジンフード内に格納できるよう工夫

 そんなローイ氏が手がけているテスタロッサのタルガ仕様は、フェラーリ自身が生み出すことのなかったモデルです。

 かつては500万円ほどでねらえた中古のテスタロッサですが、最近の相場が急激に上昇し、2000万円オーバーが当たり前の状況になりつつあります。

 そのため「もったいない」、「素のままでいいのに」という意見も当然あるとは思いますが、これこそがカスタマイズの極意、差別化のひとつといえそうです。「他人がなんといおうと、自分が乗りたいクルマに乗る。リセールバリューなんて気にしない」に尽きます。

 ちなみに、テスタロッサのスパイダー=オープンカーといえば、フェラーリの親会社であったフィアットを率いたジャンニ・アニエッリ氏のCEO(最高経営責任者)就任20周年を祝うべく、フェラーリ自らが手がけた歴史があります。

 1台しか生産されなかったその特別なモデルは、電動格納式のソフトトップを持ち、“ヴァレオ”と呼ばれるセミATを搭載していました。

 またブルネイの国王が、ピニンファリーナに7台発注したという情報もあります。これらテスタロッサのスパイダー、ごく稀にオークションに出品されています。

 一方、テスタロッサのタルガはというと、ピニンファリーナのような有名なカロッツェリアが手がけたものではありませんが、数台の存在をネットで確認できます。

 そういう意味で、ニールス・ファン・ローイ事務所が製作中の作品は目新しいものではないかもしれません。しかし、その作業風景を見ていると、どうやらルーフをエンジンフード内に格納できるよう工夫しているようです。既存のテスタロッサ・タルガは、ルーフを“どこかへ置いておく”必要があるようですから、その点においては斬新といえるでしょう。

 ベース車の状態が良好そうなので、タルガ仕様にする以外、どこかに手が加えられるか否かは分かりません。しかし、これまでローイ氏の作品を見ていると完璧主義者であることがうかがえますから、彼のテスタロッサ・タルガへの期待値は高まるばかりです。

 個人的には、タルガという名称よりも、フェラーリが「308」から「F355」まで用いていた「GTS」の方が似合うと思うのですが……。今後も引き続き、ローイ氏のSNSをチェックしていきたいと思います。

Gallery 【画像】「えっ!…」気鋭の自動車デザイナーが製作中! 「テスタロッサ」のタルガ仕様を写真で見る(16枚)
今しか買えない! 少量限定のプレミアムタイヤとは
浅草の職人魂から生まれた「KIWAME TOKYO ASAKUSA」 どんな腕時計?

VAGUEからのオススメ

タイヤの選び方が変わるーーデザインによる世界観の表現と性能とを両立したブリヂストン REGNO「GR-XIII B Edition」で“大人のドレスアップ”【PR】

タイヤの選び方が変わるーーデザインによる世界観の表現と性能とを両立したブリヂストン REGNO「GR-XIII B Edition」で“大人のドレスアップ”【PR】

RECOMMEND