“16万9000kmも走った中古”が驚きの2477万円!? 自衛隊“高機動車”の民生版 トヨタ「メガクルーザー」の人気が北米で高騰中
自衛隊の高機動車をベースとする“ハードコアなクロカン”
6年間で販売された台数はわずか130台弱。しかも、左ハンドル仕様は13台しか存在しないといわれるトヨタ「メガクルーザー」。そんな希少なモデルが、2024年始め、アメリカのオークションサイト「Bring A Trailer」でびっくりするような高値で取引されていました。

一般的に、中古車の価格は経過年数とともに新車時から下落していくもの。しかし、中古車には定価が存在しないため、この“下落スピード”は速いものもあれば、なかなか値落ちしないものもあります。なかには、ごくまれに中古車価格が新車時価格を上回る異常事態が発生することもあります。
かつては一部のスーパーカーで見かけたこの現象ですが、最近は日産「スカイラインGT-R」やマツダ「RX-7」、トヨタ「スープラ」といった、1990年代後半に絶版となった日本のスポーツカーでも異常事態が恒常化しています。
そんななか、ダークホースだったのが「メガクルーザー」です。スポーツカーではなく、いわゆる“クロカン”。しかも、かなり本気のハードコアモデルです。
1996年1月に発売された「メガクルーザー」は、元々、陸上自衛隊向けにつくられた高機動車をベースに、乗用車として最低限の化粧直しが施された民生モデルです。
1990年代の初頭に陸上自衛隊に採用された高機動車の正式なカテゴリーは“人員輸送用自動車”で、“BXD10”というコードネームがつけられ、防衛省では高機動車(HMV<High Mobility Vehicle>)、広報活動では「疾走(はやて)」と呼ばれていた車両です。
ルックスがハマー「H1」に似ていることから“和製ハマー”、もしくは、アメリカ軍の高機動車「ハンヴィー」と呼ばれることもあった「メガクルーザー」ですが、決してそれらをマネしたものではありません。
自衛隊が要求するアプローチアングルや最低地上高などのスペックに応えて、いわゆる“軍用車”を開発すると必然的にこういうルックスになってしまうのでしょう。
「メガクルーザー」は決してSUVとして市場投入されたわけではなく、災害時の救援や人命救助、学術研究などに主眼を置いていました。そのため「メガクルーザー」の納車先は消防や警察、自治体を始めとする公共団体がほとんどで、一般ユーザーが購入することはごくまれだったようです。
また、新車時価格が約1000万円と、トヨタの最高級車である「センチュリー」と同等だったことも、一般ユーザーが手を出しにくかった理由のひとつかもしれません。
全幅も全高も2mオーバー、ホイールベース約4mの「メガクルーザー」は、その名のとおり巨漢で、どんな道でも走れるハードコアな車両です。
デフロックを備えるのはもちろんのこと、最低地上高が42cmも確保され、50cmの障害物を乗り越えるアプローチアングル、リアにはトラクション確保のためタイヤの空気圧を調整する機構(車内からボタン操作)なども備わっていました。
また「メガクルーザー」は、4輪操舵システムを搭載していたため、意外にも小回りが効くモデルでした。最小回転半径はなんと5.6mで、トヨタ車で例えるなら先代「ヴェルファイア」(5.8m)よりも小回りが効きました。ただし、全幅は2mオーバーですから「都市部でも乗りやすい!」とまではいい切れませんが……。
●多走行、修復歴アリでも価格は新車時の2.5倍
そんな「メガクルーザー」、6年間で販売された台数はわずか130台弱。さらに、左ハンドル仕様は13台しか存在しない、といわれています。
そんな希少なモデルがいつの間にかアメリカではマニアの間で人気となっていて、昨今、びっくりするような高値で取引されています。
2024年始めにアメリカのオークションサイト「Bring A Trailer」で落札された「メガクルーザー」は、ぱっと見きれいに見えるものの、走行距離は16万9000kmという代物でした。
日本から中古車として輸入された車両で、日本でのオークション出品表までご丁寧に添付されています。
それらをよーく見てみると、「リアフロア腐食穴」、「センターフロアパネル板金跡」、「下回り錆び、腐食、ペイント有」でR点となっています。日本の中古車業界でいうところの「修復歴アリ」という車両です。
にもかかわらず、アメリカで再塗装が施され、各部を修理した写真や明細書も添付されています。
そんな車両が今回、16万7500ドル(約2477万円)で落札されました。多走行、修復歴アリにもかかわらず、新車時価格の2.5倍で取引されたのです!
中古車価格は需要と供給に支配されることを考えれば、それほどまでに「メガクルーザー」人気は高騰している、ということを意味します。新車では売れなかったのに、中古車となって人気が高まるクルマ……自動車メーカーからしてみれば歯がゆいでしょうねぇ。
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