フェラーリの「V12エンジン」はなぜ生き延びることができたのか? 新たな旗艦「ドーディチ チリンドリ」に見た「跳ね馬の覚悟と情熱」
“デルタウイング”と呼ばれるリア回りの処理が斬新
「ドーディチ チリンドリ」のスタイリングは、「365GTB/4」前期のプレキシグラス顔や、「275GTB」の肉感的なリアフェンダー&カムテールなど、過去のモデルたちのディテールが垣間見えるようでもあります。

しかし、デザイナー自ら“デルタウイング”と呼ぶリア回りの処理に、ノスタルジー物件とは異なるこだわりが感じられます。
ルーフから反復するように、テールエンドまで続くように処理されたリアウインドウ面は、なるほど上からみれば確かにデルタウイングです。
可動式のスポイラーはそのブラックアウトされたテール部の左右端が独立して上昇する形となりますが、何せ340km/h級の速さを支える重要なアイテムです。下方部も含めエアロダイナミクスには相当なこだわりをもって練り込んだことがプレゼンテーションでも伝えられました。
同時に発表されたスパイダー=オープン仕様は、「812GTS」の流れを汲んだ意匠となっており、リアのグラフィックが斬新なクーペに比べると、かえってオーセンティックな印象です。
そもそも、クーペとスパイダーを同時発表することは、フェラーリとしては異例なこと。オーナーたちの支持がどのように割れるかは興味深いところでもあります。
* * *
ちなみに、フェラーリが「ドーディチ チリンドリ」の開発をスタートしたのは2020年だったそうです。
思い返せば、当時、世はコロナ禍の真っ只中。クルマは電動化の大波の中にありました。そんな状況下で、フェラーリは自らの立ち位置をどうあるべきかと思案し続ける日々でした。
そんな最中だったからこそ、かえって彼らは自信を持って、自らが“名代”と誇る12気筒エンジンの継続に腹をくくることができたのかもしれません。
内燃機関を工芸の域にまで昇華させたその情熱と執念が、“12気筒”という名のクルマには宿っているようにもうかがえます。
page
- 1
- 2
VAGUEからのオススメ
ポータブル電源が都心で過ごす夜を変える──Jackeryがかなえる“オフグリッド”なスポーツ観戦【PR】