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走行距離わずか400km!? 20年前の“極上スーパーカー”を発見 3億円オーバーで落札された「特別なポルシェ」とは

レーシング プロトタイプからフラッグシップ スーパーカーへ

 圧倒的なパワーを持ちながら、現代のスーパーカーの多くを特徴づけるコンピュータやアダプティブ エレメントによる制御を最小限に抑えたポルシェ「カレラGT」。

 このクルマは、モータースポーツにおけるポルシェの伝説的なルーツへの完璧なオマージュでした。

オークションに登場した2005年式ポルシェ「カレラGT」。202万5000ドル(約3億3750万円)で落札された (c)2023 Courtesy of RM Sotheby's
オークションに登場した2005年式ポルシェ「カレラGT」。202万5000ドル(約3億3750万円)で落札された (c)2023 Courtesy of RM Sotheby's

 もっとも、このモデルは元々レースに参戦するために開発されたことを考えれば、これは驚くべきことではないでしょう。

 ポルシェが1998年に「911GT1」でル・マン24時間レースを制した後、ヴァイザッハのエンジニアたちはLMP1-98プログラム用の新しいオープントップ プロトタイプに照準を合わせました。

 このプロトタイプは、GT1でおなじみの911ベースのターボチャージャー付きフラット6ではなく、フットワーク・アローズF1プロジェクトから復活させた自然吸気の広角V10エンジンを搭載する予定でした。

 しかし、FIAは1999年のル・マン「プロトタイプクラス」をキャンセルしました。

 もしFIAがこのプロトタイプのコンペティションでの将来を絶たなければ、このクルマはサーキットで素晴らしいコンペティターになっていたかもしれません。

 それでもポルシェの首脳陣は開発作業を放り出すことに満足せず、プロジェクトはフラッグシップ ロードゴーイング スーパーカーという新たな目標へと移行したのです。

※ ※ ※

 2000年のパリモーターショーで正式に発表されたカレラGTは、当初5.5リッターのV10エンジンを搭載し、大喝采を浴びました。そしてポルシェは、この最高級モデルの生産に踏み切りました。

 カレラGTは、軽量で究極のパワーというレーシングの原則に明確に基づき、カーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)でできた220ポンド(約100kg)の軽量ドライバーズタブを中心に据えています。

 この素材はエンジンサブフレームにも惜しみなく使用され、「ボクスター」のデザイナー、グラント・ラーソン氏が生んだ、息をのむようなコーチワークにも採用されました。

 官能的な曲線と低いスタンスで構成されたボディは、1950〜60年代のレーシングスパイダーを彷彿とさせ、シュトゥットガルトが誇るモータースポーツの伝統を思い起こさせます。

 アルミニウム製V10エンジンは、量産型では5.7リッターに拡大し、68度という珍しいバンク角を採用しました。

 アルミニウム製のピストンやインテークマニホールド、チタン製のコンロッド、鍛造クランクシャフトなどの軽量レーシング コンポーネントを使用することで、エンジン重量はわずか452ポンド(約205kg)に抑えられました。

 ドライサンプ潤滑により、リアミッドシップマウントされたエンジンはサブフレーム内の非常に低い位置に配置されました。

 そして、カーボンセラミック製クラッチと軽量フライホイールが、レッドライン8400rpmに象徴されるパフォーマンスを達成しました。

 最高出力605馬力/8000rpm、最大トルク435lb-ft(約590Nm)を発生するV10エンジンは、名車「917」のスタイルを踏襲したブナ材のノブ付きシフトレバーで作動する6速MTと組み合わされました。

 その結果、カレラGTは0-60mph(約96km/h)加速はわずか3.6秒、最高速度は205mph(約328km/h)に達し、瞬く間に200mphオーバーの特別なスーパーカー クラブの一員となりました。

 カレラGTは、4年間の生産台数は1270台という控えめなもので、そのうち米国に輸出されたのはわずか644台でした。

 カレラGTは現在、ポルシェで最も望ましいプレステージモデルの1台とみなされています。

Next2オーナーの極上車は202万5000USドルで落札
Gallery 【画像】3億円超で落札された“極上ポルシェ” 2005年式「カレラGT」を写真で見る(34枚)
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