走行距離わずか400km!? 20年前の“極上スーパーカー”を発見 3億円オーバーで落札された「特別なポルシェ」とは
レーシング プロトタイプからフラッグシップ スーパーカーへ
圧倒的なパワーを持ちながら、現代のスーパーカーの多くを特徴づけるコンピュータやアダプティブ エレメントによる制御を最小限に抑えたポルシェ「カレラGT」。
このクルマは、モータースポーツにおけるポルシェの伝説的なルーツへの完璧なオマージュでした。

もっとも、このモデルは元々レースに参戦するために開発されたことを考えれば、これは驚くべきことではないでしょう。
ポルシェが1998年に「911GT1」でル・マン24時間レースを制した後、ヴァイザッハのエンジニアたちはLMP1-98プログラム用の新しいオープントップ プロトタイプに照準を合わせました。
このプロトタイプは、GT1でおなじみの911ベースのターボチャージャー付きフラット6ではなく、フットワーク・アローズF1プロジェクトから復活させた自然吸気の広角V10エンジンを搭載する予定でした。
しかし、FIAは1999年のル・マン「プロトタイプクラス」をキャンセルしました。
もしFIAがこのプロトタイプのコンペティションでの将来を絶たなければ、このクルマはサーキットで素晴らしいコンペティターになっていたかもしれません。
それでもポルシェの首脳陣は開発作業を放り出すことに満足せず、プロジェクトはフラッグシップ ロードゴーイング スーパーカーという新たな目標へと移行したのです。
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2000年のパリモーターショーで正式に発表されたカレラGTは、当初5.5リッターのV10エンジンを搭載し、大喝采を浴びました。そしてポルシェは、この最高級モデルの生産に踏み切りました。
カレラGTは、軽量で究極のパワーというレーシングの原則に明確に基づき、カーボンファイバー強化プラスチック(CFRP)でできた220ポンド(約100kg)の軽量ドライバーズタブを中心に据えています。
この素材はエンジンサブフレームにも惜しみなく使用され、「ボクスター」のデザイナー、グラント・ラーソン氏が生んだ、息をのむようなコーチワークにも採用されました。
官能的な曲線と低いスタンスで構成されたボディは、1950〜60年代のレーシングスパイダーを彷彿とさせ、シュトゥットガルトが誇るモータースポーツの伝統を思い起こさせます。
アルミニウム製V10エンジンは、量産型では5.7リッターに拡大し、68度という珍しいバンク角を採用しました。
アルミニウム製のピストンやインテークマニホールド、チタン製のコンロッド、鍛造クランクシャフトなどの軽量レーシング コンポーネントを使用することで、エンジン重量はわずか452ポンド(約205kg)に抑えられました。
ドライサンプ潤滑により、リアミッドシップマウントされたエンジンはサブフレーム内の非常に低い位置に配置されました。
そして、カーボンセラミック製クラッチと軽量フライホイールが、レッドライン8400rpmに象徴されるパフォーマンスを達成しました。
最高出力605馬力/8000rpm、最大トルク435lb-ft(約590Nm)を発生するV10エンジンは、名車「917」のスタイルを踏襲したブナ材のノブ付きシフトレバーで作動する6速MTと組み合わされました。
その結果、カレラGTは0-60mph(約96km/h)加速はわずか3.6秒、最高速度は205mph(約328km/h)に達し、瞬く間に200mphオーバーの特別なスーパーカー クラブの一員となりました。
カレラGTは、4年間の生産台数は1270台という控えめなもので、そのうち米国に輸出されたのはわずか644台でした。
カレラGTは現在、ポルシェで最も望ましいプレステージモデルの1台とみなされています。
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