注目すべきは「爆発タイミング」“並列2気筒”の走りを左右する“クランク角”って何? 代表的モデル3台の注目すべき実力とは【エンジンから見えるバイクの個性】
3種ある“クランク角”によって走り味が異なる
バイクにはさまざまなタイプのエンジンが搭載されており、それが各モデルの個性となっているケースが多々あります。なかでも250ccクラスから1000ccオーバーまで幅広いモデルに搭載されているのが、イマドキ主流となっている“並列2気筒エンジン”です。

文字どおり、シリンダーがふたつ並んでいるエンジン形式で、空冷や水冷、SOHCやDOHCなどさまざまなタイプがありますが、“並列2気筒エンジン”の特性を左右するのは、それぞれの気筒の爆発間隔。“クランク角”とも呼ばれるこの数値が走り味を大きく左右するのです。
4ストロークのエンジンは、クランクが2回転する間に1回爆発しますが、2気筒が等間隔、つまりクランクが1回転した際に1回ずつ爆発するのが“360度クランク”と呼ばれるタイプ。爆発する方の気筒のピストンが圧縮上死点にある際、爆発しない方の気筒のそれは排気上死点にあります。ちょうど360度ズレているため“360度クランク”と呼ばれるのです。
“360度クランク”の特徴は、非常に扱いやすいこと。等間隔に爆発が起こるため、素直な特性のエンジンになるといわれています。ただし、2気筒分のピストンが同じ動きをするため、振動が大きくなりやすいのが欠点です。
排気量の比較的小さいモデルに採用されることが多いのが“180度クランク”。2気筒の爆発間隔が180度ズレていますが、前述したように各気筒は2回転(720度)に1回爆発するので、2気筒が180度ズレて爆発した後、540度回っている間は爆発が生じないことから不等間爆発とも呼ばれます。
2気筒のピストンが180度ズレて動くことで互いに振動を打ち消し合い、高回転域まで回して高出力をねらえるのがメリット。一方、爆発しない間隔が長いので低回転域で不安定になりやすいことと、互い違いにピストンが動くことによる振動が生じるのがデメリットです。
そして近年、大排気量の2気筒エンジンで主流となっているのが“270度クランク”。文字どおり、爆発間隔が270度ズレていて不等間隔爆発ではあるものの、爆発しない間隔が“180度クランク”ほど長くないのが特徴です。
特性としては、爆発によるパルス感があり、グリップのよくない路面でもトラクションを得やすいため、かつては主にラリーマシンで採用されていました。その割に、高回転域も不得意ではないため、近年はロードモデルでも採用が進んでいます。
●“クランク角”別に見る注目モデル3選
ここからは、そんな“並列2気筒エンジン”を搭載する注目モデルを、3種類のクランク角ごとに見てみましょう。
“360度クランク”の“並列2気筒エンジン”を搭載する代表的なモデルといえば、カワサキ「W800」。クラシックな雰囲気の空冷マシンでクランク角も古典的な360度を採用しています。
“180度クランク”の“並列2気筒エンジン”を搭載する代表的なモデルは、ホンダの「CL500」。スクランブラー的なルックスですが基本的にはロードモデルで、高回転域までフラットなパワー特性が特徴です。ホンダは伝統的に“180度クランク”のモデルが多かったのですが、近年は“270度クランク”の採用が進んでいます。
“270度クランク”の“並列2気筒エンジン”を搭載する代表的なモデルは、ヤマハの「テネレ700」。実は“270度クランク”の“並列2気筒エンジン”はヤマハのラリーマシンが初採用したこともあり、今もヤマハの“並列2気筒エンジン”は“270度クランク”が中心となっています。それもあってか、「テネレ700」に搭載されるエンジンは、「MT-07」や「YZF-R7」にも採用されています。
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同じ“並列2気筒”というエンジン形式でも、それぞれに異なる特徴や味わいを持った3種類の“クランク角”。バイクを選ぶ際は、こういった部分にも注目すると理想の1台にめぐり合えるかもしれません。
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