「オフロードでの進化」が継続中! 軽くてハイパワーな“2ストローク”エンジンの魅力とは? 代表的モデル3台の気になる実力【エンジンから見えるバイクの個性】
軽量でシンプルな構成の“2ストローク”エンジン
バイクにはさまざまなタイプのエンジンが搭載されており、それが各モデルの個性を演出していますが、本記事では、いまや希少な存在となった“2ストローク”エンジンにフォーカスします。

“4ストローク”エンジンは、吸気・圧縮・点火(爆発)・排気という4行程でひとつのサイクルを形成。その間にクランクが2回転します。
それに対して“2ストローク”エンジンは、吸気と圧縮、爆発と排気の行程がそれぞれ重なっており、クランクが1回転するたびに爆発します。
そのため、同じ排気量と回転数であれば“2ストローク”の方がパワーを稼ぐことが可能。また、カムシャフトやバルブが存在せず、シリンダー壁面に設けられたポートで吸排気をコントロールするため構造がシンプルで、“4ストローク”に比べてエンジン本体が軽量なのもメリットです。
そのため、1980〜1990年代のバイクブームの時代に登場したスポーツモデルは、“2ストローク”エンジンが大きな勢力を占めていました。レーサーレプリカと呼ばれた「NSR250R」や「TZR250R」を思い起こすライダーも多いことでしょう。
ただし、排ガス規制が厳しくなっていく中、公道向けの“2ストローク”エンジン搭載モデルは姿を消していきます。
その理由は、潤滑のためのオイルを燃料といっしょに燃やす構造であることと、爆発と排気の行程がオーバーラップしているため完全燃焼が難しいため。排ガスのクリーン化が困難で燃費もよくないのが、姿を消してしまった理由です。
とはいえ、競技向けのオフロードモデルでは“2ストローク”エンジンの進化が続いています。軽量で瞬発力のある“2ストローク”はオフロードでのメリットが大きく、特にハードエンデューロと呼ばれるジャンルでは今も主流となっているほどです。
なかには、燃料供給にインジェクションを採用し、電子制御化したモデルも登場。以前の“2ストローク”モデルは低回転域のトルクが弱い傾向にありましたが、現代のモデルは低回転域でも“粘る”特性を実現しており、進化のほどを体感できる完成度を誇ります。
●“2ストローク”エンジンの魅力を実感できる注目モデル3選
現代において、最も進化した“2ストローク”エンジンを手がけているのが、オーストリアのKTM。エンデューロ向けのモデルを中心に、300cc、250cc、150ccと幅広い排気量帯に“2ストローク”モデルをラインナップしています。
その中でフラッグシップに当たるのが「300 EXC」です。TBI(スロットルボディ噴射)と呼ばれる電子制御によるインジェクション機構を採用し、ハイパワーでありながら扱いやすさも両立。現代の“2ストローク”モデルのベンチマークとなっています。
さらにKTMは、2025年モデルとして「300 XC-Wファクトリーエディション」を発表済み。こちらは「AMA USハードエンデューロ」シリーズで圧倒的な強さを見せたマシンをベースにしたモデルで、レース用マシンをスポンサードするレッドブルのグラフィックがアクセントになっています。
日本で“2ストローク”エンジンに力を入れているのはヤマハ。クロスカントリー向けに「YZ250X」や「YZ125X」をラインナップし、進化を続けています。
なかでも、日本国内で多くのオフロードライダーに支持されているのが「YZ125X」。モトクロッサーをベースとするモデルですが、低中回転域の扱いやすさを向上させています。燃料供給はキャブレターながら、現代的な走りを味わえるモデルに仕上がっています。
2025年に入り、アメリカで“2ストローク”モデルを復活させるとアナウンスして話題となったのはカワサキ。その実体はまだ明らかにされていませんが、小排気量モデルでは“2ストローク”エンジンを搭載したモデルをラインナップしています。
そんなカワサキで、小排気量モデルながら高い戦闘力を持つと評価されているのが「KX112」。コンパクトな車体に112ccの“2ストローク”エンジンを搭載し、36Φの倒立フォークを採用するなど、大人がオフロードコースを楽しめる仕様となっています。
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このように、ハードエンデューロと呼ばれるジャンルなどで各社が現在の技術を磨き続けている“2ストローク”エンジン。カワサキが復活を宣言したように、その未来には新たな可能性が広がっているようです。
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