アウディQシリーズのフラッグシップ「Q8」は走りにカドがないSUVクーペ【試乗】
22インチタイヤ装着でもまろやかでカドのない乗り味
アウディQ8 55 TFSI Quattro debut package Sライン(73万円のコンフォートアシスタンスパッケージ付き)で走り出してみる。
一般道を軽く流しただけでも、その上質な乗り味に惹かれる。いわゆるボディ剛性が非常に高く、しっかりしている感じがドライバーに伝わってくる。
ユルい感じは一切なく、プラットフォームの芯が強い感じだが、乗り心地は硬いわけでは決してない。まろやかでカドがなく、揺さぶられる感じがしないところが快適に感じる。
Sラインパッケージ装着車が履いているタイヤは、285/40R22 110Y XLというサイズの、コンチネンタル「スポーツコンタクト6」という、超偏平のウルトラハイパフォーマンスタイヤだ。
40扁平という薄さながら、路面の凹凸に対する当たりの強さはなく、極めて快適だった。Q8のアダプティブエアサスペンションとの相性は良さそうだ。
アダプティブエアサスのセッティングは、5種類から選択可能だ。通常は「オート」でこと足りるが、必要に応じて「コンフォート」「ダイナミック」「オールロード「リフト/オフロード」からも任意で選択することができる。
ドライビングポジションを取ったとき、ルーフの低さからくる圧迫感はまったくない。その意味では、Q7と比較してのデメリットは感じない。
当然ながら、通常のセダンモデルよりもアップライトなポジションが取れる十分なスペースが確保されている。アイポイントが高めなので見通しも良く、市街地での渋滞時の走行も楽に運転できた。
このあたりがSUVのヒットの理由のひとつだろう。もちろん、後席のヘッドクリアランスも十分にある。
Q8に搭載されるエンジンは、500Nmという最大トルクをたった1370rpmから発揮できるものだが、アクセルペダルの反応は、ゲインが高過ぎず扱いやすい。つまり、少しペダルを踏んだだけで急に加速するようなテイストではなく、もっとジェントルなレスポンスだ。
もちろん、ペダルを深く踏み込んでいけば、シートバックに身体を押しつけられるほどの加速力を味わうことができる。2トンを超える車重だが、500Nmという最大トルクによって軽快に走らせることが可能だ。
このように、エンジンの強い力をドライバーの右足で自在に操ることができるところが良い。
ハンドルの反応も、とても自然だ。これもアクセルペダルと同様、ゲインが高過ぎることがなく、また応答遅れも感じない自然な反応で、気を使わずにドライブできる。
とくに高速道路では、直進付近の微小操舵でのフィーリングの反応が扱いやすく、長時間ドライブでも疲れなかった。ワインディングロードでカーブを走る時でも、ハンドル角に比例した期待どおりの反応が、ドライビングの楽しみを増している。穏やかなのにスポーティに走れるところに、大人の雰囲気を感じた。
Q8には4WS(4輪操舵)が装備されている。低速時にはフロントと逆位相に切れて小回りが利くようになり、ハイスピードでは同位相に切れて安定感が増すようにプログラムされているが、熟成された感じで違和感はまったく感じなかった。
日本上陸間もないQ8なだけに、ライバルが多い高級SUV市場において、まだ目立つ存在にはなっていないが、自分のクルマとして長く乗るには、忘れずに候補に挙げなくてはいけないモデルだと感じた。スタイリングもシャープで、ドライビングも扱いやすく、そしてユーティリティも高い。オールマイティなSUVといえるだろう。
●車両本体価格(消費税込):1122万円
●オプション価格(消費税込)82万円
●試乗車価格(消費税込):1204万円
・全長:4995mm
・全幅:1995mm
・全高:1690mm
・ホイールベース:2995mm
・車両重量:2210kg
・エンジン形式:V型6気筒DOHCターボ
・排気量:2994cc
・駆動方式:4WD
・変速機:8速AT(ティプトロニック)
・最高出力:340馬力/5200-6400rpm
・最大トルク:500Nm/1370-4500rpm
・燃費(JC08モード):10.3km/L
・サスペンション前/後:ダブルウイッシュボーン/ダブルウイッシュボーン
・ブレーキ前/後:ディスク/ディスク
・タイヤ:285/40R22
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