「遅れて来た本命」フィアットの小型SUV「600ハイブリッド」はなめらかな走り味と使い勝手のよさが好印象! 狭い道でもスイスイ走れます
ハイブリッド仕様の追加で「600」の魅力が格段にアップ
このように、魅力たっぷりのフィアット「600ハイブリッド」ですが、果たしてその実力はいかがなものでしょうか?

試乗して筆者が感心したのは、メカニズムとしては地味な存在ながら、なめらかに変速してくれるDCTの出来栄えです。
DCTといえば、ギクシャクしたり、変速ショックがあったりといった悪い印象を抱くクルマ好きも多いかもしれませんが、そうした悪い印象は「600ハイブリッド」には皆無。
そのなめらかな変速フィールは、まるでトルクコンバーターを組み合わせたATのようです。「DCTとしてはキレ味がイマイチ」といった意見もあるようですが、スムーズに走れることは間違いありません。
パワーユニットの核となる1.2リッターのターボエンジンは、必要にして十分の力強さを発揮してくれます。
排気量は小さいものの、ターボチャージャーのサポートのおかげでしっかりと加速してくれますし、上り坂に差しかかった際などアクセルペダルを少し踏み増すようなシーンでも、トルクが立ち上がっていく際の振る舞いは好印象。ボディサイズと同様、運転しやすいパワートレインといえます。フィアット、なかなかやるじゃないですか!
そんな「600ハイブリッド」で個人的に便利だと思ったのは、シフトパドルがついていたこと。
筆者は「パドルを駆使してスポーティな走りを楽しむ」ことにあまり興味はありませんが、それでも、下り坂に差しかかった際や前走車との車間距離が詰まったときなど、シフトダウンしてエンジンブレーキを効かせながら走るといったケースが多々あります。そんなとき、シフトパドルが備わっていると非常に便利なのです。
正直なところ、BEVだけのラインナップだったこれまでの「600」シリーズは、どこか物足りなさを覚えたものです。しかし今回、ハイブリッド仕様が追加されたことで、「600」シリーズの魅力はメキメキとアップしたように感じます。
遅れて来たシリーズの本命……それが「600ハイブリッド」なのです。
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ところで、フィアットのハイブリッド車といえば、これまでの「600e」と同様、現在はBEVだけのラインナップとなっている「500」シリーズにいつハイブリッドモデルが追加されるのか、気になる人も多いことでしょう。
すでにイタリア本国では、「500ハイブリッド」のプロトタイプの組み立てがスタートしていることから、近い将来、日本市場にも導入されることを祈るばかりです。
もし「500ハイブリッド」が発売されたなら、日本でも再びフィアット人気に火がつきそうな気がします。
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