「街の遊撃手」はダテじゃない!? いすゞ2代目「ジェミニ」の“やりすぎCM”がいま見ても衝撃的な理由とは
リアルすぎた2代目ジェミニCMの真骨頂
CMを通じて1970年代から90年代初頭、もっとも勢いのあった時代の日本車を振り返るコラム。昭和のCM史に残る傑作として語り継がれるいすゞ2代目「ジェミニ」。今回は1980年代に放映された“やりすぎ”なCM表現と、その背景を探ります。

当時、提携先だったGMとの関係でオペル「カデット」をベースとした初代に対し、いすゞの完全オリジナル設計となった2代目ジェミニがデビューしたのは1985年。「街の遊撃手」という晩年まで使われるキャッチコピーと共に伝説のCMがスタートするわけですが、実は当初の作品は無難な作りでした。
パリ市街を走る、というシチュエーションこそ同じでしたが走行シーンはスロー撮影が主体。登場するジェミニも抑制の効いたメタリックカラーで、特別刺激的なものではありませんでした。
そんな構成が大きく変わるのは翌年から。2代目ジェミニといえば、当時珍しかったパステル系の鮮やかなボディカラーを用意したことでも話題になったのですが、CMにもそうした仕様を起用。並び合う2台の左右を連結してパリ市街で“Sドリ”をかましたり縦横無尽に暴走させたりと大胆な内容になります。
このスタントを手がけたのは映画『ミニミニ大作戦(もちろんクラシック・ミニを使った初代の方です)』や007シリーズでも手腕を振るったレミー・ジュリアン氏率いるスタントチーム。以降、CM内に登場するジェミニの走りはエスカレートの一途を辿り、エッフェル塔の前でジャンプしたり街中でバックスピンターンするなどは序の口。ジャンプする2台が噴水の上で交差したり水面の船を踏み台にして川を飛び越えたり遊園地に乱入したり……。
果ては地下鉄駅構内に飛び込み地下鉄と併走して脱出するなど、もはや“やりたい放題”。いまやクローズドのテストコースを走らせただけでも「スピードの出し過ぎだ!」とメーカーにクレームが入るらしいどこかの国の事情を思うと、まず現代では再現不可能といっても過言ではない暴れっぷり。
何より、個人的には上記のような撮影に許可を出したパリ市の懐の深さにも頭が下がる思いです。また、当時は現在のような映像加工技術などない時代ですから、スタントチームの卓越したクルマのコントロール技術も見どころのひとつでありました。
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