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WRCホモロゲモデルとして164台が生産 “赤い悪魔”と呼ばれた有名な1台がオークションに登場 四輪駆動の優位性を示した「スポーツクワトロ」とは

ヒルクライムでフェラーリ「F40」を破るパフォーマンスを発揮

 2025年8月に米国カリフォルニア州モントレーで開催されるRMサザビーズのオークションに、1984年型のアウディ「スポーツクワトロ」が出品されます。

 どんなクルマなのでしょうか。

オークションに登場した1984年式アウディ「スポーツクワトロ」(c)2025 Courtesy of RM Sotheby's
オークションに登場した1984年式アウディ「スポーツクワトロ」(c)2025 Courtesy of RM Sotheby's

 1984年、アウディはクワトロの進化版である「スポーツクワトロ」で3年ぶり2度目のWRC(世界ラリー選手権)のタイトルを獲得しました。

 そこでアウディは、そのモータースポーツでの優位性を米国のロードカーにアピールしようと模索していました。

 ミネソタ州チャンハッセン在住のレーサーで、アウディクラブofノースアメリカの創設者であるフランク・ベドアJr.氏は、アウディに提案する手紙を送りました。

 彼は、いずれもベテランドライバーである彼の妻や3人の子どもが、米国におけるアウディのレーシングスピリットをアピールするために、5台のスポーツクワトロを用意して欲しいと依頼しました。

 そのうちの1台が、1986年から1998年にかけて、息子のひとりであるデビッド・ベドー氏がドライブし、記録的な成功を収めたスポーツクワトロで、「赤い悪魔(レッドデビル)」と呼ばれています。

 このクルマは 現在もベドアファミリーが所有しており、アウディのホモロゲーション(競技用に公認された)スペシャルモデルの中でももっとも魅力的な一台であることは間違いありません。

 スポーツクワトロの生産台数は、わずか164台でした。この「赤い悪魔」はそのうちの1台で、1986年に納車されました。

 その後、アウディスポーツ(アウディのモータースポーツ部門)のエンジンビルダーであるハインツ・レーマン氏によってチューンされました。

 ポート&ポリッシュされたシリンダーヘッド、ハイカムシャフト、モトロニックECUやK27ターボチャージャーの最適化、吸排気系などの改良により、最高出力はスタンダードから145ps以上アップした449ps、最大トルクも466Nmを発生しました。

 ベドー兄弟で最も才能があるとみなされたデビッド氏は、アウディスポーツのワークスドライバーであるジョン・バッファム選手の下でトレーニングしました。

 デビッド氏のドライビング スキルは向上し、それは彼の兄弟たちに伝えられました。

 そして1988年から1998年まで、デビッド・ベドー氏と赤い悪魔は、米国中西部で開催されたアウディクラブのオートクロス イベントを席巻しました。

 ほぼすべてのイベントはベドー兄弟のエキジビションとなり、興味の対象は「彼らの誰が勝つか?」になっていました。

 この赤い悪魔が最も注目を集めたのは、1991年6月にフェラーリクラブofアメリカが開催した、5.2マイル(約8.3km)バージニアシティ ヒルクライムでした。

 フェラーリの最高級ロードカーが勢ぞろいする中、この赤いスポーツクワトロはF40に12秒、兄のスティーブ・ベドー氏が駆る「F40キラー」と呼ばれる白いスポーツクワトロに4秒差をつけて1位でゴールし、周囲を驚かせました。

 現役引退後も、このスポーツクワトロはアウディのスペシャリストによってメインテナンスされてきました。

 大切に保管するだけでなく、ヒルクライムやオートクロス、ラリーなどのイベントを楽しんできました。

アウディの栄光あるモータースポーツ史を築き上げてきた達人たちによって新車から改造された赤い悪魔は、クワトロ4WDシステムによるパフォーマンスを発揮し、当時もっとも高性能なスーパーカーを見事に屈服させました。

この「赤い悪魔」と呼ばれた1984年型のアウディ スポーツクワトロ、オークションでの落札価格は40万USドル〜50万USドル(1USドル=約145円として、約5800万円〜約7250万円)と予想されています。

Gallery 【画像】スゴい“スポーツクワトロ”がオークションに登場! 「赤い悪魔」を写真で見る(32枚)
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