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現存する“最古”のランドローバー!? オークションで発見された 70年以上前のシリーズI「イギリス軍」仕様とは

1948年に最初に英国軍に供給した20台中6番目のモデル

 2025年7月に英国バークシャー州タプロウで開催されるRMサザビーズのオークションに、1948年型の「ランドローバー シリーズI」が出展されます。

 どんなクルマなのでしょうか。

 オークションに出品予定の1948年製「ランドローバー シリーズI」Neil Fraser(c)2025 Courtesy of RM Sotheby's
 オークションに出品予定の1948年製「ランドローバー シリーズI」Neil Fraser(c)2025 Courtesy of RM Sotheby's

 英国ランドローバー(現ジャガー・ランドローバー)が1948年12月にイギリス軍に供給した最初のモデルが、シリーズⅠです。

 今回出品された、シャシナンバー「R-860756」のシリーズIは、1948年12月にソリハルの工場からイギリス軍に最初に供給された20台のうち、6番目のモデルでした。

 したがって、現存するシリーズIとしてはこの個体が最古の1台と思われます。そのほとんどはすでに廃車になっていると考えられます。

 このクルマがどんな任務に就いていたかは不明ですが、ブロンズグリーンのボディに2枚の赤い翼が描かれていたことから、爆弾処理、または軍需運搬車として使用されていたようです。

 このクルマは、最初は陸軍省の「M6278786」、1949年に軍用の「90 YJ 00」という登録ナンバーが与えられました。

 1961年まで現役でしたが、1962年4月にノッティンガム近郊のラディントンにある陸軍省保管庫に送られる前に引退し、7月にオークションで売却されました。

 その後、民間ナンバーの「2350 PK」で登録され、1985年に業者が購入するまで、1977年に1度だけ所有者が変わったようです。

 写真を見ると、この時点で予備的なレストアが開始されましたが、それまで溶接などの修理は受けておらず、驚くほどオリジナルのシャシだったのです。

 その後、2014年から2015年にかけて再びフルレストアされました。

 これは当時のオーナーが専門家のアドバイスを受けながら実施したもので、可能な限り歴史的に正しく仕上げることができました。

 シルバーのシャシにブラックのアクスルという工場出荷時のカラーリングを維持したまま、ブロンズグリーンで再塗装する前に、修理が必要な部分は助手席の足元だけでした。

 オリジナルのエンジンは、現役中にコアプラグ付きユニットに交換されました。

 これはエンジンブロックに貼られた補給省の真鍮製「オーバーホール」プレートで確認できます。

 こうした「アップグレード」は軍用の厳しい環境を生き抜いたクルマでは当たり前のことで、その唯一無二のヒストリーを損なうものではありません。

 オリジナルの初期型「リングプル」タイプのギアボックス/トランスファーボックスも健在で、ミリタリースタイルのスプリットリム ホイールに6.00×16インチのエイボン トラクションマイレージというタイヤを装着しています。

 レストアされてから、このクルマは多くの賞を受賞しており、工場出荷時と同様の仕様で、一流のレストアラーやブランドのオーソリティから高く評価されています。

 ランドローバーで非常に人気の高い「プレ1500」と呼ばれるシリーズⅠを所有できるだけでなく、軍とランドローバーの永年にわたる関係の始まりに貢献した、前例のないクルマを所有できる非常に稀な機会となります。

 この1948年型のランドローバー シリーズI、オークションでの落札価格は5万英国ポンド〜7万500英国ポンド(1英国ポンド=約197円として、約985万円〜約1477万5000円)と予想されています。

Gallery 【画像】これが世界最古のランドローバー車 1948年製「シリーズI」を写真で見る(28枚)

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