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「家具屋が革命を起こす日」ニトリが仕掛ける“生活家電”という第3の柱とは?――家電で読み解く新時代|Case.06

コストと設置性を両立したドラム式洗濯乾燥機。一般的な60cm×60cmの防水パンにも設置できる
コストと設置性を両立したドラム式洗濯乾燥機。一般的な60cm×60cmの防水パンにも設置できる

「製造物流IT小売業」の一貫体制がもたらす強み

 ニトリがなぜこうした高品質ながら低価格で優れた使い勝手を実現できるのか。その秘密は、ニトリ独自の「製造物流IT小売業」という一貫体制にあるという。

 製品の企画段階から開発、設計、生産、さらには物流、店舗販売、ECサイトまでを自社内で統合管理することで、中間コストを大幅に削減することが可能になっているからだ。

 前出の担当者も、「私たちの強みは、全プロセスを自社で一貫して管理している点です。だからこそ無駄を省き、高品質でありながら手頃な価格の製品を消費者に届けることができるのです」と説明する。

 こうしたニトリ独自のビジネスモデルによって生み出された家電製品は、単に価格が安いというだけではない。

「お、ねだん以上。」の価値を家電の分野でもしっかりと体現し、消費者のライフスタイルを豊かにするという理念を実現しているのである。

家電への信頼度を高めるために安心安全を全方位から実現している
家電への信頼度を高めるために安心安全を全方位から実現している

家具と家電の融合──SNS・コミュニティ活用で共創する未来

 さらにニトリは家電を単体ではなく、家具やインテリアと融合させたトータル提案を行っている点でも特徴的だ。

 家具と家電で色や素材を統一し、生活全体をコーディネートできるという提案は、既存の家電メーカーにはない強みとなっている。

 開発スピードも驚異的で、中国サプライヤーと密接に協力することで、半年単位での商品化を可能にしている。

 SNS活用やコミュニティ形成にもニトリは積極的だ。SNSのフォロワーは395万人を超え、公式コミュニティサイト「ニトリチャンネル」を通じてユーザーと共に製品を改善する仕組みづくりを進めている。

 ユーザーとの双方向コミュニケーションが強化されることで、消費者のニーズをいち早くキャッチアップし、製品開発に反映していくための環境が着実に整いつつある。

家電製品の騒音レベルの測定および周波数の解析などができる無響室などの試験設備も備える
家電製品の騒音レベルの測定および周波数の解析などができる無響室などの試験設備も備える

 筆者は現地取材を通して、ニトリの家電が日本の家電市場に新たな風を吹き込む可能性を強く感じている。

 価格と品質、そして使い勝手というバランスの良い家電は、国内市場だけでなく、アジアを中心としたグローバル市場にも受け入れられる可能性を十分に秘めている。

 停滞感が漂う日本家電業界において、ニトリの挑戦は革命的な意味を持ち、今後も注目されるべき動きだろう。

Gallery 【画像】ニトリ家電が業界を席巻する理由を画像で見る(37枚)
「カチッ」と日常をオフに。至福の時を刻む、マインドフルネス
滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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