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半世紀以上前のクルマなのに当時最高時速280キロ! 快適性も兼ね備えた“美しすぎるグランツーリスモ”を発見 マセラティ「ギブリSS」ってどんなクルマ?

「100%オリジナルの保存状態」が証明されている

 2025年10月にベルギーで開催されるブロードアローオークションにて、1969年式マセラティ「ギブリ4.9SSクーペ」が出品されます。

 どんなクルマなのでしょうか。

ブロードアローオークションに出品される1969年式マセラティ「ギブリ4.9SSクーペ」
ブロードアローオークションに出品される1969年式マセラティ「ギブリ4.9SSクーペ」

 1960年代のイタリアでは、自動車のデザインと技術が芸術の域に達していました。その中でギブリSSは、スピードと美、そして上質さを兼ね備えた究極のグラントゥーリズモとして誕生しました。

 ジョルジェット・ジウジアーロによる流麗なデザインと、マセラティの誇る4.9リッターV8エンジンが融合したその姿は、今なおクラシックカー愛好家の心を魅了し続けています。

 1969年に登場したギブリSSは、当時すでに高い評価を受けていた初代ギブリをさらに進化させたモデルでした。

 335馬力を発揮する4.9リッターV8エンジンによって最高速度は280km/hに達し、当時としては世界最速クラスのロードカーでした。

 しかしその速さ以上に評価されたのは、長距離走行でも疲れを感じさせない快適性と、細部にまで行き届いた上品な仕上げでした。マセラティが目指したのは、単なるスポーツカーではなく、優雅さと性能を併せ持つ最高級のグラントゥーリズモだったのです。

 紹介するこの1969年製ギブリSS(シャシーナンバー1048)は、ブルー・セラ・メタリッツァートという深みのある青のボディに、白いコノリーレザー内装を組み合わせた美しい個体です。

 出荷時の仕様は、4.9リッターV8エンジンにZF製5速マニュアルトランスミッション、三耳ロックナット付きホイール、フラットタイプのトランスミッショントンネル、そしてウッド製シフトノブなど、すべてが特別注文によるものです。

 このクルマは、イタリア・ジェノバの医師に新車として納められました。彼はすでに6台のマセラティを所有しており、この車は7台目の特注車だったそうです。

 その後、わずか2人のオーナーを経て、現在の所有者のもとに渡りました。現オーナーはオリジナルの状態を徹底的に重視するクラシックカー愛好家であり、このギブリSSはその厳選されたコレクションの中でも特別な存在として大切に保管されています。

 購入前には、マセラティの歴史を継承する専門家アドルフォ・オルシ・ジュニア博士が鑑定しました。彼はかつてマセラティを所有していたオルシ家の孫であり、ブランドの真正を知る人物です。

 2016年7月に実施された検査では、このシャシーナンバー1048が「100%オリジナルの保存状態」であることが確認されました。塗装や内装、カーペット、ステッカー、そして納車時のオプションまで、すべてが当時のまま残されており、その保存状態は奇跡的ともいえるものです。

 さらに、このギブリは1987年にマセラティ・レジスターに正式登録され、1993年にはイタリア自動車クラブ(ASI)からゴールドプレート認定を受けています。

 これはオリジナル性と保存状態が極めて高い車にのみ与えられる名誉であり、この車の価値と信頼性を裏付ける証となっています。

 その完璧なコンディションが評価され、近年ではブリュッセルのオートワールド博物館で開催されたマセラティ110周年記念展にも展示されました。ブランドの栄光の歴史を象徴する一台として、多くの来場者の注目を集めたそうです。

 カタログ記載時の走行距離はわずか1万7621kmで、納車時のオーナーズマニュアル、保証書、販売店オート・マーレのドキュメントポーチなど、すべての資料が揃っています。

 オリジナルの登録証や整備記録、オルシ博士の詳細なレポート、ASI認定証、近年のサービス記録なども保管されており、コレクターズカーとしての信頼性は極めて高いです。内装のコノリーレザーは現在も保護用ビニールで覆われ、次のオーナーのもとへ引き継がれるその日まで完璧な状態を保っています。

 オークショニアであるブロードアローの専門家が実際にこのクルマを試乗したところ、半世紀以上を経たとは思えないほど力強く、滑らかな走りを見せたといいます。

 エンジンの反応は鋭く、ギアボックスやステアリング、サスペンションも理想的なバランスで調整されており、まさに熟成された名車だけが持つ独特の一体感を感じられるとのことです。長年にわたる丁寧なメンテナンスが、その走りの完成度を支えています。

 このギブリSSは、マセラティが築き上げた1960年代の黄金期を象徴する存在です。ここまでオリジナルを保ったギブリは極めて稀であり、マセラティの歴史を語る上で欠かせない一台といえるでしょう。

 落札予想価格は20万ユーロから30万ユーロ(1ユーロ176円換算で日本円で約3540万円から5300万円)とされています。

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