マツダの最上級SUVが“はたらくクルマ”に!「CX-80」の道路パトロールカーなぜ誕生した? ルーフに大型標識装置を搭載する黄色い架装車の実力とは
高度化する架装ベース車に対応した緻密でていねいな開発
このように、ていねいなつくり込みが施されている「CX-80」道路パトロールカーですが、マツダE&Tの本領が発揮されるのは、仕上げのよさだけにとどまりません。同社は日頃からマツダの新型車両の開発に携わっていますが、その強みを活かし、安全・安心の品質を担保するための策を講じています。

そのひとつが、走行性能へのこだわり。道路パトロールカーのルーフ上に搭載される大型標識装置は非常に重いため、走行中に問題が生じないか、同等の重量物をルーフに搭載した状態でテストを繰り返し、走りなどに影響が生じないことを確認しているといいます。
また、最新モデルは安全運転支援機能に加え、オンラインを含めたソフトアップデートへの対応が進んでおり、各モデルに高性能なコンピュータや通信機器が搭載されています。そんなベース車両に道路パトロールカーに必要な電子機器など後づけすると、想定外の不具合が生じる恐れが高くなるといいます。つまり、従来のように、架装業者が必要な装備を取りつけて完了……という状況ではなくなっているのです。
その点、架装するベース車の細部まで知り尽くしたマツダE&Tは、車両の開発情報を基に後づけ機器の配線や設置などを自社で設計。さらに、稼働時に問題が起きないことまで検証しているため、OTA(Over The Air)を含め昨今のサイバーセキュリティ対策が強化された車両においても誤作動なく架装でき、安心して業務で使ってもらえる強みがあるといいます。
●隊員からは運転しやすく長距離運転しても疲れにくいと好評
こうした仕事ぶりや細かい配慮が評価されたのか、マツダE&Tが手がける“はたらくクルマ”は全国で導入例が増えているといいます。
2020年に「CX-5」と「CX-8」の緊急車両向け架装を開始したマツダE&Tですが、これまで高速道路を管理するネクスコや日本赤十字社、各都道府県などにすでに約500台を納車。「CX-60」や「CX-80」もすでに約50台が納車済みで、「CX-80」の道路パトロールカーも今後、各地に納入される予定だそうです。
一方、すでに「CX-80」道路パトロールカーを導入したネクスコ・パトロール関東の担当者によると、道路パトロールカーの大半が大型SUVなのは、積載性や作業性に優れるのはもちろんのこと、隊員の安全面を考慮した結果だといいます。
残念ながら事故に巻き込まれるケースもあり、なかには殉職する隊員いるのだとか。そのため以前は、SUVの中でも堅牢な造りの安全性、そして過酷な連日のパトロールに耐える耐久性を備えた特定の車両が好まれていたようです。
ただ近年、こうした車両は個人ユーザーの間でも人気が高く、納期が長期化して代替がスムーズに進まないという課題に直面。そのため、他の候補車を探していたところ、すべての条件に合致する「CX-80」に白羽の矢が立ったといいます。
「CX-80」道路パトロールカーに乗務する隊員からは、「運転がしやすい」や「長距離運転しても疲れにくい」、「燃費がものすごくいい」など好評なのだとか。まずは稼働中の1号車で耐久性などをチェックし、今後の導入拡大を検討していきたいとしています。
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私たちが安心して高速道路を走行できるのは、こうした道路パトロールカーのおかげともいえます。今回、一般に初公開された「CX-80」の道路パトロールカーですが、今後、全国の高速道路で見かける機会が増えそうです。
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