VAGUE(ヴァーグ)

ヨーロッパを一周して考案した伝統のレシピが味わえる! 昭和3年・大阪にて創業したレストランの「絶対食べたい3品」とは【何度でも行きたい町洋食#13】

多くの著名人に愛された昭和の西洋料理

 1928(昭和3年)、大阪に誕生した「レストラン アラスカ」。大阪モダンのシンボルと言われ、京阪エリアの西洋料理店において草分け的存在となるレストランです。

「すべての料理は一言で言うなら『アラスカ風』。初代である飯田料理長が、お客様のリクエストに応じて作りあげていったのが始まりです。

 お客様がメニュー表を開かれて、「これを」とおっしゃったときに、「できません」と答えないために、あらゆる場所から材料を取り集め、味のためならどんな無理でもする。それがアラスカの原点となっています」と話すのはゼネラルマネージャーの佐藤さん。

 長い歴史の中でお客様とともに作り上げたアラスカの味。それは京阪神の文化人や財界人に愛され続けた味でもあります。

 「東京には戦後になってからですね。1940年代、昭和20年代に来ております」

クラシカルな雰囲気の店内。日中は大きな窓から明るい日差しが
クラシカルな雰囲気の店内。日中は大きな窓から明るい日差しが

 かつては有楽町にあった朝日新聞東京本社ビルの中に店舗があったことから、10年ほど前、朝日新聞社が本社移転した際に、一緒に築地にきたとのこと。

 朝日新聞社発行の新聞や雑誌で執筆している作家や著名人の人たちも、新聞社を訪れた際、こちらで食事をしていくことがあるそうです。

 レストランの看板メニューと言える代表的な料理は、初代の料理長が考案したものからレシピがほぼ変わっていないため、懐かしい味にいつでも会えるのも魅力の一つ。そんな「レストラン アラスカ」で味わいたい、おすすめの料理を3品紹介します。

「現在は使っていないバーカウンターや、ライブキッチンなど、新たな提案で、これからもお客様に喜んでいただける料理やサービスを提供していきたいですね」(料理長の宮本衆和さん)
「現在は使っていないバーカウンターや、ライブキッチンなど、新たな提案で、これからもお客様に喜んでいただける料理やサービスを提供していきたいですね」(料理長の宮本衆和さん)

創業当初からの味「オニオングラタンスープ」

「初代の総料理長が、ヨーロッパを一周して洋食を学んだのち、日本に帰ってきてから考案したレシピそのまま、レストラン アラスカを創業した頃から出しているスープですね」

 一般的なオニオングラタンスープはタマネギを飴色になるまで炒めるのですが、ここではタマネギを揚げてから作ります。

「タマネギを揚げることによって常温でも保存がしやすくなり、お客様により早く、美味しく提供することができます。冷蔵技術がまだ発達していなかった時代の知恵ですね」

 昭和の初めは、まだ電気冷蔵庫はなく、木製の氷で冷やす冷蔵庫も戦後から。なるほど納得です。

オニオングラタンスープ。(値段を教えてください)初代の総料理長が欧州で学んだ後、日本流のレシピを考案した
オニオングラタンスープ。(値段を教えてください)初代の総料理長が欧州で学んだ後、日本流のレシピを考案した

 実際に味わってみると、タマネギの甘さとビーフコンソメの旨味のバランスが良く、これを100年近く前にレシピをヨーロッパから持ち帰って作ったと思うとすごいことだなぁ、としみじみ。ゆったりと、そして優雅に味わいたくなる美味しさです。

 「初代の料理長はいかにヨーロッパの味を日本で再現するのかに、かなり工夫した人なんですよ。例えば、スパゲティバジリコというメニューがあるんですが、当時日本にはバジルはない。それなら日本では大葉で代用しようと。

 なので40年前までは、アラスカのスパゲティバジリコは大葉で作っていたんです。フォアグラも日本にはないので、鶏肉を工夫して加工するなど、日本にあるもので色々創作していったんですよ」

 大葉のスパゲティバジリコ、確かに美味しそうです。復活してほしい! 

金色に輝くスープ。揚げてあるタマネギはトロトロに
金色に輝くスープ。揚げてあるタマネギはトロトロに

レストラン アラスカといえばこれ!「アラスカ特製ビーフカレー」

「昔からのレシピをきっちりと守っている、90年近く変わらないカレーですね。継続させる、次の世代に引き継いでいくことを心がけて作っています」

 とシェフが語るカレー。このカレーにも90年前、スパイスがふんだんに入手できなかった時代からの試行錯誤、工夫が込められた一品です。

 いざ食べてみると、濃厚な旨さとしっかりとしたとろみ。ごはんが進む味わいです。小麦粉はさほど使っていないとシェフは話すけれど、まろやかかつ濃厚。スパイスや牛肉の旨みなどが口の中に一気に広がってきます。

 チキンカレーやシーフードカレーなど、カレーのメニューはいくつかあるけれど、中で一番人気なのがビーフカレーというのに思わず納得。旨みとスパイスのバランスがとれたカレールーを堪能できる一品です。

 ちなみに築地店では、カレーライスが食べ放題のランチブッフェ(90分・1980円)を平日に開催しています。アラスカのカレーを楽しむなら、ランチタイムを狙うのもおすすめです。

ゴハンの中央には色鮮やかな野菜が。この日はパプリカやヤングコーンなど
ゴハンの中央には色鮮やかな野菜が。この日はパプリカやヤングコーンなど

伝統だけではない新たな味を。ソースにシェフの技と思いを感じる「牛フィレ肉のステーキ」

 味はもちろんですが、盛り付けもアートのように美しいステーキ。赤身に近いフィレ肉に、ほんのり甘酸っぱい、そして香りのいいポルチーニソース。うっとりするような味わいです。

「ソースは、ポルチーニの他に、赤ワインやエシャロット、ブラックペッパーなどで作ったものです。当店は、イタリアンやフレンチなど様々な料理の掛け合わせの妙を楽しんでもらうのも醍醐味です。

 そもそも、白ワインが手に入らない時代は日本酒を使うなど、大元は変えずにテイストを変えていくのがうちの流儀。なのでステーキでも、ソースによって色々変えています。それこそ、柚子胡椒を使ったソースでお出しすることもあるんですよ」。

 ポルチーニソースが肉の旨みに華やかな味わいをもたらし、食べていて思わず笑みがこぼれてしまう美味しさ。

 付け合わせの野菜も絶妙な火加減で、これまたポルチーニソースやステーキと合います。まさに、記念日や自分にとってスペシャルな日に味わいたくなるステーキです。

牛フィレ肉のステーキ/ポルチーニソース」はおすすめフルコース8250円のメインディッシュ
牛フィレ肉のステーキ/ポルチーニソース」はおすすめフルコース8250円のメインディッシュ

「寒くなってくるこれからの季節は、鴨などのジビエ料理がおすすめです。定番の赤ワインソースやオレンジソースだけではなく、他にない観点で、オリジナルの味を提供することにより、お客様に喜んでいただきたいと考えております」と話す料理長の宮本さん。

 伝統の料理は守りつつ、自分にしか作れない味も新たな観点から作り出していく。伝統や文化、技など老舗ならではの良さが料理に活かされている「レストラン アラスカ 築地店」。

 次回は、早起きして築地場外市場で買い物を楽しんだあと、ランチブッフェを楽しむか、銀座や東銀座で映画や舞台を楽しんだのち、ゆったりとディナーを味わうか。近いうちに、また食べにきたいと思います!

レストラン アラスカ 築地店
住:東京都中央区築地5丁目3−2 朝日新聞ビル2階
TEL:03-3545-6201
営:11:30〜14:30(LO14:00)、17:00〜21:00(LO20:00)
休:土日祝
※サービス料別途10%

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