「BMW M社の原点」となったレーシングプロトタイプとは? クラシックカー販売店に並んでいたBMW「3.0 CSL Werks」の歴史的価値が気になる
BMW M社の物語はこの1台から始まった
2025年11月、イギリスのクラシックカー販売店であるディラン・マイルズ(Dylan Miles)の在庫一覧に、思わず目を疑う1台が並んでいました。現在はすでに売約済みとなっているそのクルマこそ、1972年式のBMW「3.0 CSL Werks」です。
この「3.0 CSL Werks」のシャシーナンバーは「E9/R1」。1972年にBMW Motorsport GmbH(後のBMW M社)が設立された際、最初に製造された“ファクトリー製レーシングカー”であり、「BMW M社の最初の1台」という歴史的価値を持つモデルです。
当時、BMWの販売・マーケティングディレクターとして着任したボブ・ルッツは、「BMWのブランドイメージ向上のためには、ワークスによる本格的なモータースポーツ活動が不可欠だ」と考えました。そして経営陣を説得し、ファクトリーレーシングチームの設立を強く推し進めます。
新たに設立されたBMW Motorsport GmbHを率いたのは、元ポルシェのワークスドライバーであるヨッヘン・ニアパッシュ。その右腕としてフォードのレーシング部門からヘッドハンティングされたのが、腕利きエンジニアのマルティン・ブラウンガルトでした。ふたりは、BMWファクトリーレーシングカーの開発・製造からレース参戦までを一手に担っていくことになります。
Werks仕様の「CSL」は、最終的に21台が製造され、そのうち11台がファクトリーチームによって実戦投入されたといわれています。その記念すべき第1号車が、この「E9/R1」。1972年から1973年の冬にかけて、主にテストおよび開発車両として使われました。

「E9/R1」が果たした最も重要な役割は、後に伝説となる“バットモービル”仕様こと「3.0 CSL」のエアロパーツ開発です。
大型フロントエアダムスカート、背の高いリアウイング、フロントフェンダー上を走る整流板、ルーフ後端のスポイラー……。これら一連の空力パーツをまとった「3.0 CSL」は、まるで映画『バットマン』に登場する“バットモービル”のような迫力ある姿となり、そのニックネームで呼ばれるようになりました。
page
- 1
- 2
VAGUEからのオススメ
ブローバが腕時計の常識を曲げてから10年…「CURV(カーブ)」10周年モデルが証明した小径化による究極のフィット感とクリエイション【PR】