カーマニアを魅了するBMW E36型「M3」のプリミティブな魅力とは? 往年の“珠玉のスポーツカー”は今も手に入れられるのか【今こそ乗っておきたい名車たち】
人気の前期型よりも状態がいい後期型の方が魅力的
今から8年前、新たな愛車をオーダーするタイミングがもう少しだけ遅かったならば、私(伊達軍曹)はBMWのE36型「M3」に乗っていたことでしょう。
人生における“タイミング”や“縁”というものは、本当に不思議なものです。もしも、ちょっとしたことで歯車が少しでもズレていたならば、たぶん私はこの仕事をしていないでしょうし、今の妻とも出会っていなかったでしょう。
もっというと、タイミング次第では、私やあなたという人間は生まれていなかった可能性もあります。また、生まれていたとしても、全く別の性質を備えた人間として誕生していたでしょう。
クルマや中古車の購入に際しても同じことがいえます。
私は近年、3台のスバル車を新車で乗り継いだことから、すっかり“スバリスト”になってしまいました。おそらく次のクルマも(多分ですが)、スバルの何かを買うのではないかと思っています。つい先日も、「スバリストである伊達さんに新しいスバル車の試乗をしていただきたい」なんて仕事の依頼があったばかりです。10年前の私からすれば、信じられないほどの“スバリストっぷり”です。
けれど、もしも今から8年前、自分にとって初のスバル車となったクールグレーカーキの「XV」を注文するタイミングが1か月、いや1週間遅かったならば、今の私はスバリストではなく、相変わらず“輸入中古車評論家”を自称しながらE36型「M3」に乗っていたはずです。
そう、新車をスバルディーラーに注文した1週間後、私は素晴らしいE36型「M3」の後期型、通称「M3C」に出合ったのです。出合ってしまったのです。

「M3C」の詳細について、いまさらクダクダと説明する必要はないでしょう。各種のツーリングカーレースを席巻したE30型の初代「M3」の後を受け、1993年に登場したのがE36型ベースの「M3」。3リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載する前期型が通称「M3B」で、1996年のマイナーチェンジで3.2リッターへと排気量が拡大された後期型が「M3C」です。
E36型「3シリーズ」がまだ現役バリバリだった頃は、「高出力だけどフラットトルクな3.2リッターの『M3C』より、高回転型である3リッターの『M3B』の方が好ましい!」なんて話が、そこかしこで展開されていました。
それは確かにそのとおりなのですが、発売から約30年が経過した今となってはどうでもいい話。「状態の悪い『M3B』より、状態のいい『M3C』のエンジンの方が何倍も鋭く吹け上がる」というのが真実でしょう。
ちなみに、「M3C」の3.2リッター直6DOHCエンジン“S50型”は、最高出力321psを発生。いわゆるリッター100馬力を達成しているユニットです。
●絶滅する前に、まだ手が届くうちに“夢見るクルマ”を!
私が人生初の新車としてスバル「XV」の契約を結んだちょうど1週間後、中古車企画の取材で赴いた某店にあったのが、「極上!」と称して間違いないブラックの「M3C」だったのです。
その日はE36型「M3」の取材ではなく、たしかメルセデス・ベンツのW124型「500E」を取材するためにその店を訪れたと記憶していますが、私の目は「500E」ではなく、ブラックの「M3C」に釘づけになってしまいました。そして「500E」の取材と撮影が終わるやいなや、お店の方に「ところでこの『M3』は……?」という感じで、スペックや価格などを尋ねていました。
今となっては正確なスペックは覚えていませんが、確か1998年式か1999年式のモデルで、走行距離は2万km台か3万km台。そして価格は……これまた正確な額は覚えていないのですが、「オレの『XV』とそんなに変わらないやんけ!」と強烈に思ったことをよく覚えています。
私が注文した「XV」の乗り出し価格が300万円くらいでしたので、その極上の「M3C」は総額350万円とか400万円とか、そのくらいだったように思います。
今となっては本当に、あのとき「M3C」を買っておけばよかったと思います。より正確にいうのであれば、スバル車の注文日が、あと7日か8日後だったらよかったのに、と心底思います。
スバル「XV」が嫌だったわけではありません。むしろかなり気に入りましたし、気に入った勢いで、その後もスバル車に乗り替えました。そして冒頭付近で述べたとおり、たぶん次もスバル車を選ぶだろうと思っています。
けれど、そういう問題ではないのです。
スバルの新車は、ある意味いつでも買えます。時を選ばないのです。けれど、可憐なサイズ感と、現代のクルマが失ってしまった“エンジン感”と、プリミティブな魅力を備えた「M3C」のような珠玉の中古スポーツカーは、いつ何時でも手に入れられるものではありません。放っておけば絶滅するか、あるいは手がつけられないほど相場が高騰し、手が届かぬ存在になってしまうサムシングなのです。
だから私は「あのとき買っておくべきだった……」と今でも激しく後悔しているのです。
とはいえ、E36型「M3」はまだ絶滅はしていませんし、相場は高騰したものの「手が届かないほどレベル」には達していません。
具体的には、総額500万円~700万円ほどの予算を用意できれば、あのときほどの極上モノではないとしても、それなりの物件を入手できることでしょう。
私が夢見る「E36型『M3』が手元にある人生」は終わっていないですし、まだ始まってもいないのです。
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