57年前の「美しすぎるグランツーリスモ」がオークションで落札 2オーナーで大切に乗り継がれたマセラティ「ギブリ」とは
未レストアのまま高いオリジナリティを誇る1台
2026年1月にオンラインた開催されるブロードアローオークション主催の「ヨーロッパオンライン」オークションにて、1969年式マセラティ「ギブリ4.7クーペ」が出品され、落札されました。
どんなクルマなのでしょうか。
マセラティ・ギブリは、1966年のトリノ・モーターショーでデビューしました。
このクルマのデザインを担当したのは、当時ギアに在籍していたジョルジェット・ジウジアーロで、鋭いエッジを持ちながらも洗練されたそのスタイリングは、発表と同時に大きな反響を呼びました。
搭載されるエンジンは4.7リッターのV型8気筒で、5速マニュアルまたは3速オートマチックと組み合わされ、最高出力は330馬力に達します。その造形美と性能は、のちに続くイタリア製スーパーカーの方向性を先取りしていたと言えるでしょう。
今回紹介する個体の初代オーナーは、パドヴァ大学で教壇に立ち、後に学部長も務めた工学者、ブルーノ・ダッラリオ氏です。彼はマセラティを代表する名エンジニア、ジュリオ・アルフィエーリ氏と親交があり、V8エンジン開発の中心人物であったアルフィエーリ氏が、最新モデルだったギブリを勧めた可能性は高いと考えられます。
ダッラリオ氏はモデナのマセラティ本社に直接オーダーを入れ、生産終盤にあたる4.7リッター仕様を新車で購入しました。アルフィエーリ氏の助言によって選ばれた仕様は、ベージュ・メタリッツァートのボディにベージュのレザー内装、そしてマニュアルトランスミッションという、1970年代らしい上品な組み合わせです。この構成は現在まで忠実に維持されています。

几帳面な性格だったダッラリオ氏は、整備を常にモデナ工場のマセラティ・アフターサービスに依頼していました。その後、企業再編によって同部門が閉鎖されると、当時このクルマを担当していたフランコ・トラッリ氏が独立した工房を紹介され、以降も一貫して同氏によるメンテナンスが続けられました。
ダッラリオ氏の死去から数年後、家族は信頼できる次のオーナーに引き継ぐことを望み、トラッリ氏の仲介によって2010年に現在のオーナーのもとへ渡ります。家族との丁寧な話し合いを経て受け継がれたこのギブリは、その後ベルギーまで自走で運ばれ、さらにローマや英国への長距離走行も問題なくこなしてきました。
走行距離は10万kmを超えており、2018年には再びトラッリ氏の工房で約1万2000ユーロを投じた大規模な整備が実施されています。シャシナンバー1184の本車はマッチングナンバーを保持し、レストアを受けていない状態ながら高いオリジナリティを誇ります。メーター表示は1万3877kmですが、実際の走行距離はそれを大きく上回ります。
この保存状態の良さは、前オーナーの娘による証言に加え、原形保持率90%以上の車両に与えられるFSPのAA評価によっても裏付けられています。関連書類や当時のカタログ、イタリア登録証の写しも揃った状態で保管されています。
この1969年式マセラティ「ギブリ4.7クーペ」、最終的に11万2750ユーロ(1ユーロ=185.4円換算で、日本円で約2090万円)で落札されました。
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