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640馬力の武闘派と優美なオープン…マセラティ「GT2ストラダーレ」と「MCプーラ チェロ」がサーキットで見せた異なる個性とは

レースマシン直系640馬力の“武闘派”「GT2ストラダーレ」

 2020年9月にマセラティが「MC20」を登場させたときの衝撃は、それはそれは大きなものでした。

 モデナ、ニューヨーク、そして東京で同時に発表されたミッドシップスポーツカーは、ダラーラ社と共同開発されたプリプレグ成形のカーボンモノコックボディ、F1テクノロジーを他のどこよりも早く採り入れたプレチャンバー(副燃焼室)技術を特徴とする“ネットゥーノ”エンジンなどの最先端、そして、独創のハードウェアによって構成。

 そんな武闘派のハードウェアとは裏腹のエレガントなデザインとの組み合わせは、まさしくトライデントを戴くブランド独自の世界を強くアピールしていたのです。

 そんな「MC20」をベースに生み出されたレース直系のモデルであるマセラティ「GT2ストラダーレ」と、やはり「MC20」から進化した「MCプーラ」のコンバーチブル版である「MCプーラ チェロ」の2台を、袖ヶ浦フォレストレースウェイで試す機会が訪れました。さて、その走りの世界は一体どんなものなのでしょうか。

 まずお手合わせ願ったのは「GT2ストラダーレ」。ヨーロッパを中心に開催されている、主にジェントルマンドライバー対象のGT2カテゴリーのレースのために生み出された「マセラティGT2」のストリート仕様というのが、その名の由来です。ロードカーのレース仕様のストリート版……ちょっとトリッキーな車名ですけどね。

 まさにレーシングカーそのままの出で立ちはもちろんハッタリではなく、エアロダイナミクスを徹底的に追求した結果です。

マセラティ「GT2ストラダーレ」
マセラティ「GT2ストラダーレ」

 フロントには大型のスポイラーが追加され、ボディサイドにはより多くのエアをエンジンルームに送り込む大型インレットを採用。リアに回ると3段調整式のリアウイング、そしてフラットなアンダーボディから流れてきた空気を一気に吐き出すディフューザーが主張しています。これらが生み出すダウンフォースは、280km/h走行時になんと最大500kgにも達します。

 軽量化にも配慮されていて、車重は「MCプーラ」に対して59kg減……という数字だけではインパクトは薄いかもしれませんが、そのうち18kgは4本のホイール、17kgはカーボンブレーキによるものだと聞けば、納得という方も多いでしょう。そう、軽くなっているのはほぼ“バネ下”。最も運動性能に直結する部分というわけです。

 ひととおり見回したら、シザーズドアを跳ね上げて室内へ。ほぼ全面がアルカンタラで覆われた仕立ては、マセラティに期待する上質感とスポーティ性を見事に両立させています。

 大きく異なるのは、青い表皮が貼られたサベルト製のカーボンセミバケットシート。こちらも左右合わせて17kgの軽量化につながっています。

 そんなシートに体を潜り込ませ、スタートスイッチをプッシュすると、背後から“ネットゥーノ”の特徴的なサウンドが響いてきました。プレチャンバーつきの3リッターV型6気筒ツインターボユニットには基本的に変更はなく、最高出力640ps、最大トルク720Nmはベース車に対して10ps増、10Nm減となっています。トランスミッションは8速DCT(デュアルクラッチ式トランスミッション)。0-100km/h加速タイムは2.8秒で、最高速は324km/hと謳われています。

 ピットロードを走り出した時点で、まず感心させられたのが、その打てば響くレスポンスです。アクセルペダルを踏み込む……というより、右足に力を込めた瞬間からトルクが弾ける。そんな感覚に思わず笑みがこぼれてしまいます。

 ただし、それは過敏で扱いづらいのとは違います。いうなれば、まるでタイムラグなしの驚異的なリニアさ。これこそ“ネットゥーノ”の真骨頂です。

 そのまま踏み込んでいくと、回転数が高まるとともにややラフだったビートがそろってきますが、「シューン」と軽やかというよりフィーリングはもっと骨太。これは回さないではいられないヤツで、怒涛のパワーとトルクを発生しながら8000rpmまですさまじい勢いで吹け上がって、とんでもない速度まで導くのです。

“ネットゥーノ”がさらにうれしくさせるのが、アクセルオフの際にも同様に鋭いレスポンスを披露すること。右足をゆるめればサッと回転が落ちるので、コーナー進入の際などにも無類の一体感を味わわせてくれるのです。

マセラティ「GT2ストラダーレ」
マセラティ「GT2ストラダーレ」

 そんなエンジンを思い切り満喫できるのは、これまたきわめてハイレベルなシャシー性能のおかげ。カーボンモノコックは軽やかなのに剛性感に満ち、サスペンションは位置決めからして正確で、コントロール性はほれぼれするほどです。

 実際、「GT」、「SPORT」、「CORSA」がそろうドライブモードを「CORSA」に設定し、スタビリティコントロールの介入度合いを抑えて走らせてみると、むしろその方が意のままになる感覚が強まり、リアをすべらせて楽しむことすらできました。今どきの空力マシンなので、できるだけ車体をフラットに保ってダウンフォースをキープしつつ攻めすぎないように攻める(?)のが、乗り方のコツでしょうか。

 もちろん、そんな走りには強大なダウンフォースも貢献しています。実は試乗車のリアウイングは一番寝かされた状態でしたから、角度を起こせばさらに扱いやすくなるはず。オーナーとなった方はぜひいろいろ試して、自分好みのセッティングを探ってみることをオススメします。

 圧倒的な速さを持つだけでなく、それを自らの手で引き出して楽しむ歓びに存分に浸らせてくれるマシン……これが短い逢瀬で得たマセラティ「GT2ストラダーレ」の印象です。走りに本気のジェントルマンドライバーにとって、魅力的な選択肢となる1台であることは間違いありません。

Nextオープンにしてもボディ剛性が変化しない「MCプーラ チェロ」
Gallery 【画像】超カッコいい! マセラティのスーパースポーツ「GT2ストラダーレ」と「MCプーラ チェロ」を写真で見る(30枚以上)

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