「えっ、レーサーなのに公道走行OK!?」 トライアンフ初のエンデューロバイク「TF250-E」に乗って驚いた! 競技マシンとは思えない“扱いやすさ”の秘密とは
120年超の歴史を持つ名門が放つ初のエンデューロバイク
1902年に1号機をリリースし、歴史ある英国のバイクブランドとして確固たる地位を築いているトライアンフ。近年はオフロードバイクの開発に注力しており、モトクロスやエンデューロといった競技向けのハイスペックモデルも多数展開しています。
今回試乗できた「TF250-E」は、2025年に待望の日本導入がスタートしたエンデューロバイク。エンデューロ競技はコースによって公道を走る区間もあるため、保安部品を装着すればナンバーを取得できるモデルとなっています。
現在、トライアンフはモトクロスモデルの「TF250-X」をリリースしていますが、大きなジャンプが続くモトクロスに対し、エンデューロはテクニカルな低速セクションが多い競技。荒れた林道のようなシチュエーションが多いこともあって、近年、競技参加者が増えているカテゴリーです。
「TF250-E」は、モトクロッサーと同じくアルミ製のフレームを採用。欧州ブランドのエンデューロ車の多くがしなやかなスチール製フレームを採用するケースが多い中にあって、剛性の高いアルミフレームとしています。
水冷式の4ストローク単気筒エンジンは、最高出力42.3ps、最大トルク27.8Nmを発生。競技用車両のため、一般の公道向け市販車に比べるとメンテナンスのサイクルは早くなりますが、250ccでこの出力は魅力的に感じるライダーも多いでしょう。

俊敏なレスポンスでアグレッシブな走行向けの「スタンダード」と、テクニカルな地形向けになめらかで制御しやすい出力特性となる「マイルド」という2種類の走行モードを選ぶことが可能で、トラクションコントロール機構も装備するなど電子制御デバイスも充実。左手側のボタンで簡単にオン/オフできるのもありがたいところです。
ルックスは、競技用モデルらしくアグレッシブ。シートからシュラウドにつながる矢印のようなシルエットが“速さ”を予感させます。
高さを抑えたポリタンクや、前後移動しやすいフラットなシートがオフロードバイクらしいポイント。955mmとかなり高いシート高は、公道走行ではネックになりそうなポイントです。
公道走行も視野に入れたエンデューロモデルのため、ヘッドライトとテールランプが装備されています。今回の試乗車はナンバーを取得しておらず、ウインカーなども装着されていませんでしたが、左手側にはウインカーとホーン、ライトのスイッチなどが装備されていました。
●955mmのシート高を忘れさせる軽さと安心感
実際に乗ってみるまで、シートの高さにちょっと身構えていましたが、いざ、またがってみるとストロークの長いサスペンションが沈み込み、スリムで軽量な車体もあってそれほど足つき性は悪く感じません。走り出してしまえば、路面をしっかりとらえてくれるサスペンションの感覚に安心感を覚えるほどです。
フラットな形状のシートは着座位置を移動させやすく、激しく動くオフロードでのライディング中でも車体の重心近くに座り続けることができます。それでいて、シート表面はすべりにくい素材になっているので、お尻をしっかりとらえてくれます。ただし、シートは固めで幅も狭いので、長時間のツーリングには向いていません。
元来、競技向けに開発された車両ですが、エンジンは低回転域からフラットなトルクを発生する特性で、非常に扱いやすい印象。もちろん、大きめにアクセルを開ければ公道向けのトレールモデルとは異次元の加速を味わえます。
トラクションコントロールの完成度も非常に高く、後輪はスリップしながらも車体を前へと進め続けてくれる印象です。スリップすると駆動力がカットされてしまうトラクションコントロールとは一線を画するフィーリングで、リアをすべらせながらアクセルを開けるのがクセになりそうなほど気持ちよく感じました。
モトクロスコースも走ってみましたが、KYB製のサスペンションがよく動きながらタイヤを路面へと押しつけ続けてくれるので、不安感は全くありません。車重が114.2kgと軽量なこともあって、左右にバンクさせる動きは軽快。いつまでも周回していたくなるほどの楽しさを味わえました。
トライアンフが本格的なエンデューロモデルをリリースするのは今回が初めてですが、ここまで扱いやすく完成度の高いマシンをリリースしてきたことに驚きました。このモデルが多くのエンデューロレースで好成績を収めていることも納得できる仕上がりです。
ナンバーを取得可能といっても競技向け車両であるため、耐久性やメンテナンスサイクルは市販のトレール車とは異なります。また、舗装路での快適性が考慮されているわけではないため、自走で遠方の林道まで向かうのは少々ストイックな選択かもしれません。
しかし、トランポなどに積んで、いざオフロードへと足を踏み入れれば、名門が本気でつくり上げたその圧倒的な走破性と非日常の楽しさに心奪われることでしょう。
●製品仕様
・価格(消費税込):115万6000円
・サイズ:全幅836×全高1264(ミラー含まず)mm
・ホイールベース:1488mm
・乾燥重量:114.2kg
・シート高:955mm
・エンジン:水冷4サイクル単気筒DOHC4バルブ
・総排気量:249.9cc
・最高出力:42.3ps
・最大トルク:27.8Nm
・燃料タンク容量:8.3リットル
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