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「冷凍」に強いだけじゃない“ポイ活冷蔵庫”爆誕! パナソニック新モデルは電気の使い方まで賢くする!?

冷蔵庫選びの主役は、いまや「冷凍室」になった

 かつて、冷蔵庫を買い替えるとき、冷蔵室の広さ、野菜室の位置、デザイン、省エネ性能あたりが大きな判断材料だった。しかし、いまの暮らしを見ていると、冷蔵庫選びの重心は少しずつ変わってきている。

 物価高でまとめ買いをする。冷凍食品を常備する。週末に作り置きをする。ふるさと納税の返礼品が冷凍で届く。冷凍うどん、餃子、肉、魚、冷凍野菜が、冷凍室の中でどんどん存在感を増している。

 もはや冷凍室は、余ったものを入れておく場所ではない。暮らしを回すための“食のストックヤード”だ。

「たっぷり入り、使いやすい冷凍はパナソニック、と覚えていただけたら嬉しいです」

 パナソニックの担当者は新製品体験セッションで、ストレートにこう語った。会場で実機や展示を見ていると、その意味はよくわかる。パナソニックが今回打ち出しているのは、単に「冷える冷凍」ではない。

 たくさん入る、奥まで見える、縦置きできる、取り出しやすい、そして霜つきを抑えておいしさを守る。つまり、冷凍を日常的に使いこなすための“冷凍総合力”がとにかく高いのだ。

奥まで見えるフルオープン冷凍室。深型ケースにより、冷凍食品や保存袋を立てて整理しやすい
奥まで見えるフルオープン冷凍室。深型ケースにより、冷凍食品や保存袋を立てて整理しやすい

「冷凍して終わり」ではなく、入れたあとをどう守るかが重要

 冷凍庫に入れれば、食品はしばらく安心。そう思いがちだが、実際には冷凍した食品も少しずつ劣化していく。発表会では、食品に霜がつく仕組みが説明された。

 庫内の温度変化によって食品から水分が抜け、その水分が再び凍って食品の表面に付着する。これが霜の正体だ。水分が抜ければ乾燥し、食感は落ちる。脂質が空気に触れれば酸化が進み、変色やにおいの原因にもなる。いわゆる冷凍焼けである。

 今回の新製品では、この霜つき抑制冷凍が進化した。従来から上段ケースにはカバーを設け、扉開閉時や保存中の温度変化を抑えていたが、新モデルではさらに冷却制御を最適化。

 庫内の温度変動を抑えることで、上段では3か月後も霜つき量を約80%抑制し、下段でも2週間後の霜つき量を約27%抑制するという。

 ここで大切なのは、「冷凍性能が高い」という言葉の中身だ。冷凍食品は、買ったその日に食べるものばかりではない。むしろ「いつか使うだろう」と思って入れておくものが多い。

 だからこそ、時間が経っても霜だらけにならず、袋の中身が見えやすく、食品同士がくっつきにくく、食べるときの気持ちが下がらないことが重要になる。

 冷凍室を開けたとき、何が入っているかわかる。取り出しやすい。使いたい量だけ使える。こうした小さな使いやすさの積み重ねが、実は毎日の満足度を大きく左右する。

90日後の冷凍状態を比較した展示。霜つき抑制冷凍がない右側のミックスベジタブルは固まった氷の塊に、うどんは真っ白で細かな氷がびっしりとついていた。抑制機能がついている左側のミックスベジタブルはパラパラで、うどんもあまり見た目が変わらなかった
90日後の冷凍状態を比較した展示。霜つき抑制冷凍がない右側のミックスベジタブルは固まった氷の塊に、うどんは真っ白で細かな氷がびっしりとついていた。抑制機能がついている左側のミックスベジタブルはパラパラで、うどんもあまり見た目が変わらなかった

容量表示だけでは見えない“実収納力”という価値

 会場で印象的だったのが、撮影不可エリアに用意されていた冷凍室の収納比較展示だ。同じ冷凍餃子のパッケージを、複数メーカーの冷凍室にどれだけ入れられるかを比較したもので、パナソニックは58個、他社モデルは49個、42個という結果が示されていた。

 ここでは見せたかったのは、「何L入るか」という定格内容積だけではわからない、実際の食品パッケージを入れたときの収納効率である。

 冷凍室は、数字上の容量が大きければ必ず使いやすいわけではない。ケースの深さ、段数、引き出しの構造、食品を縦に置けるか、奥まで見渡せるか。そうした設計の違いによって、実際に入る量も、使いやすさも変わってくる。

 パナソニックは、冷凍室を奥まで引き出せるフルオープン構造や、上段ケースの縦置き収納を強く訴求している。冷凍食品を買い込んでも、奥に眠らせない。ストックを把握しやすくする。結果として、食材を無駄にしにくくなる。

 これは、単なる大容量競争ではない。冷凍室を“詰め込む場所”から“使いこなす場所”へ変える提案だ。

大容量、フルオープン、パーシャル、クーリングアシスト、霜つき抑制冷凍を組み合わせた“冷凍総合力”で勝負する
大容量、フルオープン、パーシャル、クーリングアシスト、霜つき抑制冷凍を組み合わせた“冷凍総合力”で勝負する

“ポイ活冷蔵庫”で貯めたポイントは電気料金にも充てられる

 ここまでなら、単なる冷凍に強い冷蔵庫の話である。だが、今回のパナソニックの新モデルには、もうひとつ大きなトピックがある。中部電力ミライズと連携したデマンドレスポンス、いわゆるDR自動運転への対応だ。

 デマンドレスポンスとは、電気をつくる量と使う量のバランスに合わせて、電気の使い方を調整する仕組みのこと。電気が足りない時間には「下げDR」で使用を抑え、電気が余りそうな時間には「上げDR」で、必要な運転をその時間にずらして使う。

 冷蔵庫の場合、「下げDR」では、事前に庫内を冷やしておき、DR時間帯にはコンプレッサーの運転を止める。「上げDR」では、もともと必要な霜取り運転のタイミングを、電気が余りやすい時間に移す。

 つまり、電気を余計に使うというより、使うタイミングを賢くずらすという考え方だ。

 

デマンドレスポンス(DR)の基本概念。電気をつくる量と使う量のバランスを保つため、電力が不足する時間は「下げDR」で使用量を抑え、余る時間は「上げDR」で電気を使うタイミングを調整する
デマンドレスポンス(DR)の基本概念。電気をつくる量と使う量のバランスを保つため、電力が不足する時間は「下げDR」で使用量を抑え、余る時間は「上げDR」で電気を使うタイミングを調整する

 しかも、ユーザーが毎回操作する必要はない。中部電力ミライズの「NACHARGE Link KADEN」に申し込み、パナソニックの「Kitchen Pocket」アプリから冷蔵庫と連携すれば、冷蔵庫が自動で下げDR/上げDR運転に対応する。

「環境にいいことをしましょう」と言われても、多くの人はなかなか動けない。節電のために我慢する、生活時間を変える、毎回アプリを見る。そうした負担があると、続かない。

 しかし、冷凍に強い冷蔵庫を選んだ結果、知らないうちに電力需給の調整にも参加できる。しかも、DR貢献に応じてカテエネポイントも獲得できる。

 中部電力ミライズによると、NACHARGEは貢献量に応じたポイントを獲得できるDRサービスであり、「NACHARGE Link KADEN」では冷蔵庫を自動制御することで、ユーザーが節電や使用時間変更を自分で行わなくてもポイント獲得と再エネ利用拡大への貢献が可能になる。

 言ってしまえば、“地球にやさしいポイ活冷蔵庫”である。

 そのポイントは何に使えるのか。カテエネポイントは、1P=1円として中部電力との契約者に限り電気料金の支払いに利用できるという。

 今後、他の電力会社との契約者にもサービスは広げようとしているとのことだ。100P単位で翌月以降の電気料金に充当できるほか、他の提携先ポイント (Vポイント、Pontaポイント、dポイントなど)への交換も可能とされている。

「DRモード中」と表示されたアプリ画面。冷蔵庫が電力会社からの要請に応じて、自動で運転を調整する
「DRモード中」と表示されたアプリ画面。冷蔵庫が電力会社からの要請に応じて、自動で運転を調整する

家電は「家庭内」だけで完結しなくなっている

 これまでの省エネ冷蔵庫は、家庭内の電気使用量を減らす家電だった。だが今回の新モデルは、電力会社とつながり、社会全体の電気の使い方に参加する家電になった。

 中部電力ミライズの発表によれば、家庭用冷蔵庫は家庭内の家電製品の中でも消費電力の割合が多く、年間を通じて常時稼働しているため、DRに活用することで再エネ利用拡大に寄与する可能性がある。一方で、冷蔵庫の消費電力は日常の操作で調整しにくいという課題があった。

 ここに冷蔵庫でDRをやる意味がある。エアコンなら「設定温度を上げる」「少し止める」といった行動がイメージしやすい。だが冷蔵庫は、ユーザーがコンセントを抜くわけにはいかない。

 だからこそ、冷蔵庫自身が食品に影響を与えない範囲で、自動的に運転を調整することに価値がある。

 会場では、DRの開始や終了を知らせるメロディも披露された。共同実証では、このお知らせ機能が他のDR行動につながったと回答した人もいたという。

 パナソニックのプレスリリースでも、被験者の7割が「お知らせ機能が、他のDR要請に応える行動につながった」と回答したとされている。

 家電が勝手に制御するだけではない。家族に「いま電気の使い方を考える時間なんだ」と気づかせる。ここに、IoT家電の次の役割が見えてくる。

中部電力ミライズのNACHARGEの取り組み。機器制御型DRは、行動誘因型DRより成功率が高いことも示された
中部電力ミライズのNACHARGEの取り組み。機器制御型DRは、行動誘因型DRより成功率が高いことも示された

食品保存を犠牲にしないことが、いちばん大事

 もちろん、冷蔵庫である以上、最優先されるべきは食品保存だ。発表会後の実演では、下げDR時に事前予冷を行い、DR時間帯にコンプレッサーを止める流れが説明された。

 一方で、扉の開閉が多く庫内温度が上がっている場合など、食品に悪影響が出る可能性があるときは、無理にDR制御を行わないという。

 上げDRも同じだ。霜取り運転の回数を増やすのではなく、必要な霜取りのタイミングをずらすだけ。冷蔵庫の状態によっては、上げDR要請があっても実行しない場合がある。

 環境貢献やポイント付与があっても、食品が傷んだり、保存品質が落ちたりしては本末転倒である。パナソニックの考え方は、あくまで食品を守ることを最優先し、その範囲内で電気の使い方を賢くするというものだ。

 冷蔵庫としての本質機能を崩さず、社会インフラとの接点を広げる。このバランスこそ、今回の新モデルの見どころだ。

食品に霜がつく仕組みを説明したスライド。温度変化による水分移動が、乾燥や冷凍焼けにつながる
食品に霜がつく仕組みを説明したスライド。温度変化による水分移動が、乾燥や冷凍焼けにつながる

断熱材の供給リスクまで含めて、冷蔵庫は社会を映す家電になった

 質疑応答では、筆者は中東情勢に伴うナフサ由来原料の供給不安について質問した。冷蔵庫の省エネ性能は、コンプレッサーや制御技術だけで決まるものではない。熱を逃がさない断熱材も極めて重要だ。

 冷蔵庫にはウレタンなど石油化学由来の素材が使われており、ナフサ由来原料の供給や価格変動は、今後の製品設計やコストにも影響し得る。これに対してパナソニック側は、現時点でウレタンの供給面に大きな問題は出ていないと説明。

 一方で、価格面では一定の影響を認識しており、複数社からの購買などで対応していく考えを示した。

 物価高、冷凍食品市場、住宅事情、電気料金、再生可能エネルギー、電力需給、原材料調達。現代の冷蔵庫は、暮らしと社会の変化を映す家電になっている。

 パナソニックの新モデルは、冷凍の総合力を磨きながら、そこに“地球にやさしいポイ活”という新しい価値を重ねた。

省スペース大容量を打ち出すHYタイプの設置イメージ。幅65cmの551Lモデルで、限られたキッチン空間にも収まりやすい
省スペース大容量を打ち出すHYタイプの設置イメージ。幅65cmの551Lモデルで、限られたキッチン空間にも収まりやすい

 冷凍に強いだけじゃない。電気の使い方まで、少し賢くする。この静かな進化は、生活家電が次の時代へ進むための、かなり現実的な一歩なのかもしれない。

●製品概要
Panasonic 冷凍冷蔵庫 WXタイプ NR-F60WX3
価格:オープン価格(想定実勢価格:37万円前後/税込)
発売:2026年4月下旬予定
定格内容積:601L
サイズ:W685×D745×H1828mm
質量:116kg
各室容量:冷蔵室313L/製氷室19L/クーリングアシストルーム31L/冷凍室113L/野菜室125L
年間消費電力量:259kWh/年
主な機能:霜つき抑制冷凍、奥まで見えるフルオープン、クーリングアシストルーム、全室ナノイーX、Kitchen Pocketアプリ対応、デマンドレスポンス対応

Panasonic 冷凍冷蔵庫 HYタイプ NR-F55HY3
価格:オープン価格(想定実勢価格:32万円前後/税込)
発売:2026年4月下旬予定
定格内容積:551L
サイズ:W650×D699×H1850mm
質量:105kg
各室容量:冷蔵室275L/製氷室19L/クーリングアシストルーム31L/冷凍室112L/野菜室114L
年間消費電力量:266kWh/年
主な機能:霜つき抑制冷凍、コンパクトBIG、奥まで見えるフルオープン、全室ナノイーX、Kitchen Pocketアプリ対応、デマンドレスポンス対応

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滝田勝紀
滝田勝紀
VAGUE家電統括プロデューサー
モノ雑誌の編集に15年以上携わり『デジモノステーション』編集長を歴任。現在は家電スペシャリストとして、国内外の最新テクノロジーを長年取材。All About家電ガイドやMakuakeエバンジェリスト、楽天ROOM公式インフルエンサー(フォロワー56万人超)など幅広く活動する。海外取材経験も豊富で、欧州家電メーカー本社や世界最大級の見本市「IFA」への造詣も深い。また、Z世代向けメディア運営やPR会社経営の傍ら、インテリアスタイリスト窪川勝哉氏とのユニット「𝒾𝓃𝒞𝒶𝒹𝑒𝓃𝓏𝒶」で家電開発も手掛ける。機能とデザインの両面から、心地よい暮らしのあり方を提唱している。

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