当時の“世界最速スーパーカー”なのに快適装備を全捨て!? 知っている人は熱狂する たった29台しか生産されなかったポルシェの「伝説的スポーツカー」とは
予想落札価格は500万ドルから600万ドル(日本円で約8億円から9億6100万円)
2026年8月に米国で開催されるモントレー・カー・ウィーク。毎年開催されるRMサザビーズ主催のモントレー・オークションにて、1989年式ポルシェ「959スポーツ」が出品される予定です。
どんなクルマでしょうか。
ポルシェの歴史において、1980年代後半に彗星のごとく現れた「959」ほど、当時の自動車技術の粋を集めたハイパースポーツカーはありません。
もともとは世界ラリー選手権(WRC)のグループBカテゴリーへの参戦を目的として開発されたモデルであり、そのホモロゲーション(生産公認)を満たすためにわずか292台が市販されました。
この292台のほとんどは、エアコンやレザーシート、電子制御サスペンションといった豪華な快適装備を備えた「コンフォート」と呼ばれる仕様で生産されました。
しかし、ポルシェはより純粋に速さを追い求める硬派なドライバーのために、さらなる軽量化とスポーツ性能を突き詰めた仕様もごくわずかに用意していました。それこそが、今回取り上げる「959スポーツ」です。
959スポーツの生産台数は、コンフォート仕様の圧倒的な多さに対して、わずか29台にすぎません。292台中の29台というこの希少性こそが、世界中のコレクターが血眼になって探し回る理由となっています。

コンフォート仕様とスポーツ仕様の最大の違いは、徹底的なディテールへのこだわりが生んだ重量差にあります。
スポーツ仕様では、快適ながらも重量のあった油圧式車高調整サスペンションが排除され、よりダイレクトな路面情報を伝えるコンベンショナルなコイルバネとダンパーの足回りに変更されました。
さらにエアコンシステムやパワーウィンドウ、リアシート、セントラルロッキングシステムといった快適装備をことごとく取り外したほか、車内の防音材まで削減されました。この過酷なまでの「引き算」の思想によって、車重はコンフォート仕様よりも約100kgも軽い1350kgを達成したのです。
また、軽量化に加えて安全面と剛性を強化するため、市販モデルでありながら工場出荷時点でロールケージが標準装備されていました。まさに「公道を走れるレーシングカー」そのもののパッケージングが施されていたと言えます。
リアに搭載される心臓部は、2.85リッターの水冷DOHC水平対向6気筒ツインターボエンジンです。
最高出力は450psを発揮し、シーケンシャルツインターボシステムによって全域で圧倒的な加速力を生み出します。
このハイパワーを受け止めるのが、当時としては先駆的だった高度な電子制御式4輪駆動システム「PSK(ポルシェ・シュトイエルング・クップルング)」です。
軽量化された車体と450psのパワー、そして4WDの強烈なトラクションが組み合わさることで、0-100km/h加速は3.7秒、最高速度は317km/hを記録し、当時の世界最速の称号を手にしました。
今回オークションに登場した1989年製の個体は、29台しか作られなかった959スポーツの中でも非常に優れたコンディションを維持している1台です。走行距離が極めて少ないだけでなく、これまでのオーナーの手によって定期的に専門のメンテナンスを受け、当時のオリジナル塗装や内装の質感をそのまま今に伝えています。
伝説的なグループBの血統をダイレクトに受け継ぎ、ポルシェの純粋なモータースポーツへの情熱を具現化した959スポーツ。これほどの歴史的価値と圧倒的な希少性を兼ね備えた個体が市場に出てくる機会は極めて稀であり、今回のオークションでも世界中の自動車愛好家から熱い視線が注がれています。
予想落札価格は500万ドルから600万ドル(日本円で約8億円から9億6100万円)とされています。
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