100年以上前の少年たちが憧れた「ハーレーダビッドソン」をオークションで発見 4年間だけ製造された幻の「モーターサイク」とは
若者の心をつかむための“戦略的自転車”
世界的なプレステージカー・オークションとして知られるRMサザビーズ。2026年8月に開催されるモントレー・オークションの出品リストの中に、数々の名車に混じってひときわ異彩を放つ1台の「ハーレーダビッドソン」が含まれています。
しかしこの車両、よく見ると巨大なVツインエンジンがどこにも見当たりません。実はこれ、今から100年以上前の1919年に製造された「自転車」なのです。

20世紀初頭、内燃機関を搭載したオートバイが世に現れると、当時の少年たちは「いつか自分も自転車からあの乗り物に乗り換えたい」と夢見るようになりました。
そこに目をつけたのが、ハーレーダビッドソンです。若者向けに自社ブランドの自転車を販売することで、早い段階からブランドへのロイヤリティ(忠誠心)を育み、将来的なオートバイ購入へと繋げるという巧みなマーケティング戦略でした。
こうして1917年から1921年までのわずか4年間だけ展開されたのが、ハーレーダビッドソンの公式自転車です。
実際の製造はオハイオ州デイトンの「デイビス・ミシン商会(Davis Sewing Machine Co.)」が担当していましたが、車名が刻印された専用のチェーンリングや、美しいヘッドチューブのバッジ、そして第一次世界大戦時の軍用オートバイを彷彿とさせるペイントなど、随所にハーレーならではの意匠が凝らされていました。
今回、出品されるのは、1919年製の「モーターサイク(Motorcyke) モデル4-19」です。その名の通り、ラインナップのなかでもっともモーターサイクル(オートバイ)に近いルックスを与えられた最上位モデルで、ダブルトップチューブのフレームや堅牢なトラスフォークを備えています。
さらにこの個体の見どころは、当時のボードトラック・レーサー(板張りのオーバルコースを走る競技用車両)を彷彿とさせる、ヴィンテージ感あふれるカスタムが施されている点です。
切り詰められたボブド・リアフェンダー、低く構えた2ピースのドロップハンドル、後退した位置にセットされたライセット(Lycett)社製のサドル、そしてフレーム間に収まるシガー型の小物入れ(フェイクタンク)など、当時の想像力豊かな少年が思い描きそうな憧れのスタイルが見事に再現されています。

当時の広告には「すべての少年がハーレーダビッドソンの自転車を持てないのが残念だ」というコピーが踊っていましたが、1世紀という長い時を経て、良好なコンディションで現存する個体は極めて少なくなりました。現代においては「(ほぼ)すべての名車を所有する熱心なコレクターであっても、この自転車を持っている人は少ない」と言えるほどの希少性を誇ります。
アメリカのモーターサイクル史の黎明期を垣間見ることができる、この美しきペダル式ハーレーダビッドソン。予想落札価格は2万ドルから3万ドル(約300万円から450万円)とされています。
VAGUEからのオススメ
ポータブル電源が都心で過ごす夜を変える──Jackeryがかなえる“オフグリッド”なスポーツ観戦【PR】