貴重な最高峰ボートをオークションで発見 バブル時代に日本で進水式をあげたイタリアの高級ブランド「リーヴァ」最後の“マホガニー製スピードボート”の価値は
40年前に東京で進水式をあげた「洋上の芸術品」
2026年7月に開催されるRMサザビーズ主催のオークションに、1986年式リーヴァ「アクアラマ・スペシャル」が出品される予定です。どんなボートなのでしょうか。
1842年にイタリアのイゼーオ湖畔でピエトロ・リーヴァによって興された「リーヴァ」は、世界でもっとも格式高く、ラグジュアリーな木製スピードボートの代名詞として君臨しています。
1950年代から60年代にかけて、3代目カルロ・リーヴァの指揮のもとで生み出されたマホガニー製のボートは、単なる乗り物を超えてイタリアの「ラ・ドルチェ・ヴィータ(甘い生活)」の象徴となりました。
映画スターのブリジット・バルドーやソフィア・ローレン、エリザベス・テーラーといった世界中のセレブリティがこぞってリーヴァを買い求め、地中海やコート・ダジュールの洋上で富とエレガンスを競い合ったのです。その黄金期を締めくくる究極の進化形として君臨するのが「アクアラマ・スペシャル」です。

今回RMサザビーズのオークションに登場するハルナンバー747、1986年式のアクアラマ・スペシャルは、85万ユーロから95万ユーロ(日本円で約1億4400万円〜1億6100万円前後)という高い予想落札価格が提示されています。
アクアラマ・スペシャルは、伝統的なツインエンジン仕様であるアクアラマの最終かつ最強のバージョンであり、より長く効率的なV型船体デザインと、心臓部に2基の350馬力V型8気筒エンジンを搭載した至高の工芸品です。
リーヴァが誇る伝統的な木製ランナバウトの生産は1996年を最後に幕を閉じますが、この個体はその歴史の掉尾を飾る重要な1隻として位置づけられています。
この747号車がこれほどまでに注目される理由は、そのスペックだけでなく、極めてユニークで数奇な旅路にあります。
地中海やイタリアの湖を最初の故郷とした大半の姉妹ボートとは異なり、この個体は新車として東京へデリバリーされたという驚きの経歴を持っています。
当時の東京の海を航行する姿だけでなく、日本の神主によって航海安全のお祓いを受けている進水式当時の大変貴重な写真が今も残されています。1980年代当時の日本のマリーン・ライフスタイル誌でも「洋上の芸術品が日本にやってきた」として複数の記事で大々的に紹介されました。
その後、ボートは香港の熱心なコレクターへと売却され、約40年近くにおよぶ歳月をアジアの海で大切に過ごしました。

そして近年、ついに生まれ故郷であるイタリアへと里帰りを果たしたのです。現オーナーの手によってリーヴァの公式クラシック部門である「リーヴァ・クラシケ」へと戻されたこの個体は、2025年から2026年にかけての冬の期間に、当時の職人技を再現した徹底的なフルレストアを受けました。
木製ハルの全面的なリフレッシュから、機関系のオーバーホール、内装の張り替えにいたるまで、1986年に工場をラインオフした当時と全く同じ完璧な状態へと生まれ変わっています。
売却にあたっては、メーカーお墨付きの「リーヴァ・クラシケ公式認定証」のほか、修復の全プロセスを詳細に記録したドキュメントブック、日本での進水式当時の写真など、これ以上ない完璧なヒストリーが付属します。
傾斜したトランサム(船尾)と中央のスイミングステップが織りなす流麗なシルエットは、まさに洋上のスーパーカー。日本の歴史をもその美しいマホガニーの船体に刻んだ、世界に2つとない伝説のボートが再び世界の表舞台で新たなチャプターを始めようとしています。
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